自交労働者No.948、2021年3月15日

コロナ危機突破、ライドシェア阻止

3・5中央行動

変動運賃導入の危険性訴える

声を出さずにシュプレヒコール=3月5日、東京・厚生労働省前
声を出さずにシュプレヒコール=3月5日、東京・厚生労働省前
参加者数

  自交総連は3月5日、21春闘で自交労働者の労働条件改善をめざし、コロナ危機突破、ライドシェア阻止を掲げて、3・5中央行動を実施しました。
  今年は新型コロナウイルスにより緊急事態宣言が発出されている状況なので、少人数の行動に切り替えて行いました。国土交通労組の仲間も駆けつけ、全体で28人が参加しました。
  国土交通省前で10時30分から集結。城中央執行委員長が主催者あいさつし、規制改革推進会議などが導入しようとしているタクシーの変動運賃制の危険性について訴え、署名を提出しました。その後、厚生労働省でも同様に請願行動を行いました。
  13時からは、自交総連の代表が国交省・厚労省・全タク連に要請・交渉を行いました(下記参照)。

コロナ対策強化して労働者を守れ

国土交通省・厚生労働省・全タク連交渉


変動迎車料金、初乗運賃か迎車料金の最大4倍

【2021.3.5 国土交通省交渉】
出席者
国交省 自動車局旅客課地域交通室田中幸久課長補佐、宮屋敷重行専門官、土肥祐二タクシー事業活性化調整官、他3人
組合側 城委員長、舞弓・庭和田副委員長、菊池書記長他8人(埼玉、東京4、神奈川、福岡、本部)

要 請 事 項 回 答 要 旨
1.新型コロナウイルス対策
 (1) タクシー臨時休車措置はコロナが終息するまで延長し、雇用調整助成金・休業支援金などの措置も延長するよう厚労省に働きかけること。
 
 (2) 重要な公共交通機関であるタクシー・バス産業の崩壊を防ぐため、事業者と労働者に対する直接的な金銭面での支援策、補助金・慰労金などの支給を行うこと。
 
 (3) 運転者と乗客の感染防止・予防対策として、マスク・消毒薬の配備、車内の仕切り、換気装置などの対策に助成措置をとること。  
 (1) 休車措置は3回延長し6月末までとした。コロナの影響をふまえ今後も適切に対応していく。雇調金等は、業界からの要望もあり、厚労省に延長を働きかけている。今後も要望していく。
 
 (2) 持続化給付金の紹介や自治体への働きかけをしている。
 
 
 
 
 (3) 新型フィルター、空気モニター等の予算措置をした。業界団体が作成するガイドラインへ助言をし、利用者のマスク着用の喚起につとめている。
2.需給調整
  コロナによる臨時休車・計画休業で運行を休止していた車両を、需要が回復しないまま、元に戻せば著しい供給過剰を招くおそれがあるので、恒久的な減車など需給調整をはかるための施策を講じ、地域協議会等で地域ごとに関係者が適時集まって減車などを協議する場を設けること。
  休車した車を戻すかどうかは事業者の判断による。国交省としては、タクシー活性化特措法の仕組みを活用して、各地方で適正化・活性化の議論していくことを後押ししたい。
3.ライドシェア阻止、規制緩和問題
 (1) 自家用車をつかったライドシェアの導入は認められないとの立場を今後も堅持すること。
 
 (2) 一括定額運賃、変動迎車料金などタクシーの新たな運賃・料金サービスについて、運転者の賃金に影響を与えないようにすること。
 変動迎車料金については、繁忙期に割高になることで障がい者や高齢者など日常的にタクシーを利用する乗客の負担が増えないようにすること。また、今後、繁閑により運賃本体を変動させる制度は導入しないこと。
 
 ――変動迎車料金は病院に行くお年寄りなど困るだけだ。苦情を言われるのは運転者だ。こんな制度をつくってほしいと利用者から要望があったのか? すでに実施しているところはあるか?
 
 
 
 
 ――変動迎車料金は、変動させる期間は予め設定するのではなく、リアルタイムで変動させるのか? 変動の幅は?
 
