2014.3.25 自交総連情報タイトル

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労働条件改善はタクシー産業活性化の重要目標
[東タク協 労務委員会が労務指針]
累進歩合、乗務員負担見直しに努める

 【解説】東京タクシー・ハイヤー協会の労務委員会は春闘に当たって経営側の取り組み方針を示した「労務指針」を明らかにしました。
 指針は「適正な労働時間管理を行う等の手法により最低賃金を下回る事態が生じないよう対処する」など“不適切”な手法を推奨している部分もありますが、「乗務員の労働条件の改善・向上はタクシー産業の活性化及び適正化を推進していく上での最重要の目標の一つ」として、労働条件の改善が経営側にとっても必要な課題となっていることを認めており、春闘では、こうした点を評価して団体交渉をすすめる必要があります。



平成26年度労務指針

東京タクシー・ハイヤー協会 労務委員会

 わが国の景気は、輸出環境の改善や経済対策、金融政策の効果などを背景に、改善に向かっているものの、顕著な消費及び雇用の回復には至っていない状況である。このような情勢の中で、東京のタクシー産業は、平成23年度後半から日車運送収入の回復がみられるものの、対前年同月比で僅少な増加幅に止まる傾向が続いている。さらに、4月から消費税が8%に引上げられるほか、燃料価格の上昇、安全対策や社会保険等に係る経費の増大等のコストアップ要因も抱えており、依然として厳しい状況が続いている。
 平成26年度はこうした現状を踏まえ、以下のとおり取り組むものとする。

1 労働条件の改善・向上

 タクシー乗務員の労働条件の改善・向上はタクシー産業の活性化及び適正化を推進していく上での最重要の目標の一つであることを踏まえ、生産性の向上と成果の適正な配分により労働条件の改善向上に努める。

2 労使の信頼関係、協力関係の維持

 労使間の信頼関係、協力関係の維持は、健全な労使関係にとって不可欠なものであり、各社においては信頼関係の醸成し協力関係を保ちながら、共通の認識を基盤とした労働条件についての真摯な話し合い等を行う。
 東タク協としても、制度政策問題を中心に労働所団体との懇談を随時実施し、労使の意思疎通をはかり、信頼関係の維持に努める。

3 良質な労働力の確保

 (1) 近年実働率が低下する等乗務員不足が顕在化していることを踏まえ、若年労働力を中心とした乗務員の積極的雇用に努める。

 (2) タクシー産業の発展のためには良質な労働力の確保が必要であり、そのため、魅力のある労働条件・労働環境の整備に努める。
 なお、募集に際しては、労働条件についての正確な表示に努める。

 (3) 乗務員の採用に際しては、その適性を十分に考慮するとともに、採用後においても適切な研修・指導を実施する。

 (4) 嘱託・定時制乗務員については、有期雇用契約における上限年齢の導入等により乗務員の年齢構成のアンバランスを改善するとともに、交通事故防止及び利用者に対する安心なサービスの提供に努める。

 (5) 女性乗務員については、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)の観点を含め、女性が働きやすい職場環境の整備に努める。

4 労働関係法令の遵守の徹底

 (1) 労働基準法や労働安全衛生法等の規制の内容については、正確な理解により遵守の徹底を図る。また、社内において自主点検を行うなどにより法違反の未然防止に努める。

 (2) 近年最低賃金額の引き上げ幅が大きくなっていることから、日車営収の減少等により一部の乗務員について問題が生じている。営業効率の向上に関する教育・指導や適正な労働時間管理を行う等の手法により最低賃金を下回る事態が生じないように対処する。

5 改正労働法への対応

 次の改正法の施行に対し、適正な対応を図る。

 (1) 65歳までの雇用確保を主眼とする高年齢者雇用安定法の改正

 (2) 有期労働契約の無期労働契約への転換制度等労働契約法の改正

6 労働時間の適切な管理

 (1) 「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(以下「労務改善基準」という。)の遵守の徹底を図る。

 (2) 労務改善基準の遵守のため、デジタルタコグラフの活用等による管理手法おw確立するとともに、問題があると認められる乗務員に対する個別指導を行う等、きめ細かな対策を実施する。

 (3) 日勤勤務(一車一人)から隔日勤務への転換等により長時間労働の改善に努める。

7 乗務員の安全と健康の確保

 運輸安全マネジメントの目的・主旨を踏まえ、交通労働災害の防止を図る。また、乗務員の高齢化にも配慮し、定期健康診断の確実な実施及び健診結果に基づく措置の履行等の健康管理対策を適切に実施する。

8 特措法の改正に伴う附帯決議への対応

 「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の一部を改正する法律」の成立に際し附帯決議に盛り込まれた累進歩合制度の廃止及び乗務員不安制度の見直しに努める。



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