緊急事態宣言下でも
2・1宣伝行動
感染予防でビラ入りティッシュをカゴ渡し=2月1日、東京・新宿駅 |
乗務員へ宣伝ビラを配布=2月1日、神奈川・横浜駅西口乗り場 |
自交総連は2月1日、全国いっせい宣伝行動にとりくみました。今年は各地で緊急事態宣言が発出されていましたが、東北や東京、神奈川などの仲間が、駅前や待機場でビラ配りや乗務員との対話を行いました。
神奈川では、ブロック毎各主要駅頭で宣伝ビラを配布し。コロナ禍の影響で密を防ぐため会話はせずに簡単に趣旨説明をしながら行われました。乗務員からは、給付金をめぐる要望が多数聞こえてきました。
東京の宣伝に参加した城委員長は、「コロナ禍で労働相談が増えている。感染対策を実施しながら乗務員向けに産別組織としての自交総連の実績をアピールすることが重要」と語りました。
距離を保ちつつ対話=2月1日、福島・福島駅周辺 |
コロナ危機突破へ
春闘方針案を満場一致で可決
第43回中央委員会
自交総連は1月27日、東京・自交共済会議室で、第43回中央委員会を開催しました。22地方から49人が参加し、「コロナ危機突破、ライドシェア阻止 雇用を守れ、人間らしく暮らせる賃金確保 21春闘」をスローガンとする春闘方針を決めました。
今年度の中央委員会は、第43回定期大会と同様、新型コロナウイルス感染症の終息の目途がたたない現状を鑑み、組合員や関係者を感染から守るために書面開催となりました。
中央委員会では、月村隆浩中央委員が議長を務め、中執がリモートで議決結果を確認。21年春闘方針案、会計中間報告並びに会計監査報告、規約改正の予備提案を満場一致で決定しました。
雇調金・休業支援金の適正な運用を
休業手当は就労実績にもとづいて支給
厚労省に緊急要請
厚労省交渉=2月2日、東京・衆議院第一議員会館 |
自交総連は2月2日、コロナ対応の雇調金、休業支援金の改善、適正な運用について、日本共産党宮本徹衆院議員の協力をえて、緊急に厚労省に申し入れ、交渉を行いました。
交渉では、休業手当は就労実績にもとづいて支給するよう要請すると、厚労省は、休業手当は労基法の最低基準ではなく、実態に応じて支払ったものに助成すると周知したいと答えました。(下記参照、詳細は情報電子版21年4号参照)
ぐるりんあきう」試験運転始まる
乗合タクシー事業を行う
東北地連 秋保交通労組
「ぐるりんあきう」の発足式=1月18日、宮城・秋保総合支所 |
仙台市太白区秋保町で1月18日、予約制の乗合タクシー「ぐるりんあきう」の試験運行が始まりました。
市内4か所目の地域交通で、初めてとなる時刻表や停留所のないフルデマンド型として3月31日まで運行します。
運営主体は「秋保地区の交通を考える会」という住民組織です。そして、この会の結成を呼びかけたのは、自主経営の秋保交通と自交総連東北地連の秋保交通労働組合でした。
これまでの歩み
自交総連東北地連の秋保交通労働組合は、3年前から高齢化と少子化がすすむ秋保地区のある町内会長より「3つのバス会社が運行しているが使い勝手が悪いと町民から苦情がある。何とかならないか」と相談を受けました。 また同時に、秋保交通が送迎事業を行っている秋保幼稚園の保護者からは「卒園後、大きなランドセルを背負って便の悪い市バスを利用し、遠い小学校に通わせるのは困難」。地元医院の院長先生からは、「高齢者の通院の足がなく、診察後にバスの待ち時間のため1時間も2時間も待合室に居ざるを得ない状況にある」と相談があり、こうした事情から秋保交通は地域公共交通の整備が必要と考え、会の発足の呼びかけに至りました。 「秋保地区の交通を考える会」には、秋保町内すべての町内会、小・中のPTA会、秋保温泉旅館組合、みやぎ商工会秋保支部、仙台市地域交通係などのメンバーが参加。地域住民の合意形成や運営経費の負担率についての仙台市と協議、運行計画の策定などを議論を何年も重ね、フルデマンド乗合タクシーを秋保交通に委託することを確認しました。