 ――ダイナミック・プライシングは、認可運賃制度の根幹にかかわるものだ。総括原価制度からも逸脱する。規制緩和の時も運賃の認可制度は守ってきたのに国交省の立場を投げ捨てるのか。
 
 
 
 
 ――外国の例とかいうが、タクシーでやっているところがあるのか。やっているのはライドシェアではないか。
 
 (3) 自家用有償旅客運送について、タクシー・バスのないところで行うという原則を堅持し、交通空白地の定義を緩和して、交通事業者・関係者の意向を無視して安易に拡大することのないようにすること。
 
 (4) 地域公共交通の維持、障がい者や高齢者の輸送にタクシーが貢献できるよう、補助金の増額など予算措置を講じること。
 
 (5)昨年実施および今後行われるタクシー運賃改定について、2007.3.28国自旅第325号通達、2019.12.10国自旅第213号通達の立場を堅持し、確実に運転者の労働条件の改善が実施されるようにすること。
 コロナ危機により需要が激減している実情に鑑み、労働条件改善の実効をあげるため、需給調整措置を講じるよう事業者を指導すること。
 (1) 運行に責任を負う主体を置かないライドシェアは認めるわけにはいかないと考えている。
 
 
 
 (2) 需要の新規開拓が期待できるものとして取り入れた。労働条件への影響、変化は注視していく。全利用者に受け入れられるサービスになるよう動向を注視していきたい。
 (ダイナミック・プライシングは)2月22日の規制改革推進会議で取り上げられた。利用者に受け入れられる制度設計が必要で、関係者の声を聴いてすすめていきたい。
 
 
 そういう課題があることは承知しているので今後も注視していきたい。利用者からの要望で出てきたものではないが、 外国での例なども参考に、業界団体のやるべき施策にも入っていて、やろうとなったものだ。パブコメで反対意見はなかった。まだ実施しているところはない。
 
 リアルタイムで変動可能だ。幅は初乗運賃か迎車料金の最大4倍まで認める。(雨や事故で急に高くなるようなものは利用者無視だと抗議)
 
 これから慎重に検討していく。上がったところと下がったところでトータルでは今の運賃の幅と変わらないものになる。少なくとも5割増とか減とかにはならない適切な幅で原価に収まるような制度になる。懸念されている点はわかるので、実証実験で、利用者の声、収入の変化などをよく調べて制度設計する。
 
 タクシーでやっている例というのは、わからない。ライドシェアにつなげようとかいう意図はない。
 
 
 (3) 自家用有償旅客運送は、バス・タクシーを補完するもので、登録に当たっては、地域の関係者で協議して実施していくという点は変わらない。
 
 
 (4) バリアフリーの推進のために、ユニバーサルタクシーの普及に努めている。所要の予算確保に努力していきたい。
 
 (5) 2007年の通達は、値上げ分が運転者の賃金に適切に反映されるようにするために出した。昨年の改定もこの通達に基づいて行った。今後も適切に対応していきたい。趣旨を逸脱する問題があれば、運輸局を通じて指導する。コロナ対応で臨時休車措置をつくった。
 (運転者負担の解消を、業界ぐるみで行わない地方もあるとの指摘に)協会で(解消しないと)申し合わせるとかは問題だ。運輸局を通じて調べて対応したい。


休業支援金の休業は過去の出勤実績に照らして判断

【2021.3.5 厚生労働省交渉】
出席者
厚労省 労基局監督課過重労働特別監督第三係多賀谷千尋係長、職業安定局雇用開発企画課大橋泰之課長補佐、雇用保険課戸原智晶課長補佐他2人
組合側 城委員長、舞弓・庭和田副委員長、菊池書記長他8人(埼玉、東京4、神奈川、福岡、本部)

要 請 事 項 回 答 要 旨
1.新型コロナウイルス対策
 (1) 雇用情勢の悪化が進行するなかで、雇用調整助成金の特例措置は、コロナが終息するまで延長し、1人1日の上限額の減額など改悪をしないこと。  雇用調整助成金の仕組みをよく広報・啓発し、適正に計算された平均賃金の100%の休業手当を支払うよう使用者に教示すること。平均賃金は、コロナ危機で大きく減少した賃金を基準にするのではなく、従来の通常時の賃金をもとに算出することを徹底すること。
 
