6地方14組合が新たに加盟
新加盟組合
2020年、自交総連には新たに6地方14組合が加盟しました。昨年の新加盟5組合と比べると大幅な増加です。加入地方は東北、秋田、東京、神奈川、関西、福岡と幅広く、合計で188人が組合員になっており、それぞれ加盟後に組織拡大をして職場で奮闘しています。また、新加盟だけでなく、個人加盟組合への加入、既存組織での拡大もあり、組織強化・拡大がひろがっています。
会社と交渉したいと加盟
加盟理由はやはりコロナ危機への対応が目立ちます。コロナ休業手当関連(福岡・庄内観光分会、古賀・宗像自動車学校分会、昭和市丸交通分会、中央タクシー分会、東京・北光タクシー労働組合)、解雇撤回(関西・有田交通グループ労組、東北・自交総連ハイタク一般労組鹿島タクシー支部、東京・はとバス従業員労働組合)、労働条件改善(福岡・JRバス労組、東京・自交総連日本リース労組、神奈川・富士見交通支部)、既存労働組合への不満(秋田・あさひ自動車労組、関西・関西中央鶴見労組)、会社の子会社化に対応(東京・丸井自動車労組)などがあがっています。
今年5組合の新加盟を達成した福岡地連の内田書記長は、「コロナ禍だからこそ相談も多くなるし、労働組合にとって組織拡大のチャンス。今はピンチをチャンスにする、そういう時期である」と話しています。
はとバス社の問題を追及
非正規に休業手当が支払われていない
宮本徹衆院議員(共)が質問
質問する宮本徹衆院議員=11月11日、衆議院厚生労働委員会 |
日本共産党の宮本徹衆議院議員は、11月11日の衆議院厚生労働委員会で質問に立ち、東京のはとバスでシフト勤務の非正規労働者に休業手当が支払われていないことや勤務変更が強要されていることを追及しました。
宮本議員は、はとバスでは、シフト契約の契約社員に休業手当が払われていない例があり、非正規労働者に解雇かシフトゼロへの契約変更が迫られたと指摘。労働組合をつくり団交で解雇は撤回したが休業手当は出ていない、労基署が改善を促しても払わないと追及しました。
政府の厚労省田中誠二職業安定局長は、労基法上の支払義務がない場合でも雇調金の支給対象としているので有効に活用して支給するようお願いしているとし、非正規雇用労働者に一律に休業手当を支払わない場合は、パートタイム・有期雇用労働法等に違反する可能性があるので助言指導等を行っていきたい、と答えました。
宮本議員は、労働局が雇調金を勧めても、大企業の場合は支給率が75%で負担が残るので使わない、休業手当を払わないケースがいっぱいあると指摘し、大企業の非正規労働者で救われない人がいるのをどうするのかと質しました。
田村憲久厚生労働大臣は、大企業で、やれる能力のあるところにはしっかりと責任を全うしていただきたい、雇調金を使って対応いただけるように周知をしていきたい、と答えました。
宮本議員は、お願いするだけでは何も変わらない、雇調金を引き上げるか、休業支援金の対象を広げるか、与党も野党も知恵を出し合わなければいけないと指摘しました。
雇調金と休車の延長を
東京地連
東タク協交渉を実施
要請書を手渡す城委員長(右)=11月25日、東京・関東運輸局 |
【東京】 東京地連は11月12日、東京ハイヤー・タクシー協会要請行動を実施し、東京地連から城委員長他6人、東タク協側は武居副会長他4人が参加しました。
東タク協の武居副会長は「コロナ禍の厳しい状況下で、雇用を維持するために雇用調整助成金の延長と、休車特例措置の延長を求めていく」とあいさつし、コロナ対策のタクシー臨時休車措置については全タク連として延長願いを国交省へ出すことを決定している、雇調金の延長については政府に要望しており、再度厚労大臣へ陳情する、東京特別区・武三地区の運賃改定申請については検討しているが新型コロナが拡大し、慎重な状況にあるなどと回答しました。
関東運輸局へ要請行動
また東京地連は11月25日、関東運輸局交渉を実施。要請に際して城委員長は「コロナ禍の中、タクシー事業者は疲労している。直接補助をして頂きたい」とあいさつしました。
@「白タク合法化は認めないこと」への回答では、「ライドシェアは、運行管理や車両整備について責任を負う主体を置かないままにドライバーのみが運送責任を負う形態を前提としており、安全の確保・利用者の保護の観点から問題がある。極めて慎重な検討が必要と考え、本省と連携する」と答えました。
A「コロナ対策のタクシー臨時休車措置を延長し、タクシー事業、労働者への直接の補助対策を講じること」への回答は、「需要の急減で非稼働となる維持コストを抑制し、需要が回復した際に輸送供給力を回復する観点から特例措置を設けた。期限は延長し、21年3月。復活は6月30日とした」。
B「利用者が安心して利用できるように、エッセンシャルワーカーとしてのタクシー運転者が、PCR検査を受けられるよう関係省庁・自治体に働きかけること」への回答では、「要請について本省に報告する」としました。
国難乗り越えようと訴え
埼玉地連
コロナ対策・白タク合法化阻止宣伝を実施
乗務員へビラを手渡し対話=12月4日、埼玉・和光市駅周辺 |
【埼玉】 埼玉地連は11月28日と12月4日、和光市駅から東松山駅でコロナ対策・白タク合法化阻止宣伝行動を実施しました。
コロナ禍のなか営業している乗務員に対して、コロナウィルスに感染しないようにうがい、手洗いを徹底して行うとともに、少し窓を開けて車内の空気を入れ替えるように求め、まずはコロナウィルスに感染しないことが重要だと宣伝しました。また、自交総連は国土交通省に対してタクシーに乗車する際マスク着用を義務化するよう要請したと報告。同時にライドシェア、白タク合法化を許さず、雇調金などを活用して何とかこの国難を皆さんとともに乗り越えましょうと訴えました。チラシは2日間で160枚配布、どの乗務員も興味深そうに受け取ってくれました。
コロナ危機突破を
第2回中央執行委員会
21春闘方針案を討議
自交総連は12月3日、第2回中央執行委員会をひらきました(コロナ対策のためオンラインでの開催)。
21春闘では「コロナ危機突破、ライドシェア阻止 雇用を守れ、人間らしく暮らせる賃金確保 21春闘」と位置付けてたたかう方針案を提起しました。各地の秋季年末闘争の状況なども討議し、コロナでも臆することなく要求を掲げて、組織強化・拡大をすすめる春闘とすることとしました。
第43回中央委員会は書面開催とし、第43回弁護士交流会はZOOMで開催することに決定しました。
コロナ禍、交運労働者の労働条件守れ
交運共闘
厚労省・経産省・国交省と交渉
国交省へ要請書を手渡す城議長(右)=12月4日、東京・衆議院第2議員会館 |
交運共闘は12月4日、厚労省・経産省・国交省と交渉して、コロナ危機のなかでエッセンシャルワーク(社会的に必要不可欠な労働)をしている交運労働者の労働条件の改善、コロナ対策など、11・5中央行動で提出した請願署名の内容について要請し、意見交換しました。
エッセンシャルワーカーのみなさんに感謝
厚労省では、雇調金の特例は来年2月末まで延長し、その後は状況が悪化しない限りは段階的に元に戻す、との回答に、元に戻すことを前提とするなと要請し、指標が改善しない限りは元に戻さないと確認しました。
また、「働き方改革」での残業時間規制について、法律で上限が決められたのは前進と答えましたが、年960時間では長すぎると指摘すると、厚労省はもっともな指摘と受けとめました。
さらに厚労省は、改善基準改正の議論について、一般則の適用を前提に話し合ってもらっている、専門委員会で実態調査を実施しており、結果を踏まえて、来年以降に具体的な検討をしていくと回答。検討にあたり、委員がいない組合の意見も聞いて、専門委員会に伝えるとしました。そして、交通運輸に携わるエッセンシャルワーカーのみなさんには厚労省からも感謝を申し上げるとしました。
サンドボックス制度、安全確認しすすめる
経産省では、規制のサンドボックス制度で、ライドシェアを実証実験の対象としないこと、と要請。
経産省は、サンドボックスの対象は、人の生命、身体を保護して侵害しないことと定め、安全の観点が盛り込まれていて、実際の審査でも考慮すると答えました。また、認定の要件に関係法令に違反するものでないこととの条件があり、申請が出ても国交省が安全性を厳格に検討するから、危険なものは認定されないと回答。いきなり全国でやるとかでなく、限定した条件の下で安全を確認してやりたいとしました。
ライドシェアは認めるわけにいかない
国交省では、改善基準告示について、関係省庁と連携して改正をしてほしいとの要請に、厚労省で専門委員会を設置して検討しており、国交省もオブザーバーで参加しているので、適切に意見を言っていきたいと回答しました。
