自交労働者No.941、2020年7月15日

労働組合に入ろう


休業手当は支払われていますか?


写真

  新型コロナウイルスの影響で、タクシーやバスの営業収入は激減しています。歩合給のタクシー労働者の賃金は、とても生活できないほど下がってしまいました。
 このため、多くの会社で、計画的に休業して労働者の雇用と生活を守ろうとしてきました。休業に対しては、政府の雇用調整助成金が支払われ、臨時休車制度で車両維持の負担も軽減されます。一部休業すれば、仕事をした人の営業収入も一程度回復します。
 労働組合のある職場では、誰が、いつ休業するのか、休業手当はいくら払うのかといったことを労働者と会社が話し合って決めています。
 しかし、労働組合のない職場では、そもそも休業もしなかったり、休業する人や期間も会社が勝手に決め、休業手当も低く抑えられてしまっています。
 休業手当は、支給した分の100%が国から助成されます(解雇していない中小企業の場合)。ですから、高くしても会社の負担が増えるわけではありません。ところが、会社によっては、労基法の最低基準である平均賃金の60%しか払わないというところもあります。
 国の助成策は6月になってから改善され、100%助成、1日1人の上限は1万5000円になりました。さかのぼって適用されますから、すでに低い休業手当で支払ったところでも、再交渉して高くすることができます。
 自交総連の東京の組合では、会社の全従業員への退職強要を撤回させ、事業の再開をかちとりました。福岡では新たに組合を結成して会社と交渉し、平均賃金の100%の休業手当支給をかちとりました。
 組合がなければ、そういう交渉はできません。組合づくりのお手伝いをします。一人で入れる組合もあります。ぜひ自交総連に入って、力を合わせて生活を守りましょう。



最賃以下の賃金は違法です

図

  営業収入の落ち込みにより最低賃金(最賃)に違反する例が増えています。どんなに売上が下がったとしても、働いた時間に応じて最低賃金が支払われなければなりません。休業もせず、最低賃金も支払わないのは違法です。
 タクシー運転者には、都道府県ごとに定められた地域別最低賃金(下表)が適用されます。賃金制度が、「基本給+歩合給(出来高払)制」の場合も、いわゆる「オール歩合給制」の場合も、1時間当たりに換算した賃金額が、最低賃金を下回らないようにすることが必要です。
 上にある比較方法を参考に、自分の賃金が最低賃金以上となっているかチェックしてください。

図

制度は最大限活用、生活・雇用を守ろう

表

新型コロナウイルス関連活用できる制度

表


安い掛金で大きな給付 自前の助け合い制度

表

  自交総連に入れば、自交共済という自前の共済に加入することができます。
 自交共済は、こくみん共済coop(全労済)とタイアップして運営しているもので、組合員には、自交総連給付金と全労済給付金を合わせた額が一括で給付されます。共済事由は多岐にわたります。万一の時の保障だけでなく、結婚銀婚・出生・入学などの祝金も給付対象となり、組合員の安心に役立っています。
 給付内容は、たとえば傷病による休業給付の場合だと、14日以上=1万円、30日以上=2万5千円、90日以上=4万5千円、120日以上=6万5千円となります。保険金と異なり、給付金は何度でも受け取ることができ、契約は継続されます。
 新型コロナウイルス感染症自体は支払い対象外ですが、自宅待機などの場合は傷病による休業(14日以上〜)で、請求すれば給付できる可能性があります。

自交総連 各地で奮闘

命もくらしも守る

新型コロナウイルス下だからこそ運動

  新型コロナウイルスの感染が広がり、労働組合としての活動が制限されていますが、自交総連の仲間は全国各地で奮闘しています。


タクシー産業への支援要請

  【東北】東北地連は5月14日、宮城県タクシー協会仙台地区総支部、全自交宮城地本とともに、新型コロナウイルスで深刻な影響を受けているタクシー産業に対し支援を求め、郡仙台市長に対し要請を行いました。
 この要請に、地連から本間委員長と石垣書記長が出席しました。この要請は、4月16日に行われたタクシー協会への要請に基づき実施されたものです。
 仙台タクシー協会の高澤支部長(仙南タクシー社長)から、要請の趣旨について説明がなされた後、タクシー労働者の現状について訴えました。
 郡市長は、「タクシーのみなさんは、公共交通の一翼として福祉の面でも、コロナ拡大のきびしい中でも大変がんばっておられます。仙台市も財政的にきびしい中ではありますが、命もくらしも守るということで話を受け止め、取り組みを検討します」と回答しました。引き続き要請を強めていくことにしています。


