2024春闘 多方面向いた運動に奮闘
自交総連は2024春闘において、ライドシェア解禁反対行動を全国で展開することを筆頭に、白タク合法化阻止、労働条件改善をめざし、多方面を向いた運動に奮闘しています。
LINEヤフー本社前で訴え
東京地連、RS抗議行動を実施
ライドシェアの推進に抗議の声を上げた=4月8日、東京・紀尾井町LINEヤフー本社前 |
東京地連は4月8日、ライドシェア解禁阻止の行動として、LINEヤフー本社とデジタル庁が入る紀尾井タワー(紀尾井町)前で宣伝行動を実施しました。集まった仲間52人は「白タク合法化反対」の横断幕を掲げ、通行人にビラ入りポケットティッシュを配布しながら危険性を訴えました。
同社の川邊健太郎会長は、政府の規制改革推進会議の委員であり、ライドシェア新法の制定を主張しています。配車アプリでは個人の移動情報などが集積されます。しかし、LINEヤフー社は、個人情報漏洩問題を起こし3月5日に総務省から行政指導を受けています。
自交総連は、個人情報を守れない企業に安心・安全な地域公共交通を任せることはできないとして抗議の声を上げました。
行動の直後、川邊氏はXの投稿で「私はSNSでライドシェアの必要性を訴え、自交総連の方々はデモと演説で反対を続けているので、全くのイーブン」と発言をしながらも、「自分への批判を聞き続けるのはなかなか辛かった」と反応しました。→さらに詳細
ライドシェアについて追及
内閣府・警察庁へ緊急の要請
要請書を渡す庭和田委員長(写真左)=4月16日、東京・衆議院第2議員会館会議室 |
自交総連は4月16日、衆議院第2議員会館会議室で、日本共産党の高橋千鶴子衆議院議員(国土交通委員)を通して、内閣府・警察庁と緊急の要請交渉を実施しました。
内閣府の交渉には、国交省、経産省、デジタル庁の係官も出席し、自家用有償旅客運送の緩和やライドシェア新法策定などについて質疑しました。
警察庁とは、第二種運転免許の緩和、自動運転、インバウンド需要で白タク行為が増えている問題について追及しました。→さらに詳細
神奈川・静岡・山梨キャラバン
関東B、反対を呼びかけ
関東ブロックは4月16〜17日にかけて神奈川・静岡・山梨で宣伝行動を行いました。
16日の午後1時から横浜駅西口でハンドマイク宣伝を実施。石野議長・堀井副議長・冨松事務局長がライドシェアの危険性をタクシープールの仲間や通行中の市民に訴えました。
その後、浜松駅で静岡地連と合流し、市村副議長・浜松地区労連の議長らが街頭演説を行いました。
翌17日は9時から掛川駅にてマイク宣伝を開始。その際、「こんな地方にもライドシェアが来るのか」と質問を受け、「解禁されればどこでもやられる。反対してください」とお願いしました。
続いて、静岡駅で11時から、静岡県評菊池議長らがマイクを握りました。甲府駅では、「運賃改定でも売り上げは下がってしまった。移動距離が短くてあまり意味がない」というタクシー乗務員の声を聞きました。
2日間で4地方16人が参加。機関紙100部、ビラ入りティッシュ300枚を撒ききりました。後日、浜松市で個人タクシーをしている方から「宣伝で自交総連を知った。ライドシェアに反対するにはどうしたらいいか」と連絡があり、署名などの協力を約束してくれました。宣伝の拡がりを感じます。
未払い賃金の解決金を獲得
福岡地連、蒲池タク分会の成果
蒲池タクシー分会の仲間たち |
今年1月4日、自交総連福岡自動車交通労組蒲池タクシー分会が結成されました。
かつての自交総連マルホタクシー労働組合の田中義孝元執行委員長が、会社の全ドライバー6人へ呼びかけたものです。
蒲池タクシーでは、毎年最低賃金が引き上げになると、労働時間に合わせて基本給が自動的に引き上げられ、その同額の歩合賃金が下がるシステムになっていました。足切り未満は基本給だけ、足切りを超えたら運収の45%を支払うというやり方です。
乗務員は、この賃金システムでは最賃がどれだけ引き上げられても、給料は上がらないことに疑問を感じました。そこで組合をつくり、要求書を会社へ提出しました。
要求の獲得
初めての要求書は、@就業規則、賃金規定をいつでも見られるように社内に設置すること、A乗務員の賃率を50%に引き上げること、B時給社員の賃金を1時間100円引き上げること、C未払い賃金(時間外)を支払うこと――としました。団体交渉は、会社側の弁護士も同席して行われました。3回の団交の結果、就業規則、賃金規定はいつでも見られるように設置し、組合にも配布されました。賃率は48%まで引き上げられ、手当を含めて運収の50%を超える賃金になりました。
さらに、過去の未払い賃金は6人に対して総額250万円の解決金が支払われました。
会社が買収
ところが、会社はその後、経営難を理由にうまタクシーグループに身売りをしました。
うまタクシーは自交総連と誠実に団交を行って労働条件を考えていくことを表明しています。身売り後に労働条件が引き下げられることがないように、団結して会社と交渉を行う決意です。
ドライバー確保へ副業化を推奨
利用者目線にまったく立たず
規制改革推進会議のライドシェア解禁議論
岸田文雄首相は4月22日の政府会議において、河野太郎・規制改革担当相、斉藤鉄夫国交相に対し、「タクシー事業者以外の者が行うライドシェア事業に係る法制度について、5月中に規制改革推進会議に報告すること」を指示しました。
タクシー破壊となる『ライドシェア新法』の主な議論場である規制改革推進会議の直近の動きを左にまとめました。
