自交労働者No.961、2022年5月15日

「生活守るのは自交総連の役割だ」

2年ぶりに5地方20人が参加

関東ブロック宣伝行動


関東ブロック宣伝行動=4月20〜22日、神奈川・静岡・山梨の主要駅
関東ブロック宣伝行動=4月20〜22日、神奈川・静岡・山梨の主要駅

 関東ブロックは4月20日〜22日にかけ神奈川・静岡・山梨で2年ぶりの宣伝行動を実施。全体で5地方20人が参加しました。


関東ブロック宣伝行動行程(前半)

 4月20日の早朝、横浜駅西口から宣伝を開始しました。
 駅に並んでいるタクシー労働者へ、ダイナミック・プライシング(変動運賃制)を自公政権・国土交通省が推し進めようとしており、乗務員にも利用者にも利益がない制度だと説明。阻止するため声を上げていこうと訴え、自交総連加入を呼びかけました。
 昼には藤沢駅で城委員長が加わり、「多すぎるタクシーに問題がある。経営者は需給調整をして労働条件改善をする義務がある」と訴えました。
 その後、20日に静岡県の掛川駅、浜松駅。21・22日に、静岡駅、三島駅、山梨県の甲府駅、河口湖駅、富士山駅とキャラバンで宣伝を行いました。
 各地連・地本の弁士がマイクを握り、甲府駅では山梨県労連の支援もありました。
 3日間で合計20人が参加し、機関紙200部、ビラ入りティッシュ850枚を撒き切りました。

石野議長の声

3・11の大震災の際、タクシーとハイヤーのみが帰宅困難者の足として動いていました。そのタクシー乗務員が、都内で約5000人もコロナ禍で職を離れました。
 是非ともタクシーのご利用をお願いします。移動の権利を守ることは大変重要です。そしてその従業員を守り、生活を守るのも自交総連の役割です。

職場確保の闘いで25人に増加

他組織から自交総連へ相次ぎ移動

秋田 あさひタクシー労組

自交総連の要求

 【東北】秋田市のあさひタクシーは、新型コロナの影響で営業収入が低下し、4月から低営収者25人に対し、労働時間を100時間とする攻撃を強行しています。
 自交総連あさひタクシー労組では、この間、団体交渉を繰り返し実施し、コロナによる時短については希望者を募り、雇用調整助成金を活用するよう求めています。
 あさひタクシー労組は、20年6月に6人で結成しましたが、2022年4月現在では25人になっています。あさひタクシーには、全自交と企業内組合がありますが、4月からの100時間労働を受け入れ、労働者の反発を受けています。脱退者や離職者が出ており、他労組から自交総連に移る労働者が相次いでいます。
 団体交渉で会社は、この間の試算表を出して経営のひっ迫状況を説明していますが、決算書の公開には応じず、組合と共に会社再建に向かう姿勢とはなっていません。
 あさひタクシー労組では引き続き、組合員の生活を守るとりくみと、職場確保の闘いを追求することにしています。

ラジオCMで組織拡大

乗務員負担問題を告発

京都地連・総評

 【関西】京都総評と京都地連は4月14日、京都市左京区の京都教育文化センターで組織拡大に向けた「総がかり行動」の調整会議をひらき、京都のタクシー業界でひろく行われている乗務員負担問題を告発するラジオCM(5月10〜20日)と、主要ターミナルや繁華街での宣伝行動を5月31日に実施することを決めました。


 京都は新型コロナの影響で苦しむタクシー労働者が少なくありません。その過酷な実態を1日でも早く改善するため、従前と違う取り組みが必要だとの結論に達し、費用対効果も考慮してKBS京都ラジオでCMを流すことにしました。
 この日の会議で、最終的に5月10〜20日にかけて、1週目は火木土で2回ずつ、2週目は月水金で2回ずつの計12回放送することにし、内容については、「タクシードライバーに転職しました! この仕事、やりがいはあるけど…事故の修理代もクレジットの手数料も、給料から勝手に天引きされるんですよ」という男性の声で始まり、「運転手さん、それ違法です! ご相談は、フリーダイアル0120―378―060 労働組合の京都総評まで」と女性の声で呼びかける仕様になっています。
 このCMに決定したのは、京都地連の松田副委員長一言が決め手になりました。
 「タクシーはやりがいもある仕事なので、そこも強調し、悪いところの改善を求める内容の方が良い」。

