自交労働者No.997、2025年7月15日


有権者の意思を示そう

自交労働者の未来かかった選択

参議院選挙

表

 7月3日公示、20日投票で参議院選挙が行われます。
 現在、衆議院は与党が過半数割れとなっています。今回の参議院選挙では、これまで以上に日本と自交労働者の未来がかかった重大な選択が問われます。
 各政党の政策を比較・分析し、必ず投票に行って有権者としての意思を示しましょう。


 各政党のライドシェア問題への態度は、自交労働者にとって重要な争点となります。
 簡単に情勢を振り返ります。
 4月11日、日本維新の会が「ライドシェア事業に係る制度の導入に関する法律案」を衆議院に提出。この法案は、会期中に議決が行われず、6月20日の国土交通委員会で賛成多数により、次の会期で継続審議することが決定しました。国土交通委員のうち、継続審議に反対したのは公明と共産で、賛成したのは自民、立憲、維新、国民、れいわ等でした。
 さらに、6月13日には政府が『骨太の方針2025』を閣議決定しましたが、ライドシェア全面解禁についての法整備は盛り込まれませんでした

公開アンケートの回答結果

 全労連社会保障・公共闘争本部は、各政党へ参議院選挙に向けての公開アンケートを行いました。
 その中で、『ライドシェア反対』の質問について、4政党から以下の回答がありました(順不同)。

 【国民民主党】 「危険なライドシェア」は推進すべきではありませんが、移動の自由を十分に確保するための対策は必要です。
 【日本共産党】 ライドシェアを導入している諸外国では、犯罪や性被害が多発するなど、安全上の問題が指摘されています。運転者の労働時間・健康状態の管理・規制もありません。自公政権は、「地域交通の担い手不足解消」などと称していますが、地域公共交通予算の拡大、タクシー、バス労働者の賃金・労働条件の抜本的改善による人手不足の解消こそが求められています。
 【れいわ新選組】 ライドシェア制度は安全面での懸念ももちろんですが、いわゆるギグワークのしくみで、低賃金労働を旅客運送の分野にまで導入する政策です。タクシー事業者が不足する地域では、公共交通の充実を図っていくべきです。
 【社会民主党】 ライドシェアは運転手の運転技術や安全性の保障が不十分であり、し烈な価格競争によるタクシー運転手の賃金水準引き下げや地域のタクシー会社の運営が成り立たなくなる恐れがあります。その結果、地方を中心に交通空白がより悪化する恐れもあります。社民党は、ライドシェアの解禁に反対します。

投票は簡単、選挙に行こう

表2

 選挙期間中に、市区町村から投票所入場券が送られてきます。投票日に、その入場券をもって、記載されている投票所に行って投票します。
 投票所入場券が届かなかったり、紛失してしまった場合でも、免許証等を持参の上で投票所に行き、本人確認が取れれば投票できます。投票は簡単ですので気軽に行きましょう。

法案撤回するまで続ける

国会前で座り込み抗議宣伝

RS全面解禁阻止行動

シュプレヒコールを行う参加者=6月5日・東京、国会議事堂前
シュプレヒコールを行う参加者=6月5日・東京、国会議事堂前

 自交総連は6月5日、国会議事堂前で座り込み抗議行動を実施しました。交運共闘の仲間も駆けつけ約100人が集結。「ライドシェア事業に係る制度の導入に関する法律案」の審議入りに反対し、『骨太の方針2025』にライドシェア全面解禁の推進を盛り込まないよう求めました。
 10時半、庭和田裕之中央執行委員長による主催者あいさつで行動を開始。庭和田委員長は、「ライドシェア法案はタクシー運転者の労働者性を否定するものだ。法案撤回まで抗議の声を上げ続ける」と宣言しました。
 連帯あいさつでは、オーバーツーリズムの解消と公共交通の充実が必要(全労連の九後健治副議長)▽ライドシェア全面解禁は社会に悪影響(交運共闘の星野芳史幹事)▽タクシーがいかに不便か導き出す意図があけすけな調査を基にしたライドシェアの解禁など許されない(日本共産党の堀川あきこ衆議院議員)との訴えがありました。
 続いて、東京・北海道・神奈川・静岡・福岡の代表者が各地の状況について発言。最後は国会議事堂へ向けて「維新のライドシェア新法反対!」と参加者全員でシュプレヒコールを行いました。