 
 
 (2) コロナ対応休業支援金・給付金は、コロナ終息まで延長して実施すること。労働者が申請するときに、休業の確認など事業者が協力するよう指導すること。
 
 ――会社が休業しないので、基礎疾患やリスクのある人がやむを得ず休んだら休業支援金が出ない。コロナでやむを得ず休んでいるのだから、認められるべきだ。
 
 
 
 
 
 
 (3) 非正規雇用でシフト勤務の労働者をシフトに入れられないため休業した場合は、従来のシフト通り勤務すべきところを休んだものとして休業手当を支払うよう使用者を指導すること。
 
 (4) タクシー・バス乗務員のPCR検査が速やかに実施出来るよう検査費用を公費で負担すること。少なくとも検査に健康保険が適用されるようにすること。ワクチンの接種が可能になった場合は、安全性を確認のうえ、個人の同意のもとで、公共交通従事者に接種できる体制を整えること。
 
 (5)タクシーの営業収入が大幅に低下したことにより最低賃金法違反が多発しているので、監督を強化し、違反を是正すること。
 
 
 ――コロナの営収低下で最賃に抵触する例が増え、電子メーターで数分の停車時間を休憩扱いにして労働時間から除外する例がある。これはダメですね。
 
 
 
 
 (6) 大きく賃金が低下している労働者に対する直接的な金銭面での支援策、補助金・慰労金などの支給を行うこと。とくに、会社が休業せずに、賃金が低下したまま、何の手当もされない労働者を救済する方策を検討すること。
 (1) 雇調金の特例は4月末までで、雇用情勢が大きく悪化しない限りは、上限の引き下げなど段階的に戻していくことを考えている。感染が広がっている地域、とくに業績が厳しい企業については6月までは1日上限1万5000円、支給率10/10を適用させる。
 制度は何度も改正されているが、改正のたびにホームページなどで周知している。
 雇調金の(国が会社に払う)平均賃金の算出は、休業の初日が属する年度の前年度の雇用保険被保険者の賃金総額をもとに算出している。
 
 (2) これも4月末までで、今後、状況をみて適切に判断していきたい。事業者が休業確認に協力するようにリーフレット等で周知を図っている。
 
 過去の実績や本人の事情で(コロナ以外の理由で)休んだという明確な理由がない場合は休業と認める。休業支援金は労基法の休業手当の支払義務とはリンクしない。個々のケースはいろいろあるが、実績として過去にどれだけ出ていて、それがコロナで出られなくなったということが確認できれば、休業支援金の対象とできる。
 
 (3) 本来なら就業するであろう日があって、そこがコロナで休業だとなれば休業手当の支給対象になり、雇調金の対象になる。雇調金を使うよう周知をしていく。
 
 
 (4) PCR検査は、感染者が多数発生しているところでは、自治体の判断で検査を拡大している。その場合1/2が国の負担で、残り1/2も地方交付金で支払われるので実質全部国庫負担となる。ワクチンは、地方自治体が計画して順次、接種していくことになる。
 
 
 (5) ハイタクではH31年に325事業場に監督して74事業場で最低賃金を下回っているところがあり、是正させている。今後も最賃遵守の周知・啓発につとめていきたい。
 
 停車時間を一律に労働時間から除外して休憩時間とするのは認められない。休憩は労働から解放されていなければいけない。実態をみて判断し、指導を強化していきたい。そういう(労働時間除外の)仕組みがあれば直すように粘り強く指導していく。
 
 (2)の追加質疑と同。
2.改善基準改正について
 自動車運転者の労働時間等の改善基準告示は、拘束時間の短縮など長時間労働の是正に実効あるものに改正したうえで、罰則のある法制化を行うこと。とくに休息期間については現行8時間以上を11時間以上とすること。
 関連通達(平元3.1付基発第93号)で示された賃金制度等の基準、保障給の定め、累進歩合制度の廃止、年次有給休暇の不利益取扱いの是正についても法制化すること。
 現在、専門家会議で議論している。実態調査を実施して、その結果をふまえてこれから労働時間の議論に入る。休息期間については、十分ではないとの意見をもらっている。実態調査の項目にも入っている。
 93号通達については、義務化せよというお話だが、重要な課題になるので、見直す際には幅広く議論していきたい。


