2014.8.1 |
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タクシー規制強化のビラをまく東京地連の仲間(東京・霞ヶ関) |
規制改革会議事務局との交渉(内閣府内) |
自交総連は、改正タクシー特措法に基づいて国交省が基準づくりをすすめている「特定地域」の指定基準について8月1日に国交省と規制改革会議に意見書を提出して、適切な基準が策定されるように求めました。
今年1月に施行された改正タクシー特措法は、供給過剰の地域を「特定地域」に指定して強制減車措置などの規制をすることを予定し、どの地域を「特定地域」にするのか、現在、国交省が指定基準づくりを進めています。この基準づくりに対して、6月9日に規制改革会議が「改正タクシー特措法の特定地域に係る指定基準に関する意見」を出し、営業の自由を制限する規制をかける地域は限定的にするべきだとして、「特定地域」の車両数は全国の車両数の半数を有意に下回るようにすることなどを求めています。
タクシー労働者に大変な苦しみを強いてきたタクシー規制緩和を推進してきた規制改革会議が、規制強化に反発して、国交省に圧力をかけるのは不当な動きです。
自交総連では、規制改革会議には、国民の安心・安全より営業の自由を上において、規制強化を押しとどめることは許されないとの意見を申入れ事務局と意見交換、国交省には、予め車両数の上限などを設けることなく、適切な指定基準を策定することを申入れました(申入れのみ)。
また、同日朝8時半から霞ヶ関周辺で、東京地連の仲間がビラを配って、適切な規制を訴えました。
規制改革会議は6月9日に「改正タクシー特措法の特定地域に係る指定基準に関する意見」を出しました。自交総連は、この意見は国民の安心・安全より「営業の自由」を上に置くものであって、特定地域の数量的な限定まで求めるのは不当であるとして別添の意見書を同会議に提出したところです。
特定地域指定基準の策定に当たっては、こうした圧力に左右されることなく、客観的かつ明確なもので、法の目的とする運転者の労働条件の改善を担保するに必要な絶対的な指標を、すみやかに策定することを求めます。
記
1.指定基準は、変動する数値ではなく、「標準的な実働率(90%を基本)のもとで、実車率が50%を下回っている場合」など絶対的指標にもとづくこと。また、運送収入が、安全輸送の根幹をなす適正な労働条件を担保するに足りる水準となっているかどうかを考慮すること。
2.規制改革会議の「意見」は、「事故発生の状況」「利用者利便の確保」の指標を新たに加えるべきとしているが、もし、事故の増加、サービスの悪化が進行しなければ特定地域に指定されないということになるのならば、不合理そのものといわざるをえない。
タクシー運転者は、低賃金・長時間労働という過酷な労働条件の下でも、プロとしての自覚をもって、安全運転と乗客への良好なサービスの維持に努めている。こうした運転者の努力を無にするかごとき指標は採用しないこと。
3.供給過剰であるとの判断基準にもとづく指標に合致する地域については、すべて特定地域に指定すること。その数や含まれる車両数の上限を予め限定する恣意的な基準とはしないこと。
規制改革会議 創業・IT等ワーキング・グループが6月9日に出した「改正タクシー特措法の特定地域に係る指定基準に関する意見」(以下、「意見」という)について、自交総連は、適切なタクシー規制の意義を軽視し、国民の安心・安全より「営業の自由」を上に置くものとなっていることに懸念を表明し、以下の意見を述べます。
1.1990年代以降、社会のあらゆる分野ですすめられた規制緩和は、市場競争を万能視し、企業の経済的利益を優先するあまり、安心・安全の崩壊、貧困化と格差の拡大、社会秩序・モラルの喪失など様々な弊害をもたらしました。
タクシーにおいても、2002年に実施された規制緩和により、増車・値下げ競争が激化し、運転者の労働条件は悪化、その結果、輸送の安心・安全が損なわれる事態が生じました。そのため交通政策審議会等での議論を経て、過当競争を抑制する方向が打ち出され、名義貸し禁止等の通達に続いて、2009年にタクシー特措法が成立、さらに規制方法等を整備した改正タクシー特措法が今年1月から施行されました。
こうした経過にみるように、現在のタクシー規制は、規制緩和失敗の痛切な経験のうえに実施されているものです。規制緩和の旗を振り、規制緩和見直しに抵抗してきた規制改革会議が、今回、再び意見を出して、規制の強化をできるだけしないように求めているのは、無反省・無責任といわざるをえません。
「意見」は、特定地域の指定等の規制により営業の自由(憲法22条1項)を不当に制限することなどが危惧されるとしていますが、憲法22条には「公共の福祉に反しない限り」と明記されているように、公共の福祉に反する営業の自由は存在しません。タクシーの規制は、安全・サービスの確保という公共の福祉を目的に、それを担保するに足る運転者の労働条件を確保するために行われるものであり、営業の自由を何ら「不当に」制限するものではありません。
2.「意見」は、特定地域の指定について法に「特に必要であると認めるとき」との要件が存在しているとして、「特定地域が極めて限定的にのみ指定されるよう、慎重な検討がなされるべきである」としています。
しかし同法の条文には、「適正化及び活性化を推進することが特に必要であると認めるとき」には当該地域を特定地域に指定すると記されているのであって、これを「極めて限定的にのみ指定」と読み込んで、指定地域の数量的な限定まで求めるのは、過剰で恣意的な要求といわなければなりません。
3.「意見」は、特定地域指定の指標に「事故発生の状況」「利用者利便の確保」の指標を新たに加えるべきであるとしています。
もし、事故の増加、サービスの悪化が進行しなければ特定地域に指定されないということになるのならば、不合理そのものといわざるをえません。
実際にタクシーを運転し乗客と接している運転者は、低賃金・長時間労働という過酷な労働条件の下でも、プロドライバーとしての自覚をもって、安全運転と乗客への良好なサービスの維持に努めています。こうした運転者の努力を無にするかごとき指標は認められません。
4.「意見」は、指標は客観的かつ明確に評価可能なものとすべきであるとしています。それ自体は当然のことですが、その一方で「指定基準を適用した結果、特定地域内の営業車両総数が、全国の営業車両総数の半数を有意に下回る割合とすべきである」とも述べていることは、明らかