春闘方針案を満場一致で可決
第44回中央委員会
感染防止を徹底しながら中央委員会を開催=1月27日、東京・自交共済事務所 |
自交総連は1月27日、東京・自交共済会議室で、第44回中央委員会をリモート併用で開催し、「コロナ危機を乗り越え、かちとれ賃金増、さらなる規制緩和阻止 22春闘」をスローガンとする春闘方針を決定しました。12地方から30人が出席しました。
中央委員会は、新型コロナウイルス・オミクロン株の急速な感染拡大により会場参加人数を縮小し、オンライン参加を中心とした開催となりました。
日本共産党、全労連、交運共闘から激励のメッセージが寄せられました。
城委員長あいさつ
城委員長 |
コロナ禍にあって、我々ハイタク労働者は感染と隣り合わせのなか、ともにエッセンシャルワーカーでありながら、看護師・介護士・保育士と比べて一番低い賃金下で働いています。今春闘では、労働者を雇いながらまともな賃金も払わない、払えない事業者の社会的責任を追及しようではありませんか。
労働者不足が蔓延し、車庫に眠る遊休車両も多くなるなど、タクシー事業者に求められる能率的な経営となっていないのが実態です。1年間タクシー車両が車庫に眠っていても80万〜100万円の経費が収益もない中で消えていきます。そのような非効率部分を、減休車制度、特に現在は特例制度も使えるわけですから減らし、その分の経費をタクシー労働者に還元すべきだと思います。
長引くコロナ禍は、自交労働者の暮らしに甚大な影響を与えています。営業収入の激減で多くの仲間から悲鳴があがっています。生活ができない、いつ回復するかわかないなど将来性がないと離職する労働者も増えていることで、タクシー事業の存続さえ危ぶまれています。労働条件の改善はまったなしということです。
現在、改善基準告示の見直しの議論が審議されています。審議の中で厚労省が休息期間11時間と提案したものを、9時間とする追加案を示しています。使用者側は11時間を拒絶しているようですが、これは公共交通の安心安全よりも事業の存続、利益を優先するものです。労働者と利用者を守る意味でも、健全な事業を続ける意味でも改善が必要です。そもそも事業者のなかには改善基準告示は罰則がないから守らなくていいと豪語する人たちがいることから改善の上に法制化することが求められます。
また、国土交通省の変動迎車料金、相乗りタクシー、変動運賃の制度化の動きも注視する必要があります。
いくつかの地方で運賃改定の動きがあります。現在のような経済状況の中で増収を確保することができるのか分析が必要です。改定の前に減休車などやるべきことを行うべきだと強調します。増収あってこそのノースライドですから、改定して減収では労働条件改善とはいえないという自交総連のたたかいの中の教訓を今一度確認しなくてはなりません。
たたかう力を養う、その前提として今春闘では賃金労働条件の改善をかちとらなくてはならないことを意思統一したいと思います。
コロナ禍で「人並みの生活できない」
ZOOM使用で7地方9人が発言
第44回中央委員会
ルール守らせるたたかいを
(1)吉根さん |
(1)北海道・吉根清三さん 昨年の国際自動車事件で出された「歩合給の割増賃金をそのまま控除することは労基法の趣旨に反する」「労働者に必要経費を負担させる慣行はやめさせるべき」という最高裁判決は賃金制度改善の大きな武器だ。コロナ後の労使関係で、会社に法に基づき最低限のルールを守らせるたたかいを今からみんなで組んでいく必要がある。賃金制度を中心とした分断をはねかえさなければ、組織拡大にも結びつかない。
集会で運賃と賃金を再学習
(2)月村さん |
(2)東京・月村隆浩さん 地連では昨年タクシーへの変動運賃制導入に反対する宣伝行動を実施した。利用者に危険性を訴えていく行動は今後も継続する。
運賃改定については2月の春闘討論集会で、運賃と賃金の関係を再学習し、運賃改定増収分は賃金へ向かうよう経営側に事前担保の確認を求めていく。
また、定額乗り放題のサービスの都内への進出は形を変えたライドシェアだ。車があふれ、公共交通機関の破壊につながると都や区に訴えていく。
ひとつでもかちとる要求を
(3)松下さん |
(3)静岡・松下靖史さん コロナ禍で給料が減り、いつまでたっても人並みの生活ができない。今春闘では、そんな中でも一生懸命売り上げをつくってくる仲間のために要求を集約して、なにかひとつでもかちとれるように要求を出したい。
会社も大変なのは実感しており、なかなか賃上げにつなげるのは至難の業だが、免許証の返納割引の割引分が売り上げに反映されていないなど問題を精査して要求にのせたい。
割増賃金請求訴訟へ支援を
(4)横田さん |
(4)高知・横田春吉さん 地連のさくらハイヤー支部で割増賃金の支払いを求めた裁判闘争が起こっており、2月には提訴することになっている。
この結果はオール歩合給で働くタクシー労働者に大きな影響をもたらすものとなる。オール歩合給制度には割増賃金を通常賃金に含めてしまうという誤魔化しができるカラクリがある。この訴訟をきっかけに組織拡大につながることが期待される。本部にも支援をお願いしたい。
変動運賃制の導入に反対を
(5)政井さん |
(5)東京・政井光夫さん タクシーへの変動運賃制導入について、この制度はドライバーが需要が高いエリアに移動していくため、車が集中しすぎれば供給過多になり、結局ドライバーも損をする。
また、高齢者など通院に日常的にタクシーを使う利用者に混乱を招くことになる。
自交総連として国交省に対し引き続き導入阻止の運動をしていくと共に、ライドシェアにつながらないようにアプリ事業者に道路運送法を順守するよう働きかけることを経産省へ要請すべきだ。
コロナ禍での運動どうする
(6)松永さん |
(6)長崎・松永利秋さん 2点発言がある。ひとつめはネット署名について、これをどう拡散するか全国のみなさんも悩んでいると思う。私はラインなどでとにかく仲間に広げるようにしている。
ふたつめはコロナ禍で運動ができないことだ。昨年も春闘時期にビラまきができず、今年も実施するかとても悩んでいる。今はビラも配れない。そこでバルーンを上げて宣伝するなどするのはどうだろうか。本部に検討してもらいたい。
最賃獲得で2人の新規加入
(7)田中さん |
(7)鹿児島・田中哲夫さん 昨年、全労連の組織拡大総がかり行動にエントリーし、調整会議を重ねながら、最低賃金獲得を柱としたとりくみを行うことを決定した。そして昨年12月、会社と団体交渉を行い、その結果、最賃を支払うことが決まった。大きな成果だがここからが勝負で、組織拡大することが最終目標だ。さっそく2人の新規加入があった。これをもとに宣伝行動に活かしていきたい。
総括討論
賃金体系の切り替えを
(8)佐々木さん |
(8)東北・佐々木義孝さん 東北地連ではタクシー規制緩和20周年を迎えるにあたり、抗議の宣伝行動を実施する予定だ。
コロナ禍の中で、東北地連は団体交渉で4名の乗務員を職場復帰させ、さらに突然の整理解雇を強行したセンバ流通、会社が黒字経営なのに廃業した鹿島タクシー、バスガイドを雇止めしたみちのく観光の3件の裁判を提訴し、いずれの裁判もマスコミが大きく取り上げ、地域的にも抑止効果を果たした。
コロナ禍で今明らかとなってきたのが賃金体系の問題だ。助成金を活用しない会社では最賃割れが多発し、昨年秋以降、最賃の差額請求が相次いでいる。
問題はオール歩合給賃金にあり、春闘では固定給+歩合給の賃金体系への切り替えが必要となる。集団交渉の再構築や未組織労働者の組織化、企業内組合との共同のとりくみが求められ、産業別労働組合の力を発揮すべき時だ。
タクシー労働者に対する直接的な補助や適正な運賃体系の確立、規制緩和反対のたたかい、そして組織拡大と若手活動家の育成を進めることが重要だ。
春闘で生活できる賃金を
(9)林さん |
(9)東京・林悦夫さん 東京地連では、年初に新春宣伝行動として、全労連と最賃宣伝を行い、その後、総務省前でダイナミック・プライシング導入反対宣伝を行った。
この制度はタクシーの公共性を破壊し、利用者利便を損ない、乗務員にメリットはないと訴え、ビラ入りティッシュを200枚配った。また、定期的に未組織宣伝と合わせて宣伝カーから利用者へダイナミック・プライシングの危険性を訴えている。
この規制緩和は、有力資本家などが自分たちの利益につなげるために推進し、政府の中心人物が承諾しているもので、国民に背を向けた政治になっている構図が顕著だ。このような政治のあり方を労働組合も参画し、市民と野党の共闘で国民本位の政治にすることが重要だ。
運賃改定については、まず減車を先にせよと事業者団体に求めている。効率的な経営を求めたうえで、今春闘では生活できる賃金を求めて交渉していく方針だ。
法律を守らせ賃金増
賃金、政策課題、政治闘争、組織拡大を
執行部答弁
菊池書記長 |
9人から発言がありました。
賃金増の課題では、北海道・高知から割増賃金の適正な支払い、静岡から運転者負担の改善について積極的な発言があり、鹿児島からは、すでに最低賃金の支払いをかちとったことが報告されました。
東北からは、固定部分を確立した賃金体系の改善が必要だという提起もありました。コロナでぎりぎりの状態になっている労働者の暮らしを守るために、経営者に法律を守らせ賃金増をかちとりましょう。
政策課題では、変動運賃制反対などで、街頭にも出て行動していることが東京の3人から報告されました。
東北からは、自治体にタクシー政策を実行させる経験も語られました。さらなる規制緩和阻止が必要です。
政治闘争では、東京から、規制緩和をすすめる新自由主義とのたたかいの必要性が指摘されました。悪い政治を変えない限り、自交労働者の要求は実現しません。参議院選挙で政治を変える必要があります。
変動運賃問題、解雇事件について報告
11地方24人の弁護士が参加
第44回弁護士交流会
第44回弁護士交流会=1月26日、東京・自交共済会議室 |
自交総連第44回弁護士交流会が1月26日、WEB会議形式で行われ、11地方24人の弁護士が参加、自交総連からは14人が傍聴しました。
会議では、基調報告として、@ダイナミックプライシングの問題点・自交総連顧問弁護団の意見書について(林治弁護士、代々木総合法律事務所)、A自動車運転者の労働時間規制----とくにインターバル規制の動向(菊池書記長、自交総連本部)が行われました。
林弁護士は、自交総連顧問弁護団で昨年作成した『タクシーへのダイナミック・プライシング(変動運賃制度)導入に反対する意見書』について解説。同制度について現状を説明し、法律上どういった違反や問題があるのかを報告しました。
特別報告として、@割増賃金が歩合給から引かれる賃金の問題、東交通事件(齋藤耕弁護士、北海道タクシー労働者支援弁護団)、Aみちのく観光バスガイド不当解雇事件、組合に対する信用・名誉棄損に基づく損害賠償請求事件、鹿島タクシー不当解雇事件(長沼拓弁護士、一番町法律事務所)、B運転者負担を会社の不当利得として返還請求している事件、日本自交労組(新宅正雄弁護士、代々木総合法律事務所)が報告され、意見交換がされました。
休息期間11時間/9時間で対立
バス労働側が努力義務を容認の発言
改善基準改正審議
審議が行われる会場前で宣伝行動=1月14日、東京・三田共用会議所前 |
改善基準告示の改正を審議する労政審の第7回専門委員会が1月14日に開かれました。菊池書記長が傍聴しました。
前回のハイタクとバスの作業部会で、休息期間11時間の当初案を後退させる9時間という追加案が出されてから初めての専門委員会で、休息期間などについて労使が意見を出しあいました。ハイタクの労使は、9時間と11時間で対立して平行線でしたが、バスの労働側委員(交通労連)が、11時間は努力義務でいいととれる発言をしたため、バスでは9時間案が通ってしまう危険性があります。
審議の重大局面にあたり、会場の前で、インターネット署名に共同してとりくんだ雇用共同アクションが宣伝行動を行い、東京地連、交運共闘の仲間が参加しました。
全労連の黒澤事務局長が、休息期間11時間は世界の常識と訴え、菊池書記長が審議の経過に触れて11時間で決めてもらいたいと、審議に参加する委員、厚労省に呼びかけました。
審議では、改善基準改正については、項目ごとに労使の委員が意見を出し合い、まとめはしませんでしたが、ハイタク、バスについては3月頃にとりまとめるというスケジュールが示されました。
これを受け、自交総連は新たなインターネット署名を企画し、2月17日のバス作業部会までに集約する方向でとりくみます。
一時金支給、最低賃金アップなど賃金対策が要望の大多数
22春闘アンケート 自由設問の回答
前号に引き続き、22春闘アンケートの集計結果を紹介します。
自由設問欄では、新型コロナ禍における雇用、賃金、一時金などについての気持ちや政府への要求、自交総連・全労連への要望を聞きました。
文章を一部要約し、問題によって分別して掲載します(注・回答時期は21年秋〜冬)。
賃金が安すぎる
生活について痛切で生々しい声がたくさん寄せられました。
●緊急事態宣言が明けた10月、東京のタクシーの台数の多さに改めて驚きました。今まで、タクシー利用の主流であったビジネスマンが半分も戻ってきていない中、売り上げ(営収)はほとんど伸びず気落ちしています。今後、以前のような活気ある東京が戻るでしょうか? あふれかえる東京のタクシーの行方(ドライバーも含め)非常に将来を懸念します(東京)
●コロナ前と比べると給料が20〜30%減っており、全国民に10万円支給がありましたが、2〜3か月分の補填で終わっており、もう少し手厚い手当が欲しい(宮城)
●関市でタクシーに乗って仕事をしているのですが思ったより売り上げが少ないような気がする(愛知)
●給料が安い。補償が少ない(東京)
