自交労働者No.942、2020年9月15日

自交総連に加盟し営業所閉鎖・解雇撤回

関西地連和歌山・有田交通労組

労働相談する有田交通グループ労組=8月25日、和歌山・和歌山県地評
労働相談する有田交通グループ労組=8月25日、和歌山・和歌山県地評

  事業不振を理由に営業所閉鎖・解雇を通知していた和歌山市の有田交通で、労働者が労働組合に結集し、自交総連・和歌山県地評に加盟、団体交渉で、解雇撤回・事業継続をかちとりました。
 有田交通では、7月31日に8月31日付での営業所閉鎖・解雇が通知されました。事前に情報を得た企業内組合の有田交通グループ労組は25日に和歌山県地評に相談に訪れ、自交総連関西地連・和歌山地連とともに今後の対応を相談しました。
 未加盟者を組織し上部団体に加盟して対応しようとのアドバイスを受け、5日間で従業員の大半の73人を組織、30日に関西地連・和歌山地連・和歌山県地評に加盟してたたかうことを決意しました。
 8月7日に同社の岩橋正典社長が死去、団交開催が危ぶまれましたが、8月12日に社長夫人の幸子氏と弁護士らが出席して団交が行われました。会社側代理人の弁護士は、「コロナで体力が削られ、解雇を決断せざるを得なくなった」と述べましたが、組合側は「雇用調整助成金を活用せず、整理解雇の4要件に照らしても今回の解雇は不当」として解雇撤回・営業の継続を強く求めました。
 交渉の結果、会社は解雇を撤回し、今後も営業を継続すると表明しました。17日に幸子氏が代表取締役に就任し、営業継続を知らせる文書が関係各所に発せられました。

解雇は不当、仮処分決定で勝利

解雇回避措置が不十分

東北地連・センバ流通支部

  コロナによる営業の不振を理由に4月に組合員全員を含む整理解雇が通告されていた仙台市のセンバ流通(タクシー)で、解雇不当を訴えて仮処分申請をしていた東北地連・ハイタク一般センバ流通支部は8月21日、仙台地裁で解雇無効の仮処分決定をかちとりました。
 決定では、人員削減の必要性については、本件解雇をしなければ直ちに倒産に至るものではなかったと断じています。さらに雇用調整助成金や臨時休車措置の活用で、収支の改善が見込めたはずとしています。さらに解雇回避措置については、雇調金を活用しなかったことに加え、保有している現預金や融資を活用した資金繰りが可能だったとしています。会社の解雇回避の努力が不十分として解雇無効、コロナを理由にした乱暴な解雇が不当であることは明確に認められました。
 センバ流通支部の組合員は、「解雇無効が出たのはよかった。引き続き職場復帰めざしてがんばる」と語っています。
※詳しくはこちら)。

過半数組合へ大躍進

スト背景に退職届撤回かちとる

福岡地連 庄内観光分会

庄内観光分会の仲間
庄内観光分会の仲間

  【福岡】福岡地連に庄内観光分会が誕生しました。緊急事態宣言の中、休業手当に関する要求を掲げて4月20日に結成しました。
 (有)Shonai観光は、福岡県飯塚市にある麻生副総理の地元です。従業員は40人でタクシーとデマンド交通を担っています。
 コロナ不況の中、事務職のパート社員を防犯カメラの遠隔監視し些細なことを注意して退職に追い込む案件が発生しました。社長も「コロナ禍で厳しいから退職してもらっていい」と撤回を認めません。分会は「退職届の撤回は困難だが、諦めず理不尽なハラスメントに対して断固闘う」と決意。地連は、組合員を増やして団交に臨むしか、かちとることはできないと指導し、団体交渉までに組合員が10人に増えました。
 団交は会社側弁護士立会いのもと、ハラスメント、安全配慮義務、労働基準法、道路運送法を厳格に追及。ストを背景にして退職届撤回をかちとりました。その後も解雇事件が発生し、その解雇も社長を説得して撤回。現在は組合員が20人を超え、過半数組合となりました。休業手当は平均賃金100%支給、掲示板とチェックオフ協定なども実現。今後は会社に賃上げ要求、飯塚市には議員と連携してデマンド交通の改善要請を行うことで進めています。

給与減への助成を

賃金補填、雇調金の周知を要請

山梨地連

タクシー運転者給与減への助成を求める要請書を提出=8月26日、山梨・山梨県庁
タクシー運転者給与減への助成を求める要請書を提出=8月26日、山梨・山梨県庁

  山梨地連と山梨県労は8月26日、長崎幸太郎知事に新型コロナウイルス禍で公共交通を担うタクシー労働者の給与減への助成を求める要請書を提出、日本共産党の小越智子県議が同席しました。
 山梨地連が7月に実施したタクシー運転者へのアンケートでは、8割が減収によって月額収入が10万円以下、3割が5万円以下まで減額したと回答。
 同労組の運転者は、「毎日16時間もお客さんを待って昼飯代が稼げるかどうか」「感染防止のパーテーションもない。消毒は自分持ち。対策も自分でやるので、お金がかかる」と実態を語るなど、厳しい現状が明らかになっています。
 要請書では、給与減は「歩合給制度に加え、使用者が休業指示を出さなければ休業補償を受けられないことにある」と指摘。@事業者が雇用調整助成金による保障を行わないために賃金が大幅減額した労働者に、県独自の賃金減額相当の補填を行うこと、A事業者に雇用調整助成金の活用、適切な休業指示などを周知することなどを求めました。


新加盟のなかま 

(854)秋田・あさひ自動車労働組合
県労連参加で交渉

  秋田のあさひ自動車株式会社で働く仲間が6月26日、あさひ自動車労働組合(小川治康委員長、10人)を結成しました。
 コロナ対策で嘱託職員の契約期間短縮・運転者の労働時間短縮などが会社と多数派組合との間で合意されましたが、構成員には知らされず不満が表面化。県労連へ相談し、組合結成となりました。その後は、最賃保障や公平な配車なども含め、産別・県労連参加で交渉中です。

新たな時代へ飛躍的前進を

城委員長、たたかいの成果を発言

全労連第30回定期大会

議長を務める舞弓副委員長
議長を務める舞弓副委員長

 全労連は7月29、30日、都内で第30回定期大会を開催しました。コロナウイルス感染症の全国的拡大の下、オンラインによる大会となりました。自交総連の舞弓副委員長が議長を務めました。
 大会では、結成30年にわたる運動の到達点を踏まえ、新たな時代の全労連運動の飛躍的前進と「1500万全労連」実現にむけ、全国の代議員と大会会場を結び討論が行われ、議案を賛成多数で採択。小畑雅子新議長をはじめ新役員体制を確立しました。
 討論では、28人がオンラインで発言を行い、文書発言を含め41人が発言しました。発言の多くはコロナ禍での労働相談等を通じた世論の広がりなど、自信と確信に満ちた発言が際立ちました。
 その中で城委員長は、コロナの影響で自交総連らしい大衆行動ができなかったと述べ、道路運送法の改悪を許したが、自家用車の有償旅客輸送としての利用に踏み込む事態、安全を脇に置く逸脱した運用にならないように注視しながら運動を強化するとしました。また、新型コロナ感染拡大による需要減での雇用と収入を守るたたかいで成果を挙げていることを全国の仲間に報告しました。
 全労連役員体制(20〜21年度)・議長=小畑雅子(全教)▽事務局長=黒澤幸一(医労連)(いずれも新)