自交労働者No.962、2022年6月15日

自交労働者の未来かかった選択

賃金低下、物価上昇止まらず

参議院選挙

選挙

 参議院選挙は、6月22日公示、7月10日投開票で行われます。
 コロナ禍による雇用危機・賃金低下でとにかく国民の生活は困窮しています。
 昨年実施した自交総連の22春闘アンケートでも、自交労働者から「もう一度一時金を!」「最低賃金を上げて貧困と格差をなくして」という要望が大量に寄せられました。また、ロシアのウクライナ侵攻によって物価上昇が止まらず、ガソリン代や食料品など生活必需品まで10%以上も値上がりしています(下表)。
 今回の選挙は、これまで以上に自交労働者と日本の未来がかかった重大な選択が問われます。
 各政党の政策を比較・分析し、必ず投票に行って主権者としての意思を示しましょう。


選挙01


選挙02


選挙02


投票は簡単、選挙に行こう

参議院選挙は2回投票

 選挙期間がはじまると、市区町村から投票所入場券が送られてきます。投票日に、その入場券をもって、記載されている投票所に行って投票します。
 投票所入場券が届かなかったり、なくしてしまった場合でも、投票所に行って申し出れば本人確認をして投票できます。免許証等で問題ありません。
 投票は簡単ですので気軽に行きましょう。

期 日 前 投 票

 投票日が仕事に当たっている人、予定が入っている人もいるでしょう。
 仕事や用事があって選挙当日に投票ができない方にオススメなのが「期日前投票」です。
 期間は公示の翌日から投票日前日まで、投票所入場券をもって、役所や市民センターなどに設けられている期日前投票所に行って投票します。
 入場券がなくても本人確認ができれば大丈夫です。

22年参議院選挙特集4
平和と憲法をめぐる各政党の主張

平和と憲法は重大な争点 改憲・増税ねらう政党も

 ロシアのウクライナ侵略で、日本でも平和が脅かされるのではないかと不安を覚える人が増えています。平和と憲法をめぐる各党の主張は参議院選挙の重大争点です。

憲法9条

 憲法9条は無力だから変えろというのが自民・公明・維新・国民の各党です。しかし憲法9条は特別なものではなく、国連憲章と同じ精神に基づくもので(下記参照)、これを変えるのは国連憲章に反して、積極的に戦争をする国になるということです。
 憲法の精神を世界に広めて、ロシアには「国連憲章を守り、侵略をやめろ」と世界中から声をあげて包囲することが、戦争をやめさせる道です。

憲法


防衛費倍増

 自民党は防衛費を5年で倍増するという提言を政府に出し、岸田首相は「相当な増額」を米大統領に約束しました。
 現在5・4兆円の防衛費を倍にすれば10・7兆円、増やした分は社会保障も文教費も軒並み削るか、大増税をするほかはありません(グラフ参照)。安倍前首相は「国債で賄う」と言いましたが、戦前の日本が戦費を戦時国債で賄い戦後の超インフレを招いた教訓を無視した暴論です。

防衛費


敵基地攻撃能力

 自民党の提言は、敵基地攻撃能力を「反撃能力」と言い換えて、その保持を主張しています。
 敵から攻撃される前に敵の戦力を無力化するという敵基地攻撃能力は、基地ばかりか敵の中枢機構も破壊するもので、先制攻撃にほかなりません。まったくの憲法違反です。
 こうした能力(戦力)を強化すれば、他国も対抗して軍備を拡大してくるので、軍拡競争が止まらなくなります。安全保障のジレンマとして危険が指摘されている思考です。

安全保障のジレンマ


核共有(核武装)

 岸田首相は「核抑止力」が大切と発言し、維新は「核兵器の共有」を提言しています。
 核兵器に核兵器で対抗する核抑止力論は、相手が核を使ったらこちらも核で反撃する姿勢をみせることで恐怖の均衡を保つという考え方です。いざというときには核を使うということが前提です。
 被爆国日本は、核兵器禁止条約に参加して地球上から核兵器をなくす先頭に立つべきです。

