自交労働者No.959、2022年3月15日

労働条件改善、コロナ危機突破を

3・2中央行動

42台の車両が集結、3500筆の署名提出

主催者あいさつする城委員長(右上写真の中央)、感染防止対策しつつ請願行動を行う自交総連の仲間=3月2日、千代田区・国土交通省前
参加人数

 自交総連は3月2日、22春闘で自交労働者の労働条件改善をめざし、人間らしく暮らせる賃金確保、雇用を守れ、コロナ危機突破、変動運賃制度反対、白タク合法化阻止、休息期間11時間への改善基準の改正などを掲げて、3・2中央行動を実施しました。
 代表と車両による署名提出を行い、全体で70人と車両42台が参加しました。
 10時30分から決起行動を開始。国土交通省前でタクシーが列をつくる中、城中央執行委員長が主催者あいさつし、全労連の清岡副議長、交運共闘の安附事務局次長が連帯あいさつしました。
 菊池書記長が請願書を読み上げ、代表が請願書を国交省の係官に手渡しました。その後、厚生労働省にも署名提出を行いました。
 13時からは、自交総連の代表が国交省・厚労省への要請・交渉を行いました(下記参照)。

国土交通省・厚生労働省、全タク連交渉

   →全文はこちらにあります
厚生労働省へタクシー労働者の悲痛な現状を訴える城委員長(左中央)=3月2日、千代田区・参議院議員会館
厚生労働省へタクシー労働者の悲痛な現状を訴える城委員長(左中央)=3月2日、千代田区・参議院議員会館

臨時休車復活の延長、経営効率化に活用して

【2022.3.2 国土交通省交渉(抜粋)】
出席者
国交省 自動車局旅客課土肥祐二タクシー事業活性化調整官他6人
組合側 城委員長他12人
議 員 日本共産党武田良介参院議員と秘書

交渉内容

「特例貸し付けは返済免除ある」

【2022.3.2 厚生労働省交渉(抜粋)】
出席者
厚労省 職業安定局雇用開発企画課 赤羽幸治郎産業対策係長他7人
組合側 城委員長他12人
議 員 日本共産党武田良介参院議員と秘書

交渉内容

「臨時休車を利用する雰囲気になりつつある」

【2022.3.3 全タク連交渉(抜粋)】
出席者
全タク連 武居利春副会長(労務委員長)、神谷俊広理事長他3人
組 合 側 城委員長、舞弓副委員長、菊池書記長、堀井中執、徳永中執

交渉内容

命を守るため休息期間11時間に

高橋千鶴子、宮本徹衆院議員が質問

改善基準改正についての国会質疑

 改善基準告示改正の問題が国会でもとりあげられ、日本共産党の高橋千鶴子衆議院議員が国土交通委員会で3月2日、同宮本徹衆議院議員が厚生労働委員会で3月4日に質問し、労働者の健康と利用者の安全のために休息期間は11時間にするべきだと厚労省、国交省に迫りました。

労働者の健康守る責務ある

質問する高橋千鶴子衆院議員=3月2日、衆議院国土交通委員会(衆議院インターネット中継から)
質問する高橋千鶴子衆院議員=3月2日、衆議院国土交通委員会(衆議院インターネット中継から)

 ○高橋千鶴子衆院議員(共) 18年の働き方改革で、過労死を防止する観点から改善基準を改正することとされたが、自動車運転者がワーストという状況がいまも続いている。
 改善基準告示改正では、厚労省が出した追加案では、休息期間を11時間以上と努めることとし、9時間を下回らないこととする、という書きぶりになった。これでは毎日9時間でもよいということになりますよね。
 ○小林高明厚生労働大臣官房審議官 もろもろの基準を組み合わせると、15時間以上の拘束、9時間未満の休息が毎日続くということにはなりにくい基準になっている。
 ○高橋議員 使用者側はインターバル規制を厳しくすると利益が上がらないと消極的だ。利益優先で労働者軽視になる。運転者の健康と利用者の命、安全を守るという責務が使用者側にあり、そのために国交省としても指導責任を果たすべきではないか。
 ○斉藤鉄夫国土交通大臣 労働者の健康と利用者の命、安全を守るという責務が運送事業者にあり、そのため過労運転による交通事故の防止や将来の担い手確保の観点から長時間労働の是正は重要な課題と認識しており、労使が納得した上で、効果的かつ実効性のある基準に見直されることが重要であると考えている。

11時間案には医学上の根拠

質問する宮本徹衆院議員=3月4日、衆議院厚生労働委員会(衆議院インターネット中継から)
質問する宮本徹衆院議員=3月4日、衆議院厚生労働委員会(衆議院インターネット中継から)

 ○宮本徹衆院議員(共) 改善基準告示改正について、当初の11時間には医学上の根拠があった。命を守り、安全を守る根拠があったが、その後9時間に後退したものについては、言われたからそうなったんだという以上のものがない。
 一番大事なのは命を守ること、運転者の命を守ることが国民の安全を守ることなんだと、こういう認識をもって臨まなければいけないのではないか。
 ○後藤茂之厚生労働大臣 自動車運転者の過重労働を未然に防ぐことは、労働者自身の健康の確保のみならず、国民の安全確保の観点からも非常に重要と私も認識している。
 ○宮本議員 そういう認識があるなら、使用者側に言われて後退した方向で決めるのではなく、過労死は許さないという方向で、告示の見直しを求める。

   →全文

ロシアのウクライナ侵略に抗議し、
直ちに撤退、平和の確立を求める決議

22年3月1日 自交総連第4回中央執行委員会

 自交総連は3月1日、「ロシアのウクライナ侵略に抗議し、直ちに撤退、平和の確立を求める決議」を採択しました。
 決議は、22年2月24日に開始されたロシアのウクライナへの軍事侵攻を糾弾し、ロシア政府・プーチン大統領を厳しく抗議するもので、日本政府は、世界各国と協調して外交努力で必要な措置をとり、平和的解決のために力をつくすべきとしました。
 また、これに乗じて、国を守るためには軍拡や核武装が必要だととなえ、憲法9条改悪に利用しようとする勢力があると指摘。憲法9条は、第二次世界大戦の惨禍を再び繰り返さぬことを誓い、他国を軍隊で侵略しないように歯止めをかけるもので、軍事力に軍事力で対抗し、核兵器で威嚇しあうことは、核戦争で人類を滅ぼしかねない危険な道と警鐘を鳴らしています。
 自交総連は、軍拡、核武装、改憲策動に断固反対し、平和を求める世界中の労働者・労働組合とともに、悲惨な戦争を直ちにやめることをつよく求めます。

   →全文

「11時間は努力規定に」と使側が強硬に主張

タク作業部会も結論は持ち越し

改善基準改正 休息期間

会議が行われる会場前で宣伝行動=2月21日、港区・中央労働委員会会館前
会議が行われる会場前で宣伝行動=2月21日、港区・中央労働委員会会館前

 改善基準告示改正を審議する労政審の第5回ハイヤー・タクシー作業部会が2月21日にリモート会議で開かれました。開催前には雇用共同アクションで宣伝行動を行い、会議は菊池書記長が傍聴しました。
 焦点の休息期間について、厚労省事務局は17日のバス作業部会と同じ「継続11時間以上の休息期間を与えるよう努めることとし、継続9時間を下回らないものとする」(日勤)という修正案を提示しました。使用者側はこれで了解としましたが、労働者側は「原則11時間は外せない」「『与えるよう努めること』を『与えること』」とするよう主張しました。これに対し使用者側は、「努める」を入れないと全国の事業者に説明できないとして、11時間を努力規定から原則とすることには強硬に反発しました。労働側から一部妥協するような発言もありましたが、結論は出ず、次回タクシー作業部会(3月18日)までに事務局で新たな文案について検討することになりました。

世論を盛り上げて

 東京新聞が2月16日、18日と連続して朝刊1面でこの問題を取り上げ、過労死が多い業界に休息期間11時間は必要との識者の声も紹介しています。
 衆議院予算委員会の公聴会では2月15日、全労連の小畑議長が公述人として、休息期間を11時間以上とする基準の設定を強くお願いすると述べました。
 日本労働弁護団も2月17日に声明(下)を出しました。  世論の関心が高まっています。自動車運転者の休息期間が9時間では充分に眠る時間がないということは、内容が知られれば多くの人の賛同を得られる問題です。さらに第2弾インターネット署名を広げて、国会質問(1面参照)などでも世論を盛り上げることが重要になっています。

追加案、リスク増加させる

 日本労働弁護団は2月17日に「11時間の休息を入れることを求める声明」を出しました。
 声明では、厚労省の提示した追加案(休息時間原則9時間)について、「連日の勤務を想定した場合、休息時間11時間を原則としない追加案を採用してしまうと、勤務間インターバルも必然的に11時間を切ることとなる」とし、「脳・心臓疾患を引き起こすリスクを増加させることを容認していると言わざるを得ない」としました。
 さらに、「ILO勧告において、休息時間は原則11時間以上、短くとも8時間を下回れないとされており、EUでも24時間に対して休息時間を原則11時間、週3回は9時間に短縮可能と、これに準じた措置をしている」と説明。「弁護団として、以上の通り、労働者の健康を守るため、バス・タクシー・トラックいずれの業種についても、さらに拘束時間の上限を引き下げるとともに、いずれの業種についても、休息時間を原則11時間とすることを求める」と結論づけました。