3年ぶりにリアル開催

城委員長が決意表明

第93回中央メーデー

団結がんばろう=5月1日、東京・代々木公園内ステージ
団結がんばろう=5月1日、東京・代々木公園内ステージ

 5月1日、全国でメーデー集会が行われ自交総連の仲間も各地で奮闘しました。  東京・代々木公園では、第93回中央メーデーが3年ぶりにリアル開催(オンラインでも配信)で行われ、全体で2900人が参加しました。
 自交総連から、城執行委員長が決意表明を行い、「人の命をあずかる運転者に、良好な健康状態は欠かせない。白タク合法化阻止、労働時間短縮に奮闘する」と訴えました。
 集会の後は参加者がサイレントデモを行いました。

改憲発議許さない

のべ1万5000人が参加

5・3憲法集会

写真

 東京臨海広域防災公園で5月3日、「改憲発議許さない! 守ろう平和といのちとくらし22憲法大集会」が開催され、自交総連からは城委員長と菊池書記長、東京地連からは30人が参加し、オンラインも合わせて合計1万5000人が参加しました。

交通安全に不安

道交法改正案で警察庁からレク受ける

電動キックボード解禁

自交総連は4月14日、参議院議員会館内で、武田良介参議院議員(日本共産党)の紹介で、電動キックボートの免許なしでの走行を認める道路交通法改正案について警察庁の担当者からレクチャーを受け、安全面での懸念を伝えました。
 改正案では、電動キックボードのうち最高速度20キロ以下のものを「特定小型原動機付自転車」として自転車と同じ交通ルールを適用し、運転免許必要なし(ただし16歳未満の運転は禁止)、ヘルメット着用は努力義務、原則車道走行、時速6キロ以下に制限できる装置に切り替えれば歩道通行も認めるとしています。
 同案は日本共産党とれいわ新選組以外の各党の賛成で、19日に衆議院本会議で成立しました。


  【警察庁の説明】
○ 増えてきた電動キックボートにどのように交通ルールを守らせるのかを考えた。電動キックボードは、速度が出ない、車体が小さいなど原付自転車(バイク)とは異なる特性があるので、規制を自転車の方に寄せる方がより安全だと考え、自転車と同じく免許不要にした。原付の規制を緩和したとは思っていない。
○ 最高速度20キロ/6キロの切り替えは、いったん停車しないと切り替えられないものとし、識別できる表示をする。
○ 車体にはすべてナンバープレートを付け、自賠責保険を義務とする。
○ 16歳以上かどうかを識別する際、身分証明証がなければ家族に問い合わせる。
○ 販売業者やシェア事業者に運転者への講習等を行うよう努力義務を課す。シェアの登録時に講習等を受けてもらう。
○ 周りからよく見えるよう視認性の向上のための保安基準を考えている。

  【組合の指摘】
○ 対人・対車の交通事故多発の危険がある、講習は努力義務で実効性がない。
○ 法律を守らない走行がたくさん出てくるのではないか。
○ 有効な取り締まりができるとは思えない。
○出発点で免許不要としてしまった規制緩和に問題がある。


情報電子版の記事

道路交通法改正
事業者の要望を受け電動キックボード規制緩和

ライドシェア解禁にもつながる規制緩和

シェアリング事業者の意見で安心・安全をおろそかに強行

 4月19日の衆議院本会議で、電動キックボードの規制緩和等を盛り込んだ道路交通法改正案が成立しました。

比較表

事故多発のおそれ

 自交総連では、電動キックボートの免許なしでの公道走行について、安全面での懸念を訴えてきました(上記事)。
 下の比較表をみると、改正後の電動キックボードは従来の原付免許やヘルメットといったハードルを緩和し、ほぼ自転車と同じ交通ルールを適用されており、対人・対車の交通事故が多発するおそれがあります。
 法案成立にあたって、▽利用者への安全教育が確実に行われるよう努める▽車体の安全性に関する基準を速やかに策定するなどの附帯決議が採択されました。

