職場なくなるか瀬戸際の闘い
運動方針を採択し新年度役員を選出
第47回定期大会
自交総連第47回定期大会=10月15〜16日、東京・全労連会館 |
自交総連は東京・全労連会館で10月15〜16日、「ライドシェア全面解禁阻止、力を結集し、地域公共交通を守ろう」をスローガンに第47回定期大会を開催し、24年度運動方針を決定すると共に新年度役員を選出しました。
今回の定期大会は、5年ぶりに完全リアルでの実施となり、来賓として全労連の秋山正臣議長、交運共闘の石橋覚副議長、顧問弁護団の中村優介弁護士・林治弁護士・小賀坂徹弁護士が参加し、12地方から52人が参加しました。
大会では、中央執行委員長あいさつ、3氏からの来賓あいさつの後、日本共産党によるメッセージを読み上げました。
その後、庭和田裕之中央執行委員長(欠席した城政利書記長の代理)が24年度運動方針等を提案。9地方13人の参加者が質疑討論として発言しました。
最後に庭和田委員長は執行部答弁を行い、すべての議案は満場一致で採択されました。
運動方針を提案
庭和田委員長は、「この1年間、全国でライドシェア解禁阻止のために組合員一同が声を大に宣伝に奮闘してきた。かつてない回数実施した中央行動へ、東京を中心に多くの動員を出してもらったことで一定のところで抑えることができている」と冒頭に感謝を述べました。
政治動向については、「石破茂新首相が、内閣の副総裁に菅元首相を据えたことで先ゆきが見える」と述べ、衆議院選挙に対して「自交労働者が安心して暮らせる産業にしてくれる政治家を選出することを意思統一したい」としました。
ライドシェア問題については、「コロナ禍で仲間が大幅に減った中でも、自交総連は全国的にライドシェア解禁阻止闘争にとりくみ、夏は額に汗をかきながら、宣伝カーを走らせ、宣伝行動を繰り返し行ってきた」と継続が力となっていることを強調し、関西・京都地連の個人タクシー労組の6団体による一点共闘のとりくみを例に、「我々の職場がなくなる瀬戸際だ。ナショナルセンターの違いを超え、自交産業全体で頬を合わせながらやっていくことが重要だ」と共闘を呼びかけました。
そして、「向こう1年、国会でライドシェア法案が出てくるのか、出てこないのか。いかに出させないようにしていけるかが、最大の闘いとなる」とし、運動方針の付属資料である「ライドシェア全面解禁阻止闘争の重点」にもとづき、運動を展開すると確認。活動費用を捻出するため特別徴収金を集め、阻止闘争にとりくんでいくとしました。
さらに、長期争議支援や乗務員負担撤廃問題、自家用有償旅客運送制度の緩和問題、厚生労働省内の労働基準法自体を形骸化する動き、最低賃金による底上げ闘争について触れ、あわせて運動方針として提案しました。
最後に、「自交総連として『ライドシェア全面解禁阻止』という大看板を掲げているが、ライドシェアにまつわるものはすべて止めさせていくということも同時に訴えながらやっていく。我々の奮闘がタクシー産業の未来に繋がっていく」と結びました。
来賓あいさつ
競争減らして公共の拡大を
秋山議長 |
全労連・秋山正臣議長 人手不足が各産業で広がっている状況にあります。バスの運転者不足がその一例ですが、政府が推進する規制緩和で解決するわけではありません。むしろ競争を減らし、公共の役割を拡大することが必要です。これは企業別組合だけでは解決できない問題であり、産別労組の出番だと思います。ライドシェアの問題を含めて自交総連のますますの奮闘を期待します。
交運労働者で共闘の前進を
石橋副議長 |
交運共闘・石橋覚副議長 自交総連がライドシェア解禁阻止行動を行ってきたことで、労働者性の否定や危険性が伝わり、利用者、国民が問題意識を持ち始めたように感じています。産別が声を上げる運動は非常に大事です。私の出身である産別でも、「港湾を兵站基地にするな」と毎月第1木曜日の朝に新橋駅前で宣伝行動を行っています。同じ交運労働者として共闘を前進させていきましょう。
利用者と危機感共有しよう
中村弁護士 |
顧問弁護団・中村優介弁護士 ライドシェアの規制緩和によってタクシー運転者の労働条件が悪化するという危機感を組合員や地域交通の利用者と共有する必要があります。
