2008.11.20 |
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国交省交渉 |
自交総連は11月19日、11・13中央行動にひきつづき、常任中央執行委員らで国交省、厚労省、規制改革会議と交渉しました。交渉内容は以下のとおりです。
出席者 | 組合側 | 飯沼委員長他15人(宮城、埼玉、東京10、大阪、福岡、本部) |
国交省 | 自交局旅客課高橋芳則課長補佐他8人 |
要 請 事 項 | 回 答 要 旨 |
1.供給過剰の防止・解消 (1)特定特別監視地域等での試行的措置について、必要な運転者数の確保等を厳格に審査し、運転者の労働条件悪化を招く増車や新規参入を抑制する実効性を確保すること。また、その効果や実績をもとに必要な改善をした上、恒久的な措置として定めること。 (2) 供給過剰地域については、独占禁止法の適用を除外した協調的減車措置等により減車が実現できる措置を講じること。 |
(1) 地域によっては著しい供給過剰で労働条件も悪化しているという認識で、緊急調整地域や特定特別監視地域を指定して対応している。交政審ワーキンググループ(WG)でも、供給過剰問題を最重要課題として審議している。その結果をふまえて必要な対策を講じたい。 (2) 協調的減車措置というのはWGでも示している。産業再生特別法なども活用して公取とも調整し、対応したい。 |
――WGとりまとめで言っている「特定地域指定制度」創設というのが今の特定特別監視地域に替わるものか。 | そうだ。制度としては(試行ではなく)恒久的な措置になる。 |
――独禁法の適用除外というのはあきらめたのか。道運法の運輸協定を適用できないのか。 | 独禁法のカルテル除外のハードルは極めて高い。産業再生特別法を活用する。新しい法律も必要になってくるかとも思う。減車をした会社に対するインセンティブをつけないと減車は進まないので、どういうものが有効か、組合からも意見を寄せていただきたい。 |
2.運賃値下げ・割引競争の弊害を是正するため、同一地域同一運賃制度も含め適正な運賃制度を確立すること。運転者賃金の抑制を前提とした運賃の値下げ申請については、厳格に審査を行い、賃金が低下しない制度的保障がない限り認めないこと。 | 運賃は事業経営上基本的な事項なので自主性や創意工夫が発揮されることが必要だ。ルールの中での多様化は健全な競争のためにも必要なので、全国一律で同一運賃というのは難しい。 下限割れ運賃は厳格に審査しているが、適正な原価を償うものであれば一律に禁止もできない。ただし、労働条件低下を前提としたものやダンピングは厳正に審査する。ガイドラインを作って運用を強化する方向だ。 |
――ガイドラインはいつまでにつくるのか。 | 時期は決まっていないが、審議会を設けて審議して決める。そんなに長くかけるつもりはない。 |
3.運転者の労働条件の改善 (1) 道路運送法と労働者保護、安全運行規定が一体的に機能するよう現行法を改めること。 (2) 運賃改定後に運転者の歩合率を変更するなど改定の趣旨に反している事業者を厳しく指導し是正させること。その事業者名を公表すること。 (3) 累進歩合制度の廃止をはじめ労働関係法令、告示の遵守について、関係省庁とも連携して法の徹底を図り、法違反を摘発・処分すること。 (4) 名義貸し営業や経営リスクを運転者に転嫁するリース制など、道路運送法に違反若しくはその趣旨を没却する経営手法には厳しく対処すること。 |
(1) 良質な労働力確保、運転者の労働条件改善は必要なことだと考えている。 (2) 改定の主な理由は労働条件改善なので歩合率を維持する査定をした。増収分に見合った改善が行われることが必要だ。公表結果を分析して、労働者への分配率が低下しているところは個別にヒアリングし、改定の趣旨を逸脱しているところには一時金の支給や運転者負担の軽減など改善を指導する。 (3) 関係省庁と協力して指導強化をはかっている。厚労省とは連携してやる。 (4) 判断基準の通達に基づいて、各局で調査している。事実確認がされればて適切に対応する。近畿では報道されているように改善指導を行った。 |
