「RSは怖くて乗れない」
全視協・藤野総務局長と対談
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堀井書記次長(左)と藤野総務局長(右) |
もしライドシェアが全面解禁されてしまったら――。
今回は、新春企画として特別対談を行います。日常生活の移動手段としてタクシーが欠かせない利用者を代表し、全日本視覚障害者協議会(全視協)の藤野喜子総務局長にお話を伺いました。藤野さんは昨年、自交総連の中央行動に二度参加し、一緒にライドシェア解禁反対の声を上げていただいたことがあります。
藤野さんは五歳の時に先天性緑内障で失明し、全盲になりました。神奈川県茅ケ崎市に長年住んでいましたが、現在は全視協がある東京都豊島区に住んでいます。
インタビュアーは、本部の堀井一也書記次長が務めました。
(12月17日、全視協事務所にて実施)
夜遅くてもタクシーは安心
堀井書記次長 現在タクシーのご利用は、どの程度でしょうか?
藤野総務局長 茅ケ崎市に住んでいた頃は、バスが終わった時間に一人で利用していて、駅のタクシー乗り場から、〜団地〜号棟と告げたら玄関に一番近い場所まで送ってもらいました。夜遅くても安心してお任せしてました。今は全視協の近くに住んでいるので、利用する機会が減りました。
堀井書記次長 自治体からタクシー券など配布されていますか?
藤野総務局長 豊島区から年間4万円程度で私はそんなに使いませんが、知り合いは足りなくなるようなので、増額して欲しいですね。
堀井書記次長 障害を持った方の移動に欠かせないタクシーなので、その通りですね。 仕事上で移動する際はタクシーをどのように利用していますか?
藤野総務局長 私が仕事をする際は、国の制度で派遣された介助者が必ず従事しているため、その人に配車アプリで呼んでもらってます。3分ほどで来てもらえるのでありがたいです。
堀井書記次長 ライドシェアを利用しようと思いますか?
藤野総務局長 私たち障害者は移動にあたって手がかかって面倒ですから、ライドシェアは利用しようと思わないし、ライドシェアドライバーも利用してほしくないと思うのではないでしょうか。
堀井書記次長 障害者割引もないでしょうし、ライドシェアはダイナミックプライシングといって、忙しい時間帯には料金が何倍にもなってしまって金額的にも安心して乗ることが出来ないと思いますよ。
藤野総務局長 何処の誰か分からない車に、女性や障害者は怖くて乗れませんよ。
堀井書記次長 そうですね。タクシーは会社に雇用されているので身分がしっかりしています。しかしライドシェアは直接雇用でないので身分は定かでないですね。だから諸外国では犯罪が数多く起きています。今、タクシー会社が雇用責任をとる形で、日本版ライドシェアが走っています。ところが、ライドシェア事業を責任を負わずに行いたい人たちは、自由な働き方として、全面解禁を導入させようとしています。
藤野総務局長 私たちが安心して移動できるタクシーがなくなっては困ります。そうならないように頑張ってください。私たちも協力します。
堀井書記次長 今後ともよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
二〇二五年の抱負
庭和田裕之中央執行委員長
組合員の皆さん、あけましておめでとうございます。私たち自交労働者にとって激動の二〇二五年が始まります。ハイタク関係ではライドシェアの全面解禁問題、バス関係では需要と供給のアンバランスが解消せず、労働者にしわ寄せがきている問題、自動車教習所では、少子化問題から構造的に教習生が減少する問題など、自交労働者を取り巻く情勢は混とんとしています。
他方、全労働者が影響を受ける労働基準法の改正、形骸化に向けた議論が厚生労働省内で進んでいます。現在でも最低限の労働基準法さえ守らない事業者が後を絶たないもと、労働基準法の形骸化はさらなる労働者の貧困化につながります。とくにエッセンシャルワークに従事する労働者は長時間労働とそれに見合わない賃金や有給休暇さえ取得できない状況、未払い賃金など様々な問題に苦しんでいます。私たちの産業もエッセンシャルワークに含まれる産業であり、同様の問題を抱えています。