それと同時に、労働条件改善と運転者の地位向上の議論も活発にしていきましょう。総選挙の結果いかんで情勢も変化しますが、私たち顧問弁護団もライドシェア新法の阻止に危機感を持ってとりくんでいきます。
要求実現と組織拡大あわせて
最後まで負けない気迫でかちとる
質疑討論
10人が一般討論
差し戻し判決今こそ学習を
1 吉根さん |
1 北海道・吉根清三さん 長期争議組合のひとつである未払い賃金請求事件を札幌地裁でたたかっていますが、裁判所は「歩合給は成果主義だから割増賃金を差し引くのは合理性がある」という一審の考え方を変えようとしません。東京や高知でも争われていますが、国際自動車の最高裁の差し戻し判決を今こそ学習し、色んな形で組み立てていくことはできないか、知恵を貸していただきたいと思っています。
道対部で免許証守る後押し
2 岸田さん |
2 東京・岸田正勝さん この1年間も東京地連道対部は、道交法闘争5つの観点をもとに警視庁・所轄の違法な取り締まりに対し、たたかいました。 基本的には免許証は自分で守るものと認識することが大事で、道対部はその後押しをするものです。安心・安全なタクシーを担保できれば、事故・違反も激減します。今期も夏季に全都道交法学習会を開催する予定です。
新組合結成に高いハードル
3 松下さん |
3 静岡・松下靖史さん 宣伝をしても、職場内の問題を労働組合の力で解決しようと思う乗務員はおらず、新たな組合の結成は並大抵のことではありません。見知らぬ人との対話で踏み込んでいくのは非常にハードルが高いです。このような状況でどうすれば「組織があってよかった」と思える組織をつくり上げることができるのか。色々と模索していきたいと思います。
大阪に個人タク労組を結成
4 荒木さん |
4 関西・荒木正人さん 今年4月に3人で大阪個人タクシー労働組合を立ち上げました。今後の私たちの課題は、白タク=ライドシェア反対運動への全面的な協力です。私は今、1人で街頭に立ち、請願書を集めています。皆さん「がんばってね」という声を結構かけてくれるんです。しかし、「がんばらなあかんのはみんな一緒でしょ」というのが本音です。今後も、組合員を1人でも2人でも獲得できるよう街頭宣伝を続けていきたいと思います。
長期争議は金銭和解が焦点
5 横田さん |
5 高知・横田春吉さん 高知地連の現状を報告します。さくらハイヤーの割増賃金等請求事件ですが、訴訟の中心的な存在だった方が亡くなり、残った1人も退職しました。今後は金銭和解が焦点となります。また、7月から地連は2人となりましたが、そこから少し増えました。共にライドシェア解禁阻止にがんばりましょう。
不当解雇に負ける気はない
6 池田さん |
6 福岡・池田正俊さん 私は今、会社から不当解雇に遭い、たたかっています。会社と賃上げ交渉を行い、3〜4%の賃上げをかちとったことが、私への個人攻撃のきっかけでした。しかし、負けるつもりは一切ありません。会社と賃金交渉等でたたかっていくときに大事なのは、団結力です。みんなで力を合わせて気迫で会社に負けず、自分たちでかちとるんだ、最後まで絶対にとるという意思表示が重要です。
全力でRS解禁をはね返す
7 月村さん |
7 東京・月村隆浩さん 東京地連は、昨年からライドシェア抗議宣伝行動を展開してきました。宣伝カーでのスピーカー宣伝も東個労の仲間の協力で継続してきました。広範な利用者の理解を得、この産業で働く仲間の生活のために全力でライドシェア解禁をはね返していく必要があると思います。ぜひメインスローガンに、「自交労働者の生活を守ろう」と加えていただきたいです。
解決へ皆様の協力と指導を
8 山本さん |
8 神奈川・山本尚二さん 現在、私の所属する富士見交通支部は、「不誠実団交」を理由に労働委員会に提訴しています。給料規定に沿った支給がなされていなかったことが判明しましたが、会社は法的根拠なく支払いを拒否しています。弁護士と相談し、提訴するしかないという状況に陥っています。皆様の協力と指導あってこそ解決できると思っています。今後ともよろしくお願いします。