提言受け法制化

 今回の規制緩和は、経済産業省の多様なモビリティ普及推進会議から端を発しています。会議では、技術進歩によって新しいモビリティ(乗り物)を安全に便利に使える社会づくりを進めるとしています。
 そうした背景を受けて、自民党のプロジェクトチームが、事業者がつくるマイクロモビリティ推進協議会同席のもと21年5月に電動キックボートの規制緩和への提言を出したことで、関係省庁が連携。実証実験を経て、道交法改正に至りました。
 関係事業者の要望が通り、政府主導のもとで事業者に利益のある規制緩和が行われる動きは、ライドシェア解禁の策動とも重なります。
 電動キックボード関連の法案が施行されるのは2年後です。
 安心・安全に関する議論をおろそかにしたまま強行された法律の危険性を世論へ訴えていくと同時に、ライドシェア、ダイナミック・プライシングや新たな規制緩和阻止の運動を拡げていくことが重要です。

経済財政諮問会議で提言

ダイナミックプライシング推めるべき

 政府は4月13日、首相官邸で経済財政諮問会議の会合をひらき、地方活性化と経済・財政一体改革について議論しました。
カット
 会議では、地方活性化について民間議員4氏が、「DXを活かした地方創生と地方行財政改革に向けて」という意見書を提出。その中で、「地域内外の移動・滞在が多様化する中、利便性の高い公共交通の提供が重要となる」とし、「地域公共交通における自動運転技術の導入やサブスクリプションの自由化をはじめとするダイナミック・プライシングを進めるべき」といった主張を行いました。
 最後に議長の岸田首相は、デジタルインフラの整備を加速し、地方の活性化を強力に進めるとし、今夏の骨太方針に向けて、関係会議と連携しつつ、更に議論を加速し、速やかに具体策を策定するよう求めました。

 ※DX=デジタルトランスフォーメーション……進化したIT技術を浸透させることで、人々の生活をより良いものへと変革させるという概念。

走行`当たり事故、タクシーは増加

コロナで走行距離減り全体は低下

事業用自動車の重大事故

 事業用自動車の重大事故発生状況2020年分が国交省から公表されました。
 発生件数は全体で減っていますが、バス・ハイタク・トラックの3業種ともコロナの影響で走行距離が減り、とくにバスとハイタクでは極端に減っているためだと思われます。走行距離当たりの乗務員に起因する事故では、ハイタクの事故は増加しています。
 運転者の健康状態に起因する事故は、バス・ハイタクで前年より減り、トラックで増えました。バス・ハイタクではコロナの影響で労働時間が短くなっていますが、トラックでは取扱量が増えて労働時間が減っていないことが影響していると考えられます。
 バス・ハイタクでは減ったとはいえ、依然として高い水準です。集計方法が現在と同じになった02年と比べると、バスでは7倍、ハイタクでは3倍、トラックでは9倍もの健康起因事故が発生しています。

表01

表02

新加盟のなかま 

(865)千葉・ヒノデ第一交通市川労組
幹部の専横に反発

 千葉のヒノデ第一交通株式会社で働く仲間が4月8日、ヒノデ第一交通市川労組(井上欣一、38人)として自交総連へ加盟しました。
 井上委員長らは21年9月、組合の一部幹部の専横に反発し、新しい組織を立ち上げました。上部団体が必要だということになり、自交総連に相談、加盟に至りました。
 今後、同じく千葉の松戸東労組と話し合い、地本を再建することも検討しています。

22年参議院選挙特集3
変動運賃・ライドシェア、改善基準告示

労働者の意見が取り上げられる政治に

 規制緩和反対など自交労働者の政策要求が実現するかどうかは、政治と重要な関わりがあります。7月の参議院選挙では、そこも大切な判断基準です。

@ 変動運賃制度

 利用者にも運転者にも何の得にもならないタクシーの変動運賃制度(ダイナミック・プライシング)は、菅内閣(当時)のデジタル化推進、規制緩和路線のなかでとりあげられました。
 河野規制改革担当相が、規制改革の目玉として変動運賃制を提案、国交省に導入を要求しました。

表01



A ライドシェア

 最悪の規制破壊であるライドシェアも、安倍内閣(当時)の時代に、竹中平蔵氏など規制緩和論者の意見で持ち込まれました。
 竹中氏は、20年以上も前から自公政権の規制緩和指南役として政府の政策に深くかかわっています。

表02



B 改善基準改正

 自動車運転者の労働時間短縮のための改善基準改正の審議では、使用者側委員の反対で休息期間11時間の提案がつぶされ9時間になってしまいました。
 使用者側=資本家、経営者の意見が通り、経営者に有利な政策が行われるのは、大企業から政治献金をもらう自民党政治の伝統です。
 私たちの投票行動によって、こうした政治を変え、労働者の意見が取り上げられる政治にすることもできます。

表03