ダイナミック・プライシング 簡単にはまとまらない

【2021.3.5 全タク連交渉】
出席者
全タク連 武居利春副会長(労務委員長)、神谷俊広理事長他2人
組合側  城委員長、舞弓副委員長、菊池書記長

要 請 事 項 回 答 要 旨
1.新型コロナウイルス対策
 (1) マスク、消毒薬の配備、客室との仕切り、換気装置など乗務員と乗客の感染防止対策を強化するとともに、国や自治体に補助を要請すること。
 (2) 乗務員の安全確保のみならず、乗客の安全、タクシーの利用促進のためにも、運転者全員のPCR検査を実施すること。無償で実施出来るよう国や自治体に要請すること。ワクチンについては、接種が可能になった場合、安全性を確認のうえ、本人の同意のもとで、接種できるようにすること。
 (3) 雇用調整助成金を活用した計画休業は必要な限り延長して実施し、休業手当は平均賃金の100%を支給すること。雇調金の特例はコロナが終息するまで延長するよう政府に求めること。また、労働者が個人で休業支援金を請求する場合には、休業指示の確認などに協力するよう事業者に徹底されること。
 (4) 労働者が労働した場合には、当然ながら最低賃金が支払わなければならないことを全国の事業者に徹底し、法違反が発生しないようにすること。
 (5) タクシー産業と労働者の窮状を救う直接的な支援策、補助金などを国や地方自治体に要請して、事業の存続・労働者の生活を守るため努力されること。
 
 2.2021年春闘
 春闘に当たっては、各組合が切実な要求にもとづいて要求を提出するので、誠意をもって交渉にあたり、労働条件の改善にとりくまれること。
 
 3.需給調整、白タク合法化・ライドシェア阻止等
 (1) コロナによる計画休業で休んでいる車両を、需要が回復しないまま元に戻せば著しい供給過剰を招く。恒久的な減車など需給調整をはかるための施策を講じ、地域協議会等で地域ごとに関係者が適時集まって減車などを協議する場を設けるよう検討すること。
 (2) ライドシェア解禁を阻止するため、ひきつづき警戒心をもって労使共同してとりくまれること。
 (3) 地域輸送の主体はタクシー・バスが基本であるとの立場を堅持して、自家用有償旅客運送の安易な拡大に与せず、スーパーシティ法にもとづく国家戦略特区でのライドシェアの実証実験や解禁の動きに反対されること。
 (4) 地域公共交通の維持、障がい者や高齢者の輸送にタクシーが貢献できるよう、国への補助金増額など働きかけをつよめること。
 (5) 高齢者の雇用については、正規労働者と賃金・労働条件で差別することなく、また、安心・安全のために脳ドックを含む健康診断を徹底すること。
 (6) 一括定額運賃、変動迎車料金などタクシーの新たな運賃・料金サービスについては、運転者の賃金の減少や新たな負担が生じないようにすること。変動迎車料金については、繁忙期に割高になることで障がい者や高齢者など日常的にタクシーを利用する乗客の負担が増えないようにすること。また、今後、運賃本体を繁閑により変動させる制度は導入しないこと。
 (7) 昨年実施、また今後予定されている運賃改定については、運転者の労働条件改善のために行われるものであることを確認し、改定時のスライド賃下げを行わず、運転者負担の解消など確実な労働条件改善が行われるようにすること。
 (武居労務委員長)1月の営業収入の実績は悪い。廃業が現実化するのではないかと危惧している。全タク連として政府に支援の要望を出している。
 雇調金は、業績が30%下がったところは6月まで延長されるが、それ以降は延長されるか不安だ。計画休車をして最賃割れを防ぎながら雇調金を使い続けられるようにお願いしなければならない。
 社会保険料納付の猶予措置を使っていたところで、4月からダブルで払わなければならないところが結構ある。かなりの会社で廃業とか考えるところが出てくるのではないか。
 