RS阻止へ一緒にたたかう
9 杉原さん |
9 鹿児島・杉原良二さん コロナ危機もだいぶ緩和され、街に人が戻ってきました。営収も回復している状況です。需要が増えてきてお客さんに対応できないという状況も出ています。鹿児島でもライドシェアについては危惧しているので皆さんと一緒にたたかいたいと思っています。
毎日宣伝カー運行が評判に
10 藤波さん |
10 福岡・藤波義久さん 福岡地連は長期争議を5件抱えていました。なるべくなら裁判は避けたいと考えていますが、事業者は確信犯的に平然と法律を無視しています。事実を明らかにするためにやむを得ず裁判をしている状況です。これからも争議へのご支援を願います。
3人が総括討論
永田町の中だけで決めるな
11 池田さん |
11 東北・池田智行さん 東北地連は、昨年の秋以降、ライドシェア導入絶対反対の宣伝行動を東北6県内で強化しています。
私たちは東北の地方都市で自身と家族の生活を守りながら、日々ハンドルを握っています。安易に永田町の中だけで決めないでください。地方では地方の生活の基盤があり、その中で汗して働いているのです。
私は組合員と家族の安定した収入と生活を守るために、これからもたたかいます。共にがんばりましょう。。
RS大衆行動自交総連だけ
12 坪倉さん |
12 東京・坪倉秀樹さん この1年間、東京地連は、ライドシェア解禁をめざす推進派の策動を阻止するため闘いを構築しました。実際に目に見える形でライドシェア抗議宣伝を大衆行動でとりくめているのは自交総連だけです。今後も、たたかう基盤構築が重要です。要求獲得と組織拡大をあわせた運動に奮闘していきます。
市民全体巻き込み運動展開
13 黒井さん |
13 関西・黒井真司さん メディアとグルになり印象操作することで大阪の議会を占拠しているのが維新の会の本質です。そうした中でも、過去2回行われた大阪都構想の住民投票を勝ち抜いています。ライドシェア問題も広く市民に危険性を伝えていくことが重要です。世論を味方にし、訴え続けて市民全体を巻き込んで運動を展開していきます。
助け合いで運動を進めていく
助け合いで運動を進めていく
執行部答弁
旺盛な議論を交わしてすべての議案を満場一致で採択した |
13人から発言をいただきました。執行部を代表し、討論に対して回答をしたいと思います。
庭和田委員長 |
過去の国際自動車の最高裁判決の決着点をすべての単組にわかりやすく知らせるべきだと思いました。未払い裁判については、同じような事例に見えても判決が異なることが多発してますので、顧問弁護士も含めて学習することを検討したいです。
東京の岸田さん。
私は東京地連の運動の中で一番すごいのは道交法闘争だと思っています。我々の産業の宿命は、何がいつどこで起こるかわからない公道を職場にしていることです。そのとき、免許証を守ることがいかに大切か。これを全国に拡げていければと本当に思います。
静岡の松下さん。
地連が浜松交通だけになったということですが、私は組織というのは『生きもの』だと思っていて、組織がちゃんと立っていれば増えたり減ったりするのは至極当たり前のことです。残ったところがしっかりと保たれてやっていけば、必ずまた仲間がそこに参集してきます。今後も本部として、困ってるところはみんなで助け合って運動を進めてきたいと思います。
関西の荒木さん。
個人タクシーの組合を立ち上げたと報告がありました。今は3人ですけど、今後は自交総連の組合員だった人に声をかけて、まず2桁をめざすということでした。本部としても個人タクシー部会の設置に向けて検討を進めますので、がんばっていただきたいです。
高知の横田さん。
我々の大先輩ですけど、もう今年が最後だということで非常に残念に思います。ひとつ明るい報告は、若い人が入ってきたと。横田さんに代わって高知の旗を守っていってほしいと思います。
福岡の池田さん。
会社と話し合いで決着できたら一番いいと思いますが、争議となれば、全国の仲間の知恵と団結力を借りて最終的に解決をするという方向で本部として最大限寄与していきたいと思います。
東京の月村さん。