組織拡大へ 労働者へ呼びかけ


自交総連へ結集を

10年ぶりに山形駅で宣伝

山形の労働者へ訴える=5月10日、山形・JR山形駅前タクシープール
山形の労働者へ訴える=5月10日、山形・JR山形駅前タクシープール

 【東北】東北地連は5月10日、山形駅のタクシープールで、「規制緩和20年、抗議の宣伝行動」を実施しました。この行動に、宮城から6名、山形から2名が参加しました。
 山形駅での宣伝行動は10年ぶり。当日は五月晴れの中、横断幕を示しハンドマイクで訴え、またタクシープールで客待ちしている労働者に、チラシを配布し、アンケートを取りました。
 アンケートの結果、労働者の状態の悪化や無権利状態が明らかになり、自交総連の拡大の必要性が改めて浮き彫りになりました。
 ハンドマイクからは山形県協の中條委員長と池田書記長がこの間のハイヤーセンターや余目タクシーでの経験を踏まえ、「会社は倒産したが、自交総連と相談しながらより良い道を選んだ。みなさんも一人で考えていないで、ぜひ自交総連に結集してほしい」と強く訴えました。


乗務員負担なくそう

京都で総がかり宣伝行動

京都のタクシー労働者へ訴える=5月30日、京都・出町柳駅前
京都のタクシー労働者へ訴える=5月30日、京都・出町柳駅前

 【関西】京都総評と自交総連京都地連は5月31日、JR京都駅烏丸口前を皮切りに左京区内を中心に夕刻まで、組織拡大に向けた総がかり宣伝行動にとりくみました
 総勢16人が宣伝カーからの訴えとともに各交差点に分散し、「コロナで営収激減、タクシー・バスの危機、人間らしく暮らせる賃金・雇用を守れ」と訴えるビラと白タク・ライドシェア反対のポケット・ティッシュをタクシー労働者や市民へ配りました。
 小雨が降る中、京都駅の駅頭で待機するタクシー労働者と市民に対して、京都総評の梶川議長は、「KBSラジオでタクシー労働者にクレジットの手数料や事故弁償金を課している京都のタクシー業界の実態をCMにして流したが、業界からこうした慣習を急速になくして、労働者の権利と働きやすい職場環境を整える必要がある」と訴えました。


「すごいね」と反応

鹿児島で連日の街宣行動

組織拡大にとりくむ=3月27日、鹿児島・鹿児島中央駅前
組織拡大にとりくむ=3月27日、鹿児島・鹿児島中央駅前

 鹿児島県労連と鹿児島地連が協力して行っている組織拡大総がかり行動は、5月に開始から1年を迎えラストスパートの宣伝行動に全力をあげています。
 鶴丸労組の最低賃金請求で、一部まだ交渉中ですが未払いだった最低賃金の支払いをかちとり、一気に7人の組合員が増えました。
 この成果を全県に伝えて宣伝しようと、3月27日に決起集会・統一宣伝を行い、4月28日、5月14日にも鹿児島中央駅、南埠頭での統一宣伝にとりくみました。県労連、生協労連、医労連、自治労連などの仲間も参加してタクシー労働者と対話しました。
 地連OBが運行する宣伝カーは、連日3〜4時間の街宣行動を継続、5月からは、医療生協労組カーが23日間、各駅や港をテープ音源で流し、7日間は対話も行いました。
 労働者からは、「最賃を取ったんだ」「すごいね」などの反応もあり、まだ未組織からの組合結成はありませんが今後の成果に期待がふくらんでいます。