こうした問題を解決していくためには、広範な労働者との共同はもちろんのこと、他産別の仲間とも縦横に助け合い団結してたたかい、改善していくしか他に道はありません。
最後に、私たちの自交産業では、ライドシェアの全面解禁を許さない闘いを二〇二四年以上に積極果敢に行い、地域公共交通を利用してくださる国民にどれだけ「ライドシェアは必要ない」という声を上げてもらえるかが決定的に問われる年になると思います。笑って二〇二五年を終えられる年になるよう執行部の先頭にたって奮闘することを表明し新年のご挨拶といたします。
組合の重大事件を支援
4地方6組合が争議に奮闘
長期争議組合の紹介
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自交総連の長期争議組合は、昨年10月時点で4地方6組合7事件でした。新規発生は、東京の未払い賃金請求事件が1件、福岡の未払い請求事件が2件、同じく福岡の不当解雇事件が1件となりました(下)。
自交総連は毎年、臨時徴収金を解雇事件や重大事件に配分しています。
係数乗じる賃下げ問題注視
22年11月、東京特別区・武三交通圏の運賃改定後、飛鳥交通グループは、各社で賃下げ提案を行いました。
その内容は、営業収入に0.9585という係数を乗じることで賃金を下げ、運転者に渡るはずだった運賃改定の増収分を会社が奪いとるというものです。
自交総連加盟の2組合は、この提案を拒否したものの、会社は一方的に賃下げを断行。23年11月、2労組は賃金の一方的変更を不服として東京地方裁判所へ提訴しました。
24年4月の第2回口頭弁論より自交総連非加盟の組合との合流が認められ、原告団140人、弁護団8人の訴訟となりました。
もし運賃改定後のこうした賃下げが認められてしまえば、全国に波及しかねません。
本部としても支援のみならず、訴訟のゆくえを注視・分析していきます。
必ず職場に復帰する
福岡 吉野ケ里観光タクシー分会 池田正俊分会長
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佐賀地方裁判所前でこぶしを握る池田分会長(右)と平川顧問(左) |
私は、19年1月に、仲間たちと自交総連吉野ヶ里観光タクシー分会を結成し、分会長を現在しています。10年以上も賃金は上がらず、労働条件は衰退していく一方でした。自交総連の組合を新たに結成し、ストライキを背景に団体交渉を行い、賃率を3〜5%引き上げ大きく前進しました。
たたかう自交総連の組合に加入したことで、会社による組合差別が目立ち始め、24年1月に社長との口論をきっかけに解雇を受けました。現在、佐賀地裁で地位確認の訴訟を起こし、たたかっています。
必ず職場に復帰し、真面目にコツコツ働く人が報われる職場にするため、引き続き奮闘する決意です。
今後も全国の仲間のみなさんには、ご支持・ご支援をいただきますよう、よろしくお願いいたします。
タク同等の運行管理が必要
厚労省・経産省・国交省と交渉
交運共闘
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要請書を手渡す城議長(左)=2024年12月6日、東京・衆議院第1議員会館) |
交運共闘は12月6日、厚生労働省・経済産業省・国土交通省と11・7中央行動で提出した個人請願書の内容について、交渉を行いました。
【厚生労働省】
組合側=労働基準法の趣旨に反する規制緩和は行わないこと。
厚労省=働く人の多様な希望に応える制度の検討が求められている。雇用関係に寄らない働き方については、個人の都合に合わせた働き方が出来る環境を整備することが重要。
【経済産業省】
組合側=規制のサンドボックス制度で、ライドシェアを実証実験の対象としないこと。
経産省=制度の運用は、「人命等を侵害しないこと」を担保した上で認定される。ライドシェアについても、安全性が担保されないまま認定されることはない。
【国土交通省】
組合側=ライドシェア新法の策定には反対すること。
国交省=タクシー同等の運行管理が必要。日本版ライドシェアの実施検証が必要で、新法は必要ないと考えている。
(報告者・城政利書記長)