メインスローガンのことをおっしゃっていました。書かれていませんが、自交労働者の暮らし、生活、そして権利を守ることは大前提であって、それを守るために我々はこの今一番の喫緊の問題を打ち出しているとご認識ください。
神奈川の山本さん。
裁判と同時に、宣伝行動を各所で行って、会社がいかに違法なことをしているか正当性を訴えることも効果的です。わかりやすく短い言葉できちんとテープに吹き込んでエンドレスに回していくとか、とにかく相手がギャフンというようなやり方をしなければ、なかなか解決しません。その工夫も含めて、本部やみんなと一緒に考えてがんばっていきたいと思います。
福岡の藤波さん。
毎日宣伝カーを走らせライドシェア阻止行動を行っていることは、本部でも報告を受けています。テープを回しながら、人の多いところを集中的に活動したからこその到達点です。限られた人数の中で、資源を投入して効果的に行っていくことが大事です。今後も継続して共に奮闘していきましょう。
鹿児島の杉原さん。
横の繋がりも含めて大事にしながら活動するのが労働組合の原則ですので、鹿児島の旗を守りながら、がんばっていってほしいと思います。
そして総括討論では、東北の池田さんからお話がありました。_
私は池田さんと一緒に池袋宣伝等をやりましたので、終わった後にすごく嬉しかったと感想を述べていたことを痛切に覚えています。声を上げていくことの大事さ、宣伝をしながら仲間と連帯をすることを肌で感じたときに、自分がそこで変わっていくんですよね。そこに参加しなかったら、熱も、雰囲気も、力も見えないんです。やはり宣伝行動はみんな一緒に、できたら数多くできるようにするのが一番だと思います。
東京の坪倉さん。
東京の仲間ががんばってくれたから、今の現状で収まっています。我々の運動は、既得権益でも何でもなく、市民の足を守るため、利用者の安心・安全を守るため、そして仲間の暮らしと権利を守るために行っているんです。神奈川悪徳連合や、ヤフー、ソフトバンク、楽天など、彼らはライドシェアをやることによって株価を上げたいんです。それだけの話で、市民の安心・安全を奪っていいのかということをしっかりくさびを打ちながら、今後も適宜声を上げていきたいと思います。
関西の黒井さん。
ついに維新の会の化けの皮が剥がれる今一歩手前に来ています。維新については、東京と大阪での報道の仕方がまったく違うんですね。そういう危険性を野放しにしていたらとんでもないことになると、皆さんにも知ってほしいと思います →情報電子版29
議員失職でライドシェア問題の行方は
衆議院選挙の結果うけて 堀井一也書記次長
10月27日、投開票の衆議院選挙で、自民、公明の与党は公示前の279議席から215議席へと大きく減らして、過半数割れとなった。これまで規制改革を好き勝手に進めてきた自公政治は事実上、機能できなくなった。
一方でライドシェア全面解禁反対派では、自民党タクシー・ハイヤー議員連盟の渡辺会長、盛山幹事長が落選したこと。また公明党では、党首が落選し国交大臣の椅子を保持できるか先行き不透明である。そこに小泉進次郎氏が率いる超党派・ライドシェア勉強会では、自民、公明、維新、立憲、国民の各党から16人が名を連ねており、その中には民主党時代に国交大臣を務めた馬淵澄夫氏や現デジタル大臣の平将明氏がいるためである。
この1年のライドシェア議論は、地域産業活性化ワーキンググループが中心になって進めてきた。7月にはサブワーキンググループが発足し、ライドシェア新法制定に向けて非公開の会議が行われている。
首相やデジタル大臣が変わり8月29日以降は開催されていないが、ここの動きには特に注視しなければならない。
新加盟のなかま |
(874)神奈川・相和交通支部
神奈川県の相和交通労働組合の29人は6月20日、自交総連神奈川地本に加盟しました。
会社は労働者を軽視しており、団体交渉でもけんか腰でした。組合もできたばかりで経験が浅く、組合員は不安を感じていました。そこで方々に意見を求めた結果、上部団体への加盟が必要と判断し、自交総連への合流を決議しました。
支部長は「不安だが今後も指導を仰ぎたい」と決意を語りました。