また組合側は、ライドシェアの合法化を認めず、現に行われている実質的な白タク行為について道路運送法を厳格に適用して禁止するように要請。国交省は、事業者が運行、安全・安心の確保に責任を負わないライドシェアは認めないとし、自家用車をつかった輸送については、個々の運送をみて判断し、白タク行為が確認されれば摘発するとしました。
さらに、変動迎車料金を導入するというが、繁忙期に高くなると日常的に使っている高齢者や障がい者が利用しにくくなるのではないか、時期によって運賃が変わるのは差別的運賃に当たらないのか尋ねると、ビジネスなどで、すぐに呼べて利用しやすくなるという効果を期待していると回答。高齢者・障がい者が利用しにくくなるという懸念は確かにあり、モニタリングして必要に応じて見直すこととしている、人ごとに変えるのではなく、一律に決めるので差別的運賃には当たらないと答えました。
交運労働者の要求実現するよう奮闘
交運共闘と日本共産党国土交通部会が懇談
交通政策基本法「改正」案、コロナ対策など要請
交運共闘と懇談する(左から)日本共産党の武田良介参院議員、高橋千鶴子衆院議員。(その右)交運共闘城議長、光部事務局長=11月16日、東京・衆議院第2議員会館 |
運共闘は11月16日、日本共産党国土交通部会と懇談し、議員立法で今国会に提出される交通政策基本法改正案について意見交換するとともに、参加した各組合からコロナ対策などの対政府要求について協力を要請しました。交運共闘から城議長、光部事務局長ら6人、共産党から高橋千鶴子衆院議員、武田良介参院議員と秘書が参加しました。
交通政策基本法は13年に制定されましたが、その内容は国民の移動する権利、交通権をあいまいにして国の責任を明確にせず、高速道路や新幹線など大規模交通事業の促進に偏重しているとして、交運共闘は反対声明を出しました。
リニア促進の意図
今回の法案は、与党の鉄道関係の議員からの働き掛けによるもので、立憲民主党も基本的に合意しているとされます。「改正」点は、大規模災害の頻発や人口減などの社会の変化に対応するとして、「国内交通網及び輸送に関する拠点の形成(基幹的な高速交通網の形成を含む。)、輸送サービスの提供の確保その他必要な施策を講ずる」(20条)、「国土強靭化の観点から、わが国の社会経済活動の持続可能性を確保することの重要性に鑑み…(交通手段を整備する)」(22条)などの条文が入っています。その目的は、リニア新幹線や整備新幹線のいっそうの促進を図るためのものです。一方で、法制定時から問題であった、国民の交通権の確保などについては、まったく触れていません。
このため、日本共産党は反対するとの態度が表明され、交運共闘からも、質疑のなかで、国民の交通権の確立や交通機関の安全の確保に運転する労働者の労働条件改善が必要であることなどの基本点を指摘してほしいと要望を出しました。
法案は11月20日、賛成多数で可決されました。
参加した組合からコロナ対策などでの対政府要求項目が出され、自交総連からは、年末が期限となっている雇調金特例、休業支援金、臨時休車措置の期限延長を早くしないと、年が越せずに廃業や解雇問題が発生する恐れがあるとして、早期の対応を要請しました。
また、運転者へのPCR検査の拡充では国交省も厚労省も責任を他に押し付けて動きが鈍い、自治体がタクシー・バス対策に活用できる地方創生臨時交付金の拡充が必要などの要望を出し、高橋・武田両議員から、国会での論戦を通じ、交運労働者の要求が実現するよう奮闘したいとの決意が表明されました。
解雇無効仮処分かちとる
長期争議の紹介
5地方7組合が争議に奮闘
自交総連の長期争議組合は今年12月時点で5地方7組合でした。
内容は、未払い賃金請求、不当解雇などです。かちとった成果では、東北・ハイタク一般労組センバ支部での組合員全員を含む整理解雇事件において、仙台地裁で解雇無効の仮処分決定をかちとりました。他にも、北海道・江別ハイヤー労組他のオール歩合の残業割増賃金請求訴訟では高裁での和解が成立しました。
自交総連では毎年、臨時徴収金から、解雇事件や重大事件に配分しています。
新加盟のなかま |
(857)関西・有田交通グループ労組
全員解雇の撤回