●タクシー業界の悲惨な状況をメディアで報道して(東京)
●現状の賃金では生活できない。大変苦しい状況である(福島)
●働きがいのある仕事に! 人並みの給料に!(山梨)
●賃金が安すぎる(静岡)
●緊急事態宣言中は私個人は持病あり、通勤の距離が長い、年齢が高いなどにより休みましたが、給料は1円も支払われません。最初は最低賃金はもらえるものだと思っていましたが、これからの生活が心配です(東京)
もう一度一時金を
苦しい実態から、とにかく「もう一度一時金を!」という意見が大勢を占めました。
●ぜひ一律10万円の支給をお願いいたします(埼玉)
●一時金の金額が少なすぎます。貯蓄した預金が全てなくなりました。老後の生活が大変になります(静岡)
●もう一度全世帯に一時金を配ってほしい(静岡)
●コロナ禍で一時金が補償されるのは一部の業種だけで、どの業種も危険度はあると思う。もう少し全体を見渡してほしい(大分)
●長引く不況の中、生活の不安、将来の不安、先行きの見えない状況です。一時金をもっと充実してもらえれば精神的に楽になると思います(東京)
一時金の給付対象、方法も様々な意見がみられました。
●労働条件などをクリアした場合でも、一定収入に達しなかったときは、給付金の支援をしていただけるとありがたいです(東京)
●政府には、収入より(申告)完全給付金を実行してほしい。10万円以上(鹿児島)
●年収300万円未満の世帯に一律100万円を支給してほしい(東京)
●一時金は看護師、ひとり親、失業者を中心に支給(東京)
●低所得者への給付金(埼玉)
●一律給付ではなく、前年度年収ごとに分けるべき(東京)
●給付金も0才の子供に10万円というのはおかしいと思います。学生は収入がないのに労働者と同じ金額は考えられません(埼玉)
最低賃金あげて
賃金政策として最低賃金アップを求める意見も多くありました。
●できれば最低賃金をあげてもらいたい(東京)
●最低賃金950円希望(静岡)
●最低賃金を早期に1000円に引き上げ、貧困と格差をなくしてほしい(山形)
●最低賃金の保障(東京)
●最低賃金の引き上げ、1500円程度に。福利厚生への監査をきびしく(東京)
消費税0%で
その他の賃金・労働条件に関しては、次のような声が寄せられました
●緊急事態宣言中、休業日は3日で1万5000円の手当を受けましたが少ないです。休業日の補償だけではなく、コロナ禍に於いての営収減の補償を願いたいです(静岡)
●新型コロナ禍で一時金が保障されるのは一部の業種だけでどの業種も危険度はあると思う。もっと全体を見渡してほしい(大分)
●所得が減った運転手への賃金支援。マスク着用義務化(東京)
●必死になって働いてもこの低賃金では涙も出ません。まじめに働く人が報われ、きちんと生活ができるようにしてほしい(東京)
●感染防止を第一に、社員の健康と安全を考えるべき(埼玉)
●ウーバー配達員の交通マナーの悪さ、その運営をしているウーバーなど白タクを推奨している竹中平蔵氏の意見を取り入れている政府はもう少し国民(労働者)の声を聞いてほしい(埼玉)
●雇用調整助成金は新型コロナが終息するまで100%出すべきだ! 補助金の手続きはもっと簡素化すべき(東京)
●ドライバーにコロナ助成金などで助けてほしい(東京)
●休業をして、タクシー台数を減らすべきだと思う。まわりに空車ばかりで奪い合うような運転マナーは誰の為にもならない。生活を歩合によって握られているため、調整をいれてマナーを健全にしていく必要があると思う(東京)
●この時期だけに消費税を0%にしてほしい(東京)
もっと助けて
また、こんな政府への意見もありました。
●何も変わらない(東京)
●休業要請とか安易に発令するのは簡単だが、やられた側はたまったもんじゃない。感染拡大しているのは何も対策をとらず自分勝手な行動をしている個人。この対策をせず飲食店やエッセンシャルワーカーが悪者扱いされたり、人流が……等と安易に言ってほしくない(東京)
●国、地方のトップリーダーの能力なし、江戸時代で仕事をやっている(宮城)
●もっと国民を助けろ!(埼玉)
●雇用と賃金対策と補償がない、法律で改善を(東京)
●政府が無策・無能。国民の方を見た政治を(東京)
最後に自交総連・全労連への要望を紹介します。
●労働組合でがんばってほしい(静岡)
●75歳以上になっても健康であれば1年ずつの雇用を継続してほしい思いです(東京)
●一時金等の情報をもっと教えてほしい(東京)
●一日の売上が下がり、賃金も下がる次第。賃金が下がった分の補填をしてほしい。このことを自交総連や全労連が国に要求してほしい(埼玉)