 (政府・与党の反応は、との問いに)タクシーにだけ出せないというのが政府の立場のようだ。もっと苦しいところもあると言われる。
 
 (武居労務委員長)需給調整は、個々の協会ごとに協議会でやっている。全タク連として需給調整をやれというのは難しい。
 脳ドックの要望があるが、実施しているところは少ない。これは2万5000円かかり、5000円しか補助が出ない。国交省の方からも、今後何か言ってくるのではないか。問題意識は持っている。
 ダイナミック・プライシング等については、河野規制改革担当大臣がマスコミに表明したので、国交省から全タク連に、どう推進するのかという話があって、規制改革推進会議に出て文書を提出した。
 その内容は、リモート点呼については、営業所が複数あるところで4月から実験をやる。営業所と営業所間でITリモート点呼ができないかということだ。
 ソフトメーターは、現在のメーターが運賃改定のたびに変えないといけないので費用が掛かるので、中のソフトで対応できないかということだ。河野大臣は、ダイナミック・プライシングとリンクして考えているようだが、我々はそれを望んでいるわけではない。
 ダイナミック・プライシングは、現在の幅運賃から1割ずつくらい上下で変動させれば、お客さんも増えるのではないかということだが、増えるとは思えないという考えもある。もともとライドシェア対策として、ウーバーにできることはタクシーにもできますというつもりで活性化11項目に書いたら、書いたのだからやれと言われている。事業者にもいろいろ考えがあって、簡単にはまとまらない。とくに地方ではやろうという声がない。変動迎車料金で留めるつもりだったのだが…。ともかく実証実験はやらざるを得ない。

賃金確保に全力

最賃の確実な支払いを

2021年春闘

  新型コロナウイルス感染症は、昨年秋から全国で感染者が急拡大し、今年1月に10都府県に2回目の緊急事態宣言が発出され、首都圏では3月21日まで緊急事態宣言が再延長されるなど、コロナの終息はまったく見通せません。
  営業収入と同時に大幅に低下している賃金を確保するため、計画休業の実施、臨時休車措置を継続することを改めて経営者に徹底し、実施していないところでは、早急に実施させる必要があります。需給調整のためにも休業をさせることが重要です。
  休業手当をできる限り高くするために、平均賃金は過去のコロナの影響を受けていない時期の平均とし、支給率は100%をめざし、現在の条件を点検し、不十分なところは再交渉にとりみましょう。休業手当が払えないなどの状況にあるところでは、労働者が申請する休業支援金・給付金を活用することで対応します。
  休業していない場合、また休業していても勤務日には最低賃金の支払いが遵守されなければならないことを徹底し、最低賃金以上の確実な支払いをさせ、守らないところは労基署への申告も含めて断固たる対応を行う必要があります。

休業支援金を申請

  今年に入って北海道の大丸交通労組の組合員は、旭川市内でクラスターが発生したことに対応して、交渉によって自宅待機の賃金の100%の補償をかちとることができました。
  石川の冨士ハイタク労組では、会社が休業しないため、労働者が申請する休業支援金・給付金の申請にとりくみ、会社に休業確認に協力することを約束させました。

変動運賃制に反対

すべての組合が春闘要求提出を

第4回中央執行委員会

  自交総連は3月4日、第4回中央執行委員会をリモート併用でひらき21春闘の当面する対策(全文)を決めました。
  コロナ危機への対応として、休業による需給調整と休業手当の確保、労働者が申請する休業支援金の活用、最低賃金の確実な支払いを徹底して、すべての組合が春闘要求を提出して交渉をすすめることを確認しました。
  雇調金など制度の改善については国や自治体への要求をつよめ、政治を変えることも含め全労連・春闘共闘とともにたたかいます。
  急浮上したダイナミック・プライシング(変動運賃制)については、ライドシェアにつながる規制緩和政策として反対運動をつよめることとしました。

相談に応える体制を

3〜5月は組織拡大月間

全労連の最重点計画にエントリーしよう

組織拡大のためドライバーに話しかけ、宣伝行動にとりくむ福岡の仲間=19年1月25日、福岡・博多駅前
組織拡大のためドライバーに話しかけ、宣伝行動にとりくむ福岡の仲間=19年1月25日、福岡・博多駅前

