2014.6.10 自交総連情報タイトル

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バス労働者の組織化が必要と確認
[全国バス労働者交流会] 国交省とも交渉

全国バス労働者交流会
全国バス労働者交流会(2014.6.6、東京・日比谷図書文化館)

 自交総連は6月6日、東京・日比谷図書文化館で全国バス労働者交流会をひらき、宮城・埼玉・東京・神奈川・京都・大阪・福岡の7地方から25人が参加して、バス労働者の現状、組織化の方向などを交流しました。交流会の前には、国土交通省と交渉しました。

 交流会には、バス労働者がいる8組合からバスの組合員と常執らが参加しました。城委員長の開会あいさつののち、菊池書記次長が問題提起、規制緩和で劣悪化したバス労働者の現状を分析し、労働条件の改善、規制緩和の見直しのためにもバス労働者の組織化を進めて仲間を増やさなければならないと提起しました。

 地方報告では、「何度かバス労組の結成、消滅を経ながら、現在は個人加盟労組をつくって活動、宮城交通の北陸道事故ではマスコミにも注目され、運輸局交渉もしている」(宮城)、「リーフレットをつくって宣伝した。労働者は情報に飢えていると感じるが、一年契約の雇用が増えて声を出せず組合に結集できない」(大阪)、「昨年2月に路線バスの労働者から相談があり組合結成、社内でタクシー・貸切も組織した。一時金の大幅増などの成果をかちとった。貸切では配車差別があり改善の交渉をしている」(福岡)との報告がされ、全国的な宣伝物の作成やバス部会結成の要望が出されました。東京の福祉バス、神奈川の貸切バス、大阪の貸切バス各労組、バスの組合がない地方の常執からも発言があり、厳しい労働条件のなかで、バスの仲間を組織化していくことの重要性が共通認識となりました。


「届出運賃を下回る落札は自治体の長に助言」

国交省交渉
国交省と交渉する自交総連の代表(2014.6.6)


【2014.6.6 国土交通省交渉】

出席者  組合側  城委員長、石垣・秋山副委員長、菊池書記次長、宮城2、東京7、大阪4、福岡2=計19人
 国交省  自動車局旅客課新輸送サービス対策室高瀬誠一郎専門官、安全政策課星明彦課長補佐他2人

