自交労働者No.967、2022年12月15日

労働条件改善を 11・10中央行動 国交省、厚労省、全タク連と交渉

1・10中央行動=11月10日、東京・経済産業省前(上写真)・国土交通省前(下写真)
参加人数


 交運共闘は11月10日、憲法改悪阻止、戦争法・共謀罪法廃止、国民本位の交通政策実現、規制緩和反対、交通運輸労働者の労働条件改善を求める11・10中央行動を実施しました。

 代表による署名提出を行い、全体で約50人、自交総連からは18人が参加しました。

 10時から決起行動を開始。国土交通省前で城議長が主催者あいさつをしました。

 続いて検数労連の石橋副委員長、海貨労協の三宅書記長、自交総連の庭和田委員長、建交労全国鉄道本部の森さん、国土交通労組の水谷中執が決意表明を行いました。

 自交総連のコ永副委員長が請願書を読み上げ、参加者がそれぞれ請願書を国交省の係官に渡しました。その後、厚生労働省、経済産業省にも署名提出を行いました。

 13時からは、自交総連の代表が国交省・厚労省・全タク連への要請・交渉を行いました。

運賃改定・コロナ対策へ要求書を提出

ノースライド+αを

各地で統一行動、省庁交渉

2022秋季年末闘争とりくみ状況

 自交総連は2022秋季年末闘争において、11・10中央行動で、交運共闘の統一行動に合わせて、代表参加による国土交通省・厚生労働省・経済産業省への個人請願署名の提出を行い、自交総連独自では、国交省・厚労省・全タク連交渉を実施しました。
 各地連・地本では、10〜11月にそれぞれの地方自治体、運輸局(支局)、労働局への交渉・要請にとりくみ、職場ごとに重点要求を設定し、要求提出を行いました。現在も交渉が続いています。
 今秋闘では、全国で運賃改定が拡がっていることから、統一要求書に「運賃改定時のノースライド+アルファ」をあげる動きがコロナ問題に次いで多くみられました。
 12月8日現在、運賃値上げ時に労働条件改善(東北)、運賃改定の「確認書」の締結(東京)、ノースライド確認(東京)、年末年始手当の獲得(東北、東京、静岡、関西)などの回答をかちとっています。また来春闘にむけて職場要求の前進などもすすんでいます。

交運共闘 仙台市の交通事情視察

「タクシーは地域の要であり資源」

都市づくりの中で交通機関の確保

日程

 交運共闘は、11月13日・14日の二日間で仙台市の交通事情視察をおこないました。  国内外の交通事情を視察することにより、そこでの知見をもとに交通運輸産業で働く労働者の生活向上と権利の確立や社会的地位の向上、国民の交通利便性の向上、交通安全の確保など今後の政策・要求づくりに役立てる目的で恒例的に実施しています。
 今回は、コロナ禍で四年ぶりとなる視察で公共交通の維持が困難となる中で頑張っている仲間を励ますと同時に、地域の足として一定の支持を得ている仙台の秋保交通のとりくみの学習を基本に、意見交流も図りました。また特別参加として、交運研(交通運輸政策研究会)の安藤会長も随行しました。

仙台市から提案

地域住民の足として運行する秋保交通の紹介図
地域住民の足として運行する秋保交通の紹介図

 秋保交通は、五年間にわたる一時金未払い闘争での勝利解決金を出し合い自主経営の秋保交通を立ち上げました。
 バス停まで歩けない高齢者や小学校の送迎など、地域住民の要望に応える「秋保の足を考える会」を立ち上げる中で、仙台市から「乗り乗り事業」の提案がありました。この事業は、中山間地域や郊外、坂道狭路等、住民が不便と感じる地域に対し、仙台市・地域住民・運行事業者三者共同で新たな交通機関を整備するもので、デマンドタクシーやコミュニティバスなどが想定されるが、既存バス路線と競合しないことを条件に仙台市が技術的・財政的に支援をおこなうものです。現在、数度の実証実験運行をおこなっています。
 「タクシーはその特性から地域の要となりうるし、地域の経済、文化、教育、観光を育てる大切な移動手段であり資源」と青野社長は力説しました。
 課題は、デジタル化が進まないことで、乗車地・降車地などニーズに応じた詳細な配車業務となることから人的苦労が大変だということでした。

課題は運転者不足

 仙台市では、どのような都市づくりをするかを考える場合、「地域住民の移動の確保が欠かせないものとして、バス幹線区間、フィーダー区間(鉄道駅へのアクセス)と空白地域とを棲み分けし、その中で多様な移動手段を地域関係者と意見交換をしながら進めている。
 バス幹線区間では、フィーダー間の移動確保を『ささえる交通』として、秋保温泉地域などの空白地域を『みんなでつくる地域交通乗り乗り事業』として地域住民・関係者等で協議を重ね住民の足を確保しようと政策を作っている。
 そのための技術的支援と共に運賃割引制度などの財政支援を実行し、地域が主体となった利用促進策へ支援をおこなっていると説明。
 視察の最後に訪れた東北運輸局でも、仙台市と協力を図りながら政策を進めていると説明がありました。
 課題として残るのは、どんな運行施策を作成しても、担う運転者の確保が困難ということでした。
 労働者不足が、どの職種・分野でも喫緊の問題となっています。