インボイス導入の中止を

個タクへの被害を指摘

大門実紀史参院議員(共)質問

質問する大門実紀史参院議員(共)=4月26日、参議院web審議中継から
質問する大門実紀史参院議員(共)=4月26日、参議院web審議中継から

 政府・財務省が消費税へのインボイス(適格請求書)導入を来年10月から強行しようとしていることについて、個人タクシー事業者が被害を受けることが国会で取り上げられました。
 日本共産党の大門実紀史参院議員が4月26日の財政金融委員会で質問しました。
 大門議員は、個人事業者で免税業者が多い個人タクシーは、インボイス制度が導入されると、タクシー代を経費で落とす会社員などにインボイスの領収書を発行できないので、乗らなくなったり、トラブルが発生すると指摘、財務省と個人タクシー業界が話し合っているという対策をとりあげました。
 大門議員は、「ほんとにこんなことしか考え付かないのかと思うが…」として、個人タクシーの「あんどん」の色を変えるという対策が相談されていると暴露、「免税事業者は赤色で、課税業者は青色。そうしたら、お客さんが会社員の人だったら、免税業者は止めなくて課税業者を止めるからトラブルは起きないだろう」と相談されているとしました。そして、「こんなことをすれば、会社員は青、課税業者の車ばかり止めようとする。赤の車には乗らないとなる。免税業者は差別され、排除されることになる」と批判し、「そんなことも分からないで、財務省は個人タクシー業界と相談をしているのか」と厳しく質しました。
 大門議員は、これはフリーランスとか個人請負の仕事の人に共通する話で、免税業者でいれば排除され、課税業者になれば収入が減るということになるとして、こういう疑問に何一つ答えずに、コロナや物価高騰などみんなが大変な時に、いま無理にやる必要があるのか、としてインボイス制度導入の中止を迫りました。
 鈴木俊一財務大臣は、「財務省としては、インボイス制度というものは必要なものであるという立場だ」として、来年の10月までにスムーズに実施できるようにしたいと強行する姿勢を変えず、個人事業者らの要求を顧みない答弁に終始しました。


情報電子版の記事

事故が多いのになぜ

電動キックボード解禁に反対

田村智子参院議員(共)質問

質問する田村智子参院議員(共)=4月12日、参議院web審議中継から
質問する田村智子参院議員(共)=4月12日、参議院web審議中継から

 電動キックボードを免許なしで走行できるようにする道路交通法改正案は4月19日に日本共産党とれいわ新選組以外の各党の賛成多数で成立しましたが、審議の中では規制緩和の危険性が指摘されました。
 日本共産党の田村智子参院議員は4月12日の内閣委員会で質問。「電動キックボードの規制を強化するのかと思っていたら、逆に規制を緩めるというので驚いている」と切り出し、電動キックボードの事故の実態を聞くと、警察庁交通局長は事故が急増している事実を認め、違反内容は通行区分違反が多いと答えました。
 田村議員は、車道しか走れない実証実験で歩道を走って事故を起こす例が多いのに、法改正で歩道も走れるようにするのは、「危険な運転を合法化するのと同じだ」と追及しました。
 二之湯智国務大臣・国家公安委員長は、「交通ルールについての広報啓発や、悪質、危険な違反に対する取締りを徹底することが重要だ」としか答えませんでした。
 田村議員は、すでに普及している海外では事故やトラブルが増加して、アメリカ、フランス、シンガポール、韓国などで免許必要とするなど規制強化がされている事実も指摘して、「自民党のMaaS議員連盟や事業者から電動キックボード普及に向けた要望を受けて今回の規制緩和が進んでいる」「普及を優先させて交通安全を後退させる規制緩和は認めるわけにはいかない」とつよく主張しました。
 道交法改正案は衆議院では塩川鉄也議員(共)が質問しました。


情報電子版の記事

累進歩合廃止の徹底を

通達作成に厚労省へ意見を提出

改正改善基準告示

 自動車運転者の労働時間等の改善基準告示の改正審議は、3月までにバス・タクシーについては作業部会での改正案がまとまりました。トラックはまだ審議中で夏頃にまとまる予定です。
 バス・タクシーについては、告示の公布(22年内予定)と同時に出される通達の作成作業が始まります。この通達(93号通達)は、告示の内容を徹底し、労働当局が監督・指導をするうえで指針となる重要な記述があり、解説書の基本となります。この通達が適正に作成されるよう自交総連では6月2日に厚労省に以下の意見を提出しました。
 @休息期間11時間が基本であること、A休憩時間の延長の禁止、B累進歩合制度廃止、C歩合給の割増賃金の適正な支払い――などについて、近年のコロナ危機下での不適切な事例、脱法行為も踏まえて、使用者が適正な取り扱いをするよう通達で徹底することを求めています。


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