要 請 事 項 回 答 要 旨
 1.バスの規制緩和政策を改め、適切な事業規制を確立、強化すること。
 旅行事業者が優越的な立場で無理な運行や低運賃をバス事業者に強要するなどの不当な行為を行わないよう罰則を伴う規制を行うこと。とくに、日帰りバスツアーで、運転者の拘束時間が16時間超にならざるを得ないような旅行行程12時間超のツアーを組んでいる旅行業者には厳重な措置を講じること。
貸切バスが違反で処分されたときに、旅行業者の関与がうかがわれる場合は、旅行業法による対応を観光庁に求めることになっている。
 ――長時間のツアーがいまだにたくさん広告されているが、どう認識しているのか。  前よりは減ったと思うが、ご指摘の問題があることは承知している。大手旅行社を含め理解が足りないところがある。悪質なものは継続的に監視していく。
 ――観光庁に通報した事例はあるのか。  ない。
 2.本年4月から実施されている貸切バスの新運賃制度について、自治体等の公共団体が行う競争入札で、審査不要運賃の下限割れでの契約を認めないこと。  貸切バス選定・利用ガイドライン *注1を自治体・学校に周知し、届出運賃の収受の必要と安全コストを考えた取引を推奨している。今後も周知していきたい。
 入札で届出運賃を下回って落札した場合、自治体の長に通知し、技術的助言(地方自治法245条の4 *注2)を行う。
 ――新制度で運賃が上がった分、手数料を多くとる旅行社がすでに出てきている。結局バス会社に入る分は変わらくなってしまう。  手数料は事業者間の取引なので道運法の規定とは別だが、4月からの運賃改定の時期に合わせて手数料を上げるのは改定の趣旨に反する。何%にしろとかは言えないが、制度の趣旨には反すると認識している。
 ――中間業者の「中抜き」も多い。  問題は認識しているが、直ちに道運法違反とは言えない。
 3.北陸道事故後、運転者の体調急変への対策がまとめられているが、万が一の緊急時を想定した対策として、長距離・夜間・大型などの一定の条件の運行には、補助員(バスガイド・車掌)の乗務を義務づけるとともに、消火器・緊急表示灯の点検、避難訓練を義務化すること。 運転上の危険がないところでは車掌なしでの運行を認めている。要望は検討させていただく。
 ――これまでの事故でも、ガイドや添乗員がブレーキを押して止めた例もある。東北運輸局では、通達を出せば義務付けはできると答えている。  リスクを減らすためにハードとソフトと両面を考えていかなければならない。総合的な対策が必要と考える。
 ――宮城交通の北陸道事故では、市営バスの委託を受けて人員不足から勤務が過重になっていることは明らかだ。  警察の捜査の関係で言えない点がある。衝突時に意識がなかったと思われるが、労務環境と事故の因果関係はまだはっきりしない。宮城交通の労務環境は調べている。改善させる点があれば改善させる。
 4.重大事故につながる過労運転の確実な防止のため、
 (1) 厚生労働省と連携して、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準を以下のとおり改正すること。
 拘束時間 1日13時間、1か月240時間以内
 休息期間 11時間以上
 運転時間 1日7時間以内
 連続運転時間 2時間以内、1回につき15分以上の休憩確保
 (2) 交替運転者配置基準は、すべての貸切バス・高速乗合バスについて、走行距離500km(回送を含み、一般道は2倍換算)、夜間運行は距離にかかわらず運転者2人制とすること。
 改善基準は、厚労省で、労使・関係者の協議の結果、定められたもので、現行の規定を適切に守らせることを重視して監査をしていく。
 事業者には「最低限の基準」であることを周知して、労働者の状態に応じた労務管理を行うことを指導している。

注1 『輸送の安全を確保するための貸切バス選定・利用ガイドライン』(2012.6.29策定、一部改正2014.4.1)より抜粋

 4.貸切バスの調達に係る入札等における留意点
 (1) 運賃及び料金
 貸切バスの運賃及び料金は、道路運送法第9条の2により、乗車時において地方運輸局長等に届け出て実施しているものによらなければなりません。従って、調達予定価格や契約価格は地方運輸局長等へ届け出た運賃及び料金である必要があることに注意してください。
 公示運賃の下限を下回る運賃での落札は、運行に必要な安全コストが計上されておらず、したがって、当該運行において利用者の生命・身体の安全が十分確保されない恐れがあることに十分ご留意ください。

 (2) 応札者に対する確認  入札時に応札者に対して以下の書面の提出を求めることにより、応札者が安全コストを含んだ届出運賃を基に入札額を積算したか、安定的に事業運営している事業者か等を確認することをお勧めします。
 ・届出運賃により入札額を積算した旨の確約書
 ・国税及び地方税の納税証明書

 (3) 入札等の契約方法
 公共機関の契約は、予定価格の範囲内で最低価格をもって申込みをした者を契約の相手方とする一般競争入札が基本とされています。しかし、利用者の生命・身体の安全を確保するため、貸切バスの調達については、企画競争入札や総合評価方式の導入等、安全性等に対する取組状況も考慮できる選定方法を行うことをお勧めします。

注2 地方自治法第245条の4

 各大臣又は都道府県知事その他の都道府県の執行機関は、その担任する事務に関し、普通地方公共団体に対し、普通地方公共団体の事務の運営その他の事項について適切と認める技術的な助言若しくは勧告をし、又は当該助言若しくは勧告をするため若しくは普通地方公共団体の事務の適正な処理に関する情報を提供するため必要な資料の提出を求めることができる。


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