和歌山の有田交通株式会社で働く仲間が7月30日、関西・大阪地連に加入し、有田交通グループ労組(山野益夫委員長、60人)を結成しました。
組合は全員解雇を通知されることがわかり労働相談し、地連役員がアドバイスしたことで上部団体加盟の意思統一がされました。その後、上部団体が同席した団交によって解雇は撤回され、今後についての協議が決まりました。
(858)関西・関西中央鶴見労働組合
労働相談から加盟
大阪の関西中央交通株式会社で働く仲間が8月24日、関西・大阪地連に加入し、関西中央鶴見労働組合(徳原正孝委員長、8人)を結成しました。
同じグループ会社に勤める大阪地連福井委員長が相談に乗り、企業内組合から加盟に至りました。
結成通知、団交と順調に進み、11月29日には新事務所も完成しました。
(859)神奈川・富士見交通支部
労務管理改善のため結成
神奈川の富士見交通株式会社で働く仲間が9月30日、富士見交通支部(霜田正義支部長、5人)を結成しました。
以前から互助的な組織は存在していましたがまったく機能しておらず、会社の労務管理がなされていない現状を改善するために県会議員へ相談、労働組合を結成しました。11月11日には所長、課長に面談し、改善を求めました。
(860)東京・北光タクシー労働組合
労働条件改善へ
東京の北光タクシー鰍ナ働く仲間が12月6日、北光タクシー労働組合(粕谷正昭委員長、15人)を結成しました。
会社は2年前に新規に北光タクシーを開業。以降一方的に会社から労働条件を押し付けられる現状を改善するため結成に至りました。これから団交により労働条件改善とコロナ休業手当改善をめざし、たたかいます。
乗客へのマスク着用要請
正当な理由ない場合乗車を断れる
バスについては慎重な姿勢
国土交通省は11月4日、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、タクシーでマスクを着用しない利用者に対する乗車拒否を認める運送約款の変更を認可してプレス発表しました(下)。
内容は、@マスクを着用していない理由を聞いたうえで、A病気など正当な理由ない場合に着用をお願いし、Bそれでも正当なく着用しない者については乗車を断れるというものです。
ただしこの着用要請が逆にトラブルの原因となる可能性もあり、運転者の丁寧な対応が求められます。
さらに5日に行われた自交総連との交渉で、バスの乗客についてはどうなるのかと確認すると、国交省は「感染防止については考え方は同じだが、バスは車両も大きく不特定多数の人が乗ってくるので対応は違ってくる」と慎重な姿勢を示しました。
令和2年11月4日 国交省自動車局旅客課発表
タクシー乗車の際はマスクの着用をお願いします!
〇 タクシー乗車の際におけるマスクの着用は、エッセンシャル・サービスであるタクシー事業の安定的な事業の継続のため、ウィズコロナにおける新しいエチケットとして、ご理解・ご協力をお願いしているところです。
〇 今般、都内の一部タクシー事業者から、「@運転手がマスクを着用していない理由を丁寧に聞き取った上で、A病気など正当な理由がない場合に限り、マスクの着用をお願いすることを基本とし、Bそれでも正当な理由なく、マスクを着用しない者についてのみ乗車をお断りする内容」を運送約款に規定する申請があり、本日、運転者のみならず次に乗車する利用者の感染防止対策に資するものとして、認可いたしました。
〇 ただし、本約款の内容は、マスク未着用者の乗車を一律にお断りするものではなく、事業者が上記@〜Bの手続を丁寧に実施していくよう、国土交通省としても取り組んでまいります。
(背景)
1.タクシーは、新型コロナウイルス感染症が拡大する中において、感染のリスクや不安を抱えながらも、まさにエッセンシャル・サービスとして、高齢者や妊婦を含む地域住民の運送を担い、公共交通機関としての使命を果たしてきました。
2.一方で、タクシー利用者の中には、酔ったままマスクを着用せずに、大声で話しながら乗車する方がいるなど、運転者が不安を抱えているとの相談がタクシー事業者から寄せられておりました。
3.引き続き公共交通機関としての使命を果たしていただくためにも、タクシーの利用者には、特別な事情がある場合を除きマスクを着用していただくことや、走行中の換気をはじめとする感染拡大の予防に、ご理解とご協力をお願いしてきました。