 →情報電子版16

残業代未払いを許さない

不当行為の是正へあらゆる手段を講じる

 自交総連は、会社からの不当行為に断固として抗議し、裁判も辞さない姿勢で団体交渉を行っています。直近では、関西・大阪地連のみなと観光バス労組、福岡地連の福自交永楽交通分会で闘争が行われています。


会社は組合宛て郵便物すら拒否

ビラを投函するバス部会の仲間=6月17日・兵庫、西神ニュータウン
ビラを投函するバス部会の仲間=6月17日・兵庫、西神ニュータウン館

 兵庫県神戸市・六甲アイランドに本社を構えるみなと観光バス株式会社は、長年、1か月の変形労働時間制を採用しながら、その要件を満たしていませんでした。
 路線・観光バスを運行し、1台で約50人の人命を預かる責任の重い仕事をしている労働者を最低賃金で働かせた上、割増賃金も支払っていません。
 みなと観光バスで働く労働者は、違法な労働環境を改善したいと24年1月に組合を結成し、翌月には自交総連へ加盟しました。
 その後、みなと観光バス労働組合は団体交渉での解決を模索しましたが、会社は頑なな態度を崩さず、組合宛の郵便物まで拒否すると通告。組合はこれでは話し合いにならないと判断し、未払い賃金(割増賃金)の請求を神戸地裁に申し立てました。
 現在、関西・大阪地連の支援を受けつつ、組合は1日でも早く違法状態を解決するために奮闘しています。

理不尽な仕打ちを宣伝で告発

 関西・大阪地連のバス部会の仲間たちは5月27日、阪急・御影駅、阪神・御影駅、六甲アイランドセンター駅前で第1弾の宣伝行動を実施。
 さらに6月17日には第2弾として、みなと観光バス株式会社の社長宅がある西神ニュータウン(神戸市西区・須磨区の丘陵地帯)で、市民に争議の内容を知ってもらうための各戸ビラ行動を行いました。
 額の汗を拭いながら閑静な住宅地が拡がる西神ニュータウンで、社長宅周辺をくまなく回り、ビラを投函していきました。ビラは、社長がいかに組合員や従業員に対し、理不尽なことを続けているかを告発する内容です。
 宣伝を終えたバス部会の山本事務局長は「第1弾の宣伝行動は反響が大きく、支援に駆けつけた私鉄連帯する会や地域の仲間に、争議の内容を尋ねてくる市民が少なくありませんでした。今後はもっと市民に知ってもらうために繁華街や主要ターミナルで第3弾、第4弾と規模を拡大しながら争議の全面解決に向けあらゆる手段を講じていきます」とコメントを寄せました。


全組合員の未払い残業代をかちとる

 福岡地連の福岡自動車労組・永楽交通分会は1年半ほど前に設立されました。
 組合の設立に至った経緯は、オール歩合給賃金で残業代が支払われないことや、欠勤すると歩合給賃金から控除されてることに疑問を感じた社員たちが福岡第一法律事務所に相談に行ったことでした。
 社員がまとまった結果、会社からの嫌がらせが起こったため、弁護士の紹介で自交総連に入りました。
 法律事務所から会社宛てに残業代請求の内容証明が届くと、会社は全社員の残業を禁止しました。仕事柄タクシーは電車やバスがない時間帯が稼ぎ時です。所定時間で帰っては足を切ってしまい最低賃金しかもらえません。
 組合は団体交渉で労組法、労基法、道路運送法における会社の矛盾点を追及しながら、まず残業の復活をかちとりました。
 その後、過去の交通事故修理代を返金させ、25春闘では全組合員の未払い残業代について、ほぼ要求に近い解決金で妥結することができました。
 今後は、会社から提案されている交通事故の懲戒規定が団体交渉の課題となります。
 現在、永楽交通分会では組織拡大で対抗するために自交共済に力を入れています。
 今年4月から4人が自交共済に加入しており、非組合員にも組合に入って助け合うことを呼びかけています。

ライドシェア全面解禁阻止統一行動

宮城、高知、京都で実施

 自交総連は、ライドシェア全面解禁阻止へ向けて旺盛な宣伝行動を行っています。5月は、関東ブロック、東北、関西・京都で宣伝行動が実施されました。

タク労働者から多くの激励

 東北地連は6月2日、仙台駅前でタクシー労働者向けに宣伝を行いました。本部機関紙とビラを配布し、対話しました。客待ちするタクシー労働者から「がんばってください」「ご苦労さま」など多くの激励を受けました。