――運賃改定後に賃金支給率が下がったところは全部事情を聞くのか。 春闘で賃下げされるケースが考えられるが、通達は生きているのか。 |
支給率が下がったところは全部調査する。悪質なケースは事業者名を公表する。 春闘時でも通達の趣旨は生きている。 |
4.福祉・介護タクシー、過疎地の乗合タクシー等について、すべての国民の移動の権利を保障する観点から、利用者への運賃補助、事業者への車両設備導入補助等、政府として充分な助成措置が講じられるよう、関係省庁とも協議して実施すること。 |
福祉・介護タクの充実は緊急性の高い課題として、福祉輸送モデル地域設定して福祉車両の導入には補助をしている。 乗合タクは、地域公共交通活性化総合事業のなかで、バス・タクシーで過疎地の公共交通を守るとりくみをしている。 |
出席者 | 組合側 | 岡田副委員長他9人(東京5、神奈川、京都、本部2) |
厚労省 | 労働基準局監督課川鍋修康事務官他6人 |
要 請 事 項 | 回 答 要 旨 |
1.労働関係法、改善基準告示違反を摘発し、法令遵守を徹底すること。 (1) 累進歩合給制の廃止を徹底すること。足切り前後で賃金支給率が変わるなど歩合給の額が非連続的に増減するものは廃止すべき累進歩合給制であることを徹底すること。 |
(1) 賃金制度は労使で自主的に決定すべきもの。平成元年の93号通達で廃止するよう関係者に周知している。累進歩合給を把握した場合は、文書による是正の指導を行っている。累進であるか、無いかはケースバイケースで個別に判断する。 |
――歩合給の額が非連続的に増減している具体的な個別の判断基準は。 | 運賃収入と賃金の関係をカーブで表したときに非連続点があるものを言う。その場合は、指導する。 |
――労基署に提出する書類では累進かどうかの違法性は分からない、また、契約時に改善基準告示違反の契約かどうかわかる労働者もいない。指導体制の徹底をはかるべきでは。 | 今後とも周知徹底で廃止するべきものは指導、監督する。 |
(2) タクシー運転者登録制度が主な政令指定都市に拡大したが、運転者が退職を希望した場合、それを妨害するために、就職時に支給した支度金や養成費用の未弁済を理由に登録タクシー運転者証を国土交通大臣(登録実施機関)に直ちに返納しない会社がある。こうした行為は、タクシー業務適正化特別措置法違反であるとともに、労働基準法の「賠償予定の禁止」「前借金相殺の禁止」の趣旨である人身拘束の禁止にも違反するものであり、当該使用者を厳しく指導・監督すること。 | (2) タクシー業務適正化特別措置法違反が即16条違反とはならない。また、17条も同じである。労働局には退職について個別紛争制度があり、そこでの対応となる。 |
――就職時に支給した支度金や養成費用の未弁済を理由に退職できない場合は。 | 就職時の契約上の問題で、民事で解決するべき。 |
2.タクシー運賃改定が実施された地域において、基発第1203001号通達の趣旨を徹底し、労働者・労働組合の同意を得ることなく一方的に賃金の支給条件を改悪するスライド賃下げを強行している事業者に対しては、きびしく監督・指導すること。 | 基発通達の前提は運賃改定にあり、所管は国土交通省となる。運賃改定を機に労働条件改善が望ましいと判断し、事業者団体に自主的な要請を行った。スライド賃下げは、民事上の事案となる。総合労働相談所も活用し労使間のトラブルは避けてもらいたい。 |
――労働協約が締結されている場合は24条違反も含めてどうなるか。 | 当然極端な場合は違反になる。 |
3.観光バスの労働関係法、改善基準告示の遵守、監督を徹底すること。とくに、改善基準告示の運転時間の上限および国交省の08年6月27日付の交替運転者の配置指針を理由として労働条件を低下させないよう指導すること。また、休息期間の延長など労働者の健康維持に資するよう改善基準の改定を検討すること。 |
法定労働条件の履行確保上、問題があると考えられる事業所の把握に努め、監督指導を実施している。その結果、労働基準関係法令や改善基準告示違反が認められた場合には、是正に向け必要な指導を行っている。改善基準告示については、運転者の乗務の特性により応じた労働時間などの規制のあり方について、関係労使の方々に議論いただき、合意形成を諮りながら定めたものである。その後も法定労働時間の短縮にあわせて、関係労使の方々に議論いただき必要な見直しを行ってきている。 現在、改善基準告示違反率が高い割合で発生している現状から、遵守の徹底をはかりたい。国土交通省との連携も行う。 |