4月11日の会議で、LINEヤフー社の会長は「(ライドシェアは)ワーキングプアを生み出すのでギグワーカーを用いないほうがいいという議論があるが、やむを得ずギグワーカー的な働き方をしているのではなく、収入よりも自分の人生の柔軟性を重視したいという人たちがどんどん増えていると考えるべき」と主張。さらに、「働き方や労働者性に飛び火するが、タクシーの業界や法律の範囲を超えて、シェアリングエコノミーとかギグワーカーみたいな新しい世の中の仕組みも踏まえてどうできるのか議論したい」といった持論を展開し、株式会社タイミーの執行役員らと共にライドシェア解禁を強硬に求めています。
4月24日の会議では、タクシー事業者へのヒアリングが行われました。
日本交通社、ロイヤルリムジン、エムケイ西日本グループの代表者らが、「日本型ライドシェア」についての意見を述べました。 タクシー不足解消している
「日本型ライドシェア」の運行が4月から始まりました。
東京を皮切りに、横浜、名古屋、京都など先行4地域で自家用車活用事業がスタート。続いて札幌、仙台、さいたま、千葉、大阪、神戸、広島、福岡の8地域で5月以降に順次実施されます。
さらに24日には、新たに13地域の追加が公表されました(※)。
自交総連は、タクシー不足は解消された状態にあると判断しており、いずれの形態であっても白タク=ライドシェアは安心・安全を崩壊させるものとして断固反対しています。 政府主導で進むライドシェア解禁議論に対し、労働団体以外からも異論が出ています。 国立国会図書館は3月8日、「ライドシェアをめぐる論点〜諸外国の制度比較を中心に」というレポートを刊行し、日本の類似制度と併せて、アメリカ、中国、イギリス、フランスのライドシェア制度についてまとめています。 国会議論では、ウーバー社の資料を引用し世界的にライドシェアの再規制が行われているなどという潮流はないという答弁が出されていました。 しかし中立的な立場の国立国会図書館が、諸外国では安全性・労働者性の観点から極めて厳しい規制がかけられているという結論づける論文を公表したことは極めて重要です。 4月18日には、日本労働弁護団が「『ライドシェア』の実施及び法制化に反対する声明」を公表しており、「日本型ライドシェア」を含めたすべてのライドシェア実施に反対するとしています。
ライドシェア反対署名を提出
紹介議員の山添拓参議院議員(右)へ署名を手渡す=4月23日、東京・参議員議員会館内 |
自交総連は4月23日に、重点署名と位置付けた「安心・安全な地域公共交通を守る請願書」を12名の紹介議員へ提出しました。ご協力に感謝いたします。
ありがたいことに、それ以後も大量の署名が集まっています。まとめて再度提出する予定ですので、まだお手元に署名がある場合はご送付ください。
危険な白タク=ライドシェア
@ 日本で実施されている現行の白タク制度
「自家用車活用事業」はライドシェアの突破口
※ここでは、ライドシェアの定義を左のとおり扱います。
国立国会図書館刊行の「ライドシェアをめぐる論点〜諸外国の制度比較を中心に」を参考に、ライドシェアの制度比較を全4回の連載でまとめます。今回と次回で、国内の「自家用車活用事業」=白タク・ビジネスに関する現状を解説していきます。
日本では正確なライドシェアの定義が定まっていません。にもかかわらず、政治家はマスコミを使って、現行制度で適法なもの・違法なものを混同させ、すべてまとめて『ライドシェア』と呼ばせています。
また、岸田首相は肝いりでさまざまな制度改定を昨年秋から拙速に計画・進行させています。
地理試験の廃止などのタクシー事業に係わる規制緩和、自家用有償旅客運送制度の運用緩和、新制度の創設など、あちこちに手をつけてライドシェアの突破口にしようとする狙いが窺えます。
日本で実施されている現行の白タク制度について整理していきます。左上のライドシェアの定義を参照しながら確認してください。 自家用有償旅客運送制度とは
交通空白地の輸送手段の確保が必要な場合に、あくまで限定的・例外的に認められている運送方法。道運法78条2号により規定。
▽ ライドシェアとの比較
(1)運転者の要件=タクシーの営業要件を持たない一般のドライバー
(2)運営主体=市町村やNPO(タクシー会社が運行管理を協力する場合もある)
(3)車両=自家用車を使用
(4)営利・非営利の区別=基本的に非営利の範囲(ただし昨年秋より営利化が進行中)
▽ 実施例
「かなライド@みうら」=神奈川県三浦市内で行う事業者協力型の自家用有償旅客運送。運営主体は神奈川県と三浦市。実証実験として12月16日まで実施。
いわゆる「日本型ライドシェア」
交通空白地の輸送手段の確保が必要な場合に、あくまで限定的・例外的に認められている運送方法。道運法78条2号により規定。
▽ ライドシェアとの比較
(1)運転者の要件=タクシー会社とパート契約等を結んだ一般のドライバー
(2)運営主体=タクシー会社(運行に配車アプリを利用)
(3)車両=自家用車を使用
(4)営利・非営利の区別=営利
「ライドシェア」としてキャンペーン
このふたつの制度は、白タク・ビジネスでありながら現行法で適法となっています。あくまで公共交通を補完するための、限定的・一時的な位置づけとしてつくられた制度だからです。
ところが、その前提を歪めて拡大解釈し、『ライドシェア』と名をかぶせてテレビCMで喧伝するなど、白タク解禁勢力によるポジティブ・キャンペーンが行われています。