交運労働者の共闘を

改善基準告示改正で全力

交運共闘第33回総会

交運共闘第33回総会=2月25日、台東区・浅草セントラルホテル
交運共闘第33回総会=2月25日、台東区・浅草セントラルホテル

 交運共闘は2月25日、第33回総会をリモート併用でひらき、新年度運動方針を決めました。
 光部事務局長は、交通運輸に働く民間と公務の労働組合が、規制緩和反対、交運労働者の労働条件の向上のために協力して運動をすすめ、11月の中央行動や地方交運共闘も参加して学習会を行ってきたことを紹介しました。今後も共闘をつよめ、当面して改善基準告示の改正に全力をあげようと方針を報告しました。
 鉄道・トラック・港湾・国土交通省など各産別組合と地方交運共闘から発言があり、自交総連からは菊池書記長が、改善基準告示改正の動向を報告して、3月中にバス・タクシーが決着する状況で、休息期間11時間が必要だと報告しました。建交労からも、バスの使用者側が健康を無視して11時間に反対していることを糾弾する発言がありました。
 総会では、議長に城委員長、事務局長に検数労連・光部書記長、幹事に菊池書記長が再任されました。

22年参議院選挙闘争方針【1】

政党との関係と選挙闘争の基本方針

 岸田政権は、憲法改悪を狙い、福祉・社会保障の切り捨て、規制緩和を推進するなど、その実態は歴代の悪政と何ら変わりません。この政治を変えるため、7月に行われる参議院選挙では、コロナ危機で甚大な被害を受けている自交労働者のくらしを守り、ダイナミック・プライシング導入、さらなる規制緩和、ライドシェア導入を阻止して、安心・安全な地域公共交通を確立する政治を実現する道筋をつけなければなりません。
 ロシアによるウクライナ侵略が発生しました。戦争に反対し、ロシアに厳重に抗議し、平和の確立求めます。国内で、この戦争に乗じて、軍拡、核武装、9条改憲の動きに警戒し、危険な策動を止めなければなりません。
 市民と共闘するなかですすんだ野党共闘は、支配勢力の攻撃で、分断の危機にありますが、野党が協力しない限り、悪政の転換はできません。参議院選挙では、分断の立場に立ち与党にすり寄る勢力ではなく、国民と共同する立場に立つ勢力を伸ばして、自公政権に代わる新しい政治をめざしましょう。
 すべての自交労働者が国の政治に関心をもって貴重な投票権を行使し、くらしと平和を守る政治への転換を実現しようではありませんか。


 自交総連は、次の原則と基本方針をふまえ参議院選挙にとりくみます。

(1)労働組合と政党との関係の原則
 白タク合法化阻止、地域公共交通の確立、憲法擁護、消費税減税のため、自公政治の変革をめざしてたたかい、自交労働者の生活と権利、平和と民主主義を守ってたたかう政党との協力・共同の関係を前進させます。
 労働組合として特定政党の支持、推薦、選挙募金は行わず、組合員の政党支持、政治活動の自由を保障する原則を維持します。

(2)選挙戦にのぞむ基本方針
 @ 参議院選挙の重要な意義を徹底するとともに、コロナ対策、白タク合法化問題、憲法改悪や消費税減税に対する各政党の態度、自交総連の政策要求、国民的課題に関わる各政党の政策・実績・行動を明らかにし、政党選択の判断資料を提供していきます。労働者のくらしが政治と深くつながっていることを宣伝し、職場で政治論議が起こり、誰もが選挙に関心をもち、投票権を行使できるようにとりくみます。
 A 戦争法反対闘争以来の市民と野党の共闘の進展をふまえ、参議院一人区での野党統一候補の実現に広範な団体とともにとりくみます。実現した地域では、自主的な支援をつよめ、統一候補への支持を積極的に呼びかけます。
 具体的な選挙支援行動は地方ごとに決めます。
 B 参議院の複数人選出選挙区、比例代表選挙においては、特定政党、候補者の推薦は行いません。
 組合員の政党支持、政治活動の自由を保障します。
 C 経営者や一部労働組合による企業ぐるみ・組合ぐるみ選挙や特定政党支持の押しつけ、野党共闘の破壊攻撃には反対し、政治活動の自由を保障する見地でとりくみます。ビラまきなど正当な選挙活動への政治弾圧には断固反対し、違法な謀略宣伝には労働組合の立場から批判するなど思想信条・言論の自由を擁護してたたかいます。

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