運転者負担の改善求め要請

日本共産党福岡県議団へ要請書を提出=6月22日、福岡県議会
日本共産党福岡県議団へ要請書を提出=6月22日、福岡県議会

  福岡地連は6月22日、日本共産党福岡県議団と懇談し、中洲地区の罰金制度について改善を求める要請書を提出しました。
 福岡地連は、新型コロナウイルスの影響で激減しているタクシー運転者を救済しようと、交通事故などで発生した車両の修理代などを運転者に負担させないよう事業者に求めています。
 特に福岡市タクシー協会が自主ルールに基づき運用している夜間の中洲地区の罰金制度を問題視しており、この制度は違法客待ちタクシーを撲滅するため、協会が監視員を配置し違反した事業者に罰金を科しています。しかし事業者の中には労基法に抵触しないよう、社内の運転者会長に集金させる形で違反した運転者から罰金を徴収するケースがあります。
 内田書記長は、「(損害請求権のない人間が)公道で発生した事柄について罰金を徴収するのは、暴力団がみかじめ料を請求するに等しい行為」と批判し、「違法客待ちタクシーは警察官が取り締まるべき」と主張しています。
 福岡地連は、今後も運転者の生活を守るため、運転者負担の廃止と並んで最低賃金違反についても厳しく事業者を追及する構えです。


最賃下回らぬよう対策を

山梨タクシー協会に申し入れる山梨地連中村委員長(左)=6月29日、山梨タクシー協会
山梨タクシー協会に申し入れる山梨地連中村委員長(左)=6月29日、山梨タクシー協会

  山梨地連と山梨県労は6月29日、山梨県笛吹市の県タクシー協会に乗務員の賃金補償を求める要請を行いました。
 山梨地連の中村委員長は、新型コロナウイルスの影響で、歩合制を採用している多くのタクシー会社で深刻な賃金低下が発生していることを指摘。「3月以降の賃金は手取りで3〜5万円台という労働者が多くいる。会社から休業命令をしない限り休業手当が発生しない」として各会社に最低賃金を下回らないよう周知するなど協会へ積極的な対策を求めました。
 応対した協会役員は、「各会社の実態を十分に把握できていない。要請内容は協会として検討する」と回答しました。

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金について

労働者が申請し、直接支給日額上限1万1000円

  会社から休業手当が支払われない場合に、労働者が申請して、労働者に直接給付される「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」の概要、申請手続きの方法などが厚労省から公表されました。

  この制度は、会社の指示で休業したが、休業手当の支払を受けられなかった労働者が対象となります。原則として、雇用調整助成金を使って会社に休業手当を支払わせることが第一で、会社に手持ち資金がなかったり、倒産したなどで休業手当が支払われなかった場合に、この制度で支援金を受けられることになります。会社の指示による休業かどうかを証明する必要があり、会社が協力しない場合は、労働局が確認するので、支給に時間がかかるとされています。詳細は、厚労省HPに掲載の給付金Q&A等をご確認ください。


制度の概要

  主に以下2つの条件に当てはまる方に、休業前賃金の8割(日額上限11,000円)を、休業実績に応じて支給します。
 @令和2年4月1日から9月30日までの間に、事業主の指示により休業した中小事業主の労働者
 Aその休業に対する賃金(休業手当)を受けることができない方

表

  厚労省の新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金HP
  (https://www.mhlw.go.jp/stf/kyugyoshienkin.html)


新加盟のなかま 

(853)東京・自交総連日本リース労働組合
有利に交渉進めるため加入

  ハイヤー業務などを行っている東京の日本リースで働く仲間は6月20日、自交総連日本リース労働組合(中西誠委員長、8人)を結成しました。
 管理者がパワハラ的発言や不当な差別を行うようになり、社員が辞めるなど労働環境が著しく悪化。労働組合の必要性を感じ、検討の結果、有志が組合を結成しました。
 その後、組合結成を社長へ通告しました。