事業の概要
「ぐるりんあきう」の運行は、平日午前6時〜午後7時。事前に電話予約するシステムです(下)。
まずは秋保地区でも路線バスが走っていない、使いづらい地区をカバーするために運行します。3か月弱の試験運行をクリアすると、最大1年間の試験運行や実証運行に移行します。
秋保交通の青野社長は、「秋保での事業はタクシー活用が前提。真の意味で地域密着のタクシー事業者になっていきたい」と自交総連東北地連の機関紙で語っています。
コロナで営収・賃金低下が深刻
21春闘アンケート集計結果
図1 平均勤続・経験・年齢 |
21春闘アンケートは、17地方3817枚の回収でした。前年より1地方増え593枚減っています。
平均年齢は58・3歳で前年より0・2歳若くなりました。年齢構成は、60歳以上が52%で、40歳未満は6%しかいません(図1〜2)。
図2 年齢構成(全体) |
収入「減った」が倍増
収入(年間)は、87%が「減った」と回答。前年より46ポイントも増加しました。
生活実感では、「苦しい」の計が74%で前年より11ポイント増えました。いずれもコロナの影響の深刻さが現れています(図3〜4)。
図3 収入(年間)について |
図4 生活実感の推移 |
休息期間11時間確保されず
仕事で運転中の経験を聞いたところ、タクシーでは、前日からの休息期間が、8時間未満11%、8〜11時間未満21%でした。合わせて32%の人が11時間未満となっています。
長時間労働が影響して、「前日の疲れが取れない」が71%、「交通事故を起こしそうになる」が62%、「安全確認がおろそかになる」が60%もいます。「居眠り運転をしたことがある」も27%になっています。
バスは、休息期間8時間未満8%、8〜11時間未満29%で、合わせて37%の人が11時間未満でした。疲れが取れない56%、交通事故…37%、安全確認…36%で、居眠り運転…は8%でした(図5)
図5−1 仕事で運転中の経験(タクシー乗務員) |
図5−2 仕事で運転中の経験(バス乗務員) |
「賃金が安い」が第一
職場での不満では、@賃金が安い、A退職金がない、B福利厚生が不十分、C職場なくなる不安、D労働時間長い……が上位です。 定時制など非正規の労働者の場合は、契約更新の不安が多くなっています。 職種ごと、地方ごとに、かなり違いがありますので、自分のところの要求をよく確かめることが必要です。 政府に対する要求では、@白タク合法化反対、A最賃引き上げ、B年金充実、C消費税引き下げ、D景気対策……が上位でした(図6〜7)。
図6 職場での不満(複数回答) |
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売上6割未満が74%
図8 緊急事態宣言後に |
コロナ関連では、タクシーについての集計で、緊急事態宣言後行われた措置として85%の人が全面・一部休業と答えています。休業期間は15〜30日が20%、31日以上が36%でした。
賃金補償は、全額35%、7〜6割28%、8割以上24%、なし7%となっています。
最悪時には、売上げが6割未満になった人が74%、4割未満が41%いました。月収10万円未満になった人が56%、6万円未満が19%、2万円未満という人も4%います。
コロナ対策の要望では、@休業補償10割69%、A雇調金拡充61%、BPCR検査拡充52%、C感染防止33%、D衛生資材備蓄29%の人がつよく求めています。(図8〜13)
図9 休業期間 |
図10 賃金補償 |
図11 一番ひどかったときの売上減少比 |
図12 一番ひどかったときの月収 |
図13 見直すべき職場環境 |
二度目の緊急事態宣言
雇用調整助成金だけでなくコロナ休業支援金の活用も