4.最低賃金引き上げのテンポを緩めることなく、時給1000円以上をめざすこと。 | 昨年に引き続き大幅に引き上げを行った。来年も適正な引き上げを考えている。 |
――最賃問題は生計費が原則では。 | 今の水準で良いとは思っていない。引き続き検討する。 |
5.賃金構造基本統計調査(賃金センサス)で調査しているタクシー、バス運転者の賃金・労働時間が年によって極端に増減するなど実態と乖離している例がみられる。調査対象数を増やし、調査方法も工夫して、実態を正確に反映する統計とすること。 | この調査は、事業所の規模、地方別に抽出している。個別の産業として抽出していないので、一定の調査対象数を確保できない。継続して特定の県下の地域等の調査はしていない。調査対象数を増やすには予算上の問題がある。 |
――調査は正規雇用だけか。 | 一般労働者と短時間労働者は常用労働者としている。 |
出席者 | 組合側 | 石垣・岡田・緒方副委員長他5人(埼玉、京都、大阪、本部2) |
会議側 | 内閣府規制改革推進室山本正彦政策企画調査官他2人 |
要 請 事 項 | 回 答 要 旨 |
1.すでに提出してある抗議を真摯に受け止め、そこで指摘した点についての見解を示すとともに、「タクシー事業を巡る諸問題に関する見解」の内容を再検討し、撤回すること。 2.規制緩和が格差の拡大、低賃金労働者の増大をもたらした現実をふまえ、タクシー労働者をはじめとする国民の労働実態・生活実態を謙虚に直視する姿勢に改めること。 3.規制緩和、市場原理至上主義が金融危機を引き起こし、世界中に害悪を及ぼしていることを自覚し、これまでの規制緩和万能の主張の過ちを認めて、自ら公表すること。 |
規制改革会議の基本的な立ち位置は、消費者利便の向上などメリットを与えている規制改革は有効という立場であり、タクシーの厳しい問題は承知しているが、それぞれの問題は規制強化ではなく個々の対策で対応すべきという立場だ。 規制改革会議の運輸担当の中条委員もぜひ意見交換をしたいと言っていたが、出張等で日程が合わなかった。今日は、各地方の皆さんの意見を聞かせていただいて、委員に伝えたい。 |
(仙台、大阪、埼玉、福岡、京都の実態を詳しく説明した後、) ――規制改革会議の見解では、国交省が対策を考えるのが悪いかのように言っているが、一番詳しい国交省が対策を講じるのは当然ではないか。 |
主管官庁の国交省が対応するのは当然のことだが、重大な規制強化につながる政策については、他との調整が必要ではないかと考えて指摘したものだ。 |
――労働条件問題は社会政策で対応すべきといっているが、規制改革会議は片方では、労働者の権利も強めず、最賃も上げず、労働時間規制もすべきでないと言っている。そんな社会政策があるのか。 | タクシーに限らず低賃金の労働者すべてについて、最低賃金や生活保護など総合的に対策を考えるべきではないかという趣旨だ。労働問題についてのご意見は委員に伝える。 |
前号の情報に掲載した11・13中央行動で提出した請願署名は、その後追加して送られてきたものがあり、以下のようになりました。19日の交渉の際に、国交省に提出しました。
地 方 名 | 参 加 | 署 名 |
---|---|---|
北海道 | 116 | |
宮 城 | 248 | |
福 島 | 200 | |
埼 玉 | 50 | 289 |
東 京 | 484 | 4345 |
神奈川 | 57 | 983 |
静 岡 | 169 | |
石 川 | 81 | |
京 都 | 439 | |
大 阪 | 1278 | |
広 島 | 127 | |
山 口 | 67 | |
福 岡 | 193 | |
長 崎 | 43 | |
鹿児島 | 36 | |
本 部 | 8 | 5 |
現地提出 | 326 | |
合 計 | 599 | 8945 |
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