タク協会と懇談会を開催

協会側が「今後について知恵を借りたい」という場面も=6月18日、高知・高知交通会館
協会側が「今後について知恵を借りたい」という場面も=6月18日、高知・高知交通会館

 高知地連は6月18日、高知県タクシー協会・高知市タクシー協会とライドシェアについての懇談会を行いました。
 協会側は、日本維新の会によるRS法案に断固反対する姿勢を示した上で、本格的な海外版のRS参入を防ぐためには日本版・公共RSを進めていかなければならない状況にあると主張しました。
 背景として、労働者不足や、いわゆる「交通空白」地域の発生、インバウンド需要の増加が顕著になり、地域公共交通を確保できなくなっていることなどを指摘。「地方の交通手段確保のためにタクシー事業者によるRSを導入する、という全タク連の指導により対応している」と語りました。
 さらに、「国交省はRSの管理をタクシー事業者がすべて行うことで、最終的には第2種免許なしでタクシーを運行できる方向を今後10年程度でめざしているのではないか」との見解を語りました。
 組合側は、「我々は全面解禁だけでなく日本版RSにも反対している」と強調し、「地域公共交通の課題は安全で民主的な免許制度で対応すべき。RSを法的に縛る方法を模索し、国会へ働きかける必要がある。来月の参議院選挙の結果が今後の情勢を決める」としました。
 そして、現状のRS全面解禁議論は安心・安全に移動する権利が国民に保障されているのか否かの視点がないとの認識で協会側・組合側は一致しました。

何としてでも法案の撤回を

通行人へ訴える松田委員長(中央)=6月30日、京都・京都駅烏丸口
通行人へ訴える松田委員長(中央)=6月30日、京都・京都駅烏丸口

 「RS全面解禁阻止」の一点共闘で始めた京都の「共同闘争」は第16波となり6月30日、JR京都駅烏丸口と四条烏丸で宣伝行動が行われました。
 自交総連からは松田隆司委員長と山本雅広常執が発言しました。松田委員長は、日本維新の会が衆議院に提出したRS法案について、「旅客運送に何より重要な安全規制をないがしろにするものだ。RSは地域公共交通を破壊する」と糾弾し、「自交労働者の労働環境の悪化をこれ以上進めないためにも、何としてでも法案を撤回させなければならない」と訴えました。

 →情報電子版17

実情に応じた労働環境改善を

23年度 運転者数が増加へ転じる

法人タクシーの輸送実績

 →情報電子版18

自交共済は自前の助け合い制度です

表

 自交共済は、自交総連の組合員のみが加入できる自前の助け合い制度です。こくみん共済coop(全労済)とタイアップして運営しているもので、共済事由は多岐にわたります。万一の時の保障だけでなく、結婚銀婚・出生・入学などの祝金も給付対象となり、組合員の安心に役立っています。
 月々の掛け金は、組合員の平均年齢によって決まりますが、死亡時はもちろん、住宅災害、不慮の事故による障害、組合活動中の事故保障など、さまざまな事由に給付がされるようになっています。組合が契約を結ぶため、個人の健康診断書や過去の病歴の告知をする必要はありません。
 給付を受けるときは組合が書類をそろえ全労済に提出します。審査後「全労済給付金」「自交共済給付金」が合わせて支払われます。生命共済や後遺障害、住宅災害などは、個人や法定相続人へ給付されます。
 また、組合員なら誰でもひとりから加入できる自交共済新年金もあります。ライフサイクルにあわせた掛金額の増減や随時払いの活用で、将来必要な資金づくりができます。
 自交共済の給付実績を報告すると24年6〜11月の半期で、給付件数が87件、給付金額が107万3000円となりました。給付地方は、宮城・茨城・埼玉・東京・神奈川・大阪・山口・福岡でした。
 組合員には、自交総連給付金と全労済給付金を合わせた額が一括で給付されます(上表参照)。


 自交共済は現在、給付内容の拡充や加入条件の見直しなどを含む制度の抜本的改定を検討しています。
 詳細は9月の総会後、随時お知らせしますので、続報をお待ちください。
 安い掛金で大きな給付、わたしたちの共済制度を大きく育てましょう。