コロナで2回目の緊急事態宣言が発出、さらに3月7日まで期日が延長され、タクシー・バスの雇用状況も深刻化しています。
雇用調整助成金(雇調金)を使って休業していた会社でも、資金繰りが逼迫するなどで休業手当が払えないというところが出てくる可能性があります。その場合、労働者個人が申請するコロナ休業支援金・給付金の活用も検討する必要があります。
厚労省へ申し入れ
自交総連は2月2日、コロナ対応の雇調金、休業支援金の改善、適正な運用について緊急に厚生労働省へ申し入れを行いました。
そこで自交総連は、休業手当を決めるにあたって平均賃金を算出する場合、直近3か月の平均賃金とすると、歩合給であるタクシー労働者はコロナ危機のため大きく減少した営業収入に基づく賃金が基準となって、休業手当が少なくなってしまう例があると説明。直近3か月というのは、あくまで最低限と確認し、平均賃金は、コロナの影響のない時期の通常時の賃金をもとに算出することを使用者に教示、徹底するよう求めました。
厚労省は、過去の売上のいいときにもとづいて、このくらいという形で決めて支払われた休業手当は雇調金の助成対象になると回答。労基法の最低基準ではなく、実態に応じて支払ったものに助成するというのは周知したいと答えました。
さらに、労働者が申請したにもかかわらず使用者が協力しないために支援金が受けられないケースについて、業界団体などを通じて、休業確認への協力を周知・要請しているとしました。
また、厚労省は2月5日、政府方針として、休業支援金等および、雇用調整助成金の要件緩和を公表しました(左)。
○ 休業支援金・給付金の対象拡大
雇用調整助成金の活用もままならない中小企業の労働者だけでなく、緊急事態宣言の影響を受ける大企業の非正規雇用労働者についても対象とする
対象:大企業に雇用されるシフト労働者等であり、事業主が休業させ、休業手当を受け取っていない者
対象の休業期間:令和3年1月8日以降
○ 雇用調整助成金の雇用維持要件の緩和
緊急事態宣言対象地域の知事の要請を受けて営業時間の短縮等に協力する飲食店等の大企業や、生産指標(売上等)が前年又は前々年同期と比べ最近3か月の月平均値で30%以上減少した全国の大企業に関して、当該宣言が全国で解除された月の翌月末まで、雇用調整助成金等の助成率を以下のとおり最大10/10とする
解雇等を行わない場合の助成率
……10/10(これまでの特例措置の助成率3/4)
解雇等を行っている場合の助成率
……4/5(これまでの特例措置の助成率2/3)
新型コロナウイルスの影響調査
(国交省、全タク連)
タク営収 11・12月は悪化1月以降さらに厳しい見通し
10月までは若干の回復傾向だったタクシー営業収入は、第3波の感染者拡大を受けて、11、12月と連続して悪化しています(下表参照、詳細は情報電子版21年3号参照)。
支援制度については、資金繰り支援を98%の事業者が活用しており、97%の事業者が給付済み。雇用調整助成金を約82%の事業者が活用しており、約75%の事業者が給付済みとなっています。
実働率29%へ減少
貸切バスへの影響は、12月においては、運送収入が50%以上減の事業者が前月の39%から33%に改善も、冬の閑散期やGOTOトラベルの一時停止等により、実働率は前月の約44%から約29%に減少しており、依然厳しい状況が継続。
タクシーと同様、1月以降は67%の事業者が50%以上の運送収入の減少を見込むなど、厳しい状況となる見通しです。
支援制度については、資金繰り支援を93%の事業者が活用しており、91%の事業者が給付済み。雇用調整助成金を95%の事業者が活用しており、92%の事業者が給付済みです。
最低限の賃金補償を
緊急事態宣言が解除される3月7日以降の需要がどの程度回復するかは不透明です。
今後も、特例措置が延長された(上記事)雇用調整助成金・休業支援金などを活用し、最低限の賃金保障を守っていくことが必要です。