  3〜5月は春闘時の組織拡大月間です。コロナ危機で深刻な状況に置かれている中、会社と団体交渉ができる労働組合への期待、関心はかつてないほど高まっています。
  実際に自交総連の昨年の新規加盟組合は一昨年の3倍近くになっており、宣伝と対話を広げ、相談に応える体制をつくれば、組織拡大の前進が図れる条件があります。
  地方・地域労連でも自交労働者の組織拡大に注目し協力しようとの機運が高まっています。協力して行動し、可能な地方は全労連最重点計画へのエントリーをめざしましょう。

重点計画とは

  組織拡大の重点計画は、地方労連・地域労連と調整会議をひらいて計画をたてます。そこで認定されれば、全労連から人的な支援と上限70万円の財政支援が行われます。
  現在、鹿児島地連でエントリーを計画中で、地連内での問題提起・県労連との話し合いがすすんでいます。

福岡の成功例

  19年に組織拡大計画を実施した成功例として福岡のとりくみを紹介します。
  福岡地連は、具体的なとりくみとして、独自交通共済と全労連共済をセットにしたドライバーセット共済を立ち上げ、自交総連に入ると手厚い保障が得られることをアピールしました。この共済リーフレットを組織拡大チラシと一緒に福岡市近郊の駅、空港、港、観光地のバス・タクシー乗り場で配布し、組合・共済への加入を呼びかけました。
  また、宣伝カーの組織拡大用看板を作成し、9月〜11月の間はほぼ1日おきに運行。すると、そのアナウンスを聞きつけた労働者からの相談が毎日のように舞い込みました。
  拡大計画はしだいに反響を呼び、福岡地連では20年には5組合が加盟し、組織内でも組合員がどんどん増えていきました。
  福岡地連は、このコロナ禍でも労働相談に応える体制を確立したことで、解雇撤回や休業手当100%の獲得などの成果をかちとっています。

コロナでも春闘はたたかう

各地で春闘学習会ひらかれる


春闘に向け意思統一

感染対策を講じながら開催=2月4日、東京・北とぴあ
感染対策を講じながら開催=2月4日、東京・北とぴあ


  【東京】東京地連は2月4日、北とぴあで春闘討論集会を開催。来賓、講師を含めて36人101人が参加しました。
  新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言下での開催で、検温と手指消毒、ソーシャルディスタンスをとる十分な対策を講じて実施しました。
  基調報告では、旬法法律事務所の山内弁護士・東京南部法律事務所の安原弁護士らから倒産・廃業問題について講演があり、春闘に向けて意思統一が行われました。


Zoom活用リモート講演

東京からリモートで講演を実施=2月16日、静岡・地連事務所
東京からリモートで講演を実施=2月16日、静岡・地連事務所


  静岡地連は2月16日、地連内事務所で学習会を開催しました。
  本部の菊池書記長が参加し、新型コロナウイルス感染防止対策のためZoomを活用して東京からリモートで講演を行いました。参考のために長崎地連の松永書記長がZoomで傍聴しました。
  地連・地本に、何人かで一緒に見られるパソコン、テレビ、モニターなどがあれば、本部のZoomアカウントでWeb学習会・会議を開催でき、リモートで講演やあいさつをすることができます。


全議案が全会一致で可決

  【大阪】大阪地連は2月25日、自交会館で第78回中央委員会を開催しました。
  昨年の第75回定期大会に続き今回の中央委員会もコロナ感染防止に万全を期すため、事前に各単組に送った議決票の返送確認をもって委員会出席とする書面開催となりました。
  議案採決では、議長が22議決票すべて「賛成」であることを確認。全議案が全会一致で成立したことを宣言しました。

共闘つよめ危機乗り越える

職場・地域の現状報告

交運共闘第32回総会

交運共闘第32回総会=2月26日、東京・浅草セントラルホテル
交運共闘第32回総会=2月26日、東京・浅草セントラルホテル

  交運共闘は2月26日、東京・浅草セントラルホテルで幹事は出席、代議員・オブザーバーはリモートで参加して第32回総会をひらきました。
  交運共闘は、交通運輸に関わる民間と公務の組合が結集して、交運労働者の労働条件改善、安全な交通の確保などにとりくんでいます。コロナ禍で深刻な影響を受けている鉄道・バス・タクシー・航空・港湾・公務の組合から職場・地域の現状の報告があり、この危機を乗り越えるために、共闘をつよめて、コロナ対策、国民の交通権の確立、規制緩和反対などにとりくむ方針を決めました。
  議長に城委員長、事務局長に光部泰宏検数労連書記長、幹事に菊池書記長が再任されました。

健康診断に脳ドックの義務付けを

検診未受診の処分強化案 国交省にパブコメ提出

  自交総連は3月9日、国交省の健康起因事故に関する行政処分の強化案についてのパブリックコメントで意見を提出、健康診断に脳ドックを義務付けることを要望しました。
  国交省は2月13日、運転者の健康状態の把握等を適切に行わずに健康起因事故を発生させた事業者を処分する行政処分基準の改正案を公表、パブリックコメントを募集していました。この改正案は、自動車運転者の健康起因事故が増加していることから、健康診断を未受診の運転者による健康起因事故を発生させた事業者を行政処分(初違反40日車、再違反80日車)の対象に追加するというものです。
  行政処分の対象に追加することは必要なことですが、多くの事故の原因となっている脳出血・脳梗塞などの病気は現行の健康診断では予見できません。
  したがって、健康診断の項目に脳ドック(MRA検診など)を義務付けたうえで、処分も強化するように求めています。
  脳ドックは2万円程度費用が掛かることから、現在は少数の事業者しか実施していません。しかし、高齢者を雇う以上は、その健康、安心・安全の維持をはかるのは事業者の義務です。費用への公費補助等も考えながら、利用者に安心して乗ってもらえるようにするべきです。
パブリックコメント全文

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  深刻化するコロナ危機への対応強化や春闘で経営者と積極的に交渉し、有利な条件をかちとっていくためには、学習を深めることが重要です。
  自交総連では、迅速な情報の提供のために『自交労働者情報』(電子版)を適宜発行しメールで配信しています(新聞の購読者は無料)。
  交渉に活用できるコロナ関連の記事は下表のとおりです。自交総連のHPの『速報・情報』のページでも閲覧できますのでぜひ参考にしてください。
  配信をご希望の方は、@氏名、A住所、B電話番号、C組合名(組合員以外の方は職業・所属)、Dメールアドレスを記入し、件名「電子版希望」として本部アドレス(info@jikosoren.jp)に送信してください。PDFファイルを添付する方法で配信しますので、受信可能なメールアドレスをご指定ください。


『自交労働者情報(電子版)』=HPに掲載、コロナ関連記事の一覧
20年6号 3/13 国交省・厚労省交渉 雇調金の活用確認等
  9号 3/31 コロナ禍で活用できる制度
  12号 4/10 東京の休業計画、コロナ禍で活用できる制度
  14号 4/17 国交省事務連絡 雇調金の活用について
  15号 4/20 厚労省 雇用維持についてのQ&A
  16号 4/23 コロナ対応休業
  18号 5/ 1 雇調金 厚労省・東タク協のQ&A
  20号 5/20 全タク連 感染予防ガイドライン
  22号 5/26 雇調金 教育訓練加算の計画例
  24号 6/10 雇調金 上限引上げ1万5000円に
  25号 6/30 雇調金の上限引上げはさかのぼって増額可能
  26号 7/ 8 休業支援金を新設 概要
  32号 8/26 コロナ解雇無効の仮処分決定 センバ流通事件
  35号 10/14 全タク連交渉 最賃違反なくすと回答
  40号 11/ 2 地方自治体によるタク・バス支援策
  41号 11/ 6 国交省・厚労省交渉 雇調金と最賃違反の問題等
  44号 12/23 春闘アンケート コロナ関連の回答、声
21年1号 1/12 個人が申請する休業支援金の概要
  4号 2/ 5 厚労省交渉 雇調金・休業支援金の適用等
  6号 3/ 2 雇調金・休業支援金特例の延長
  7号 3/ 9 国交省・厚労省・全タク連交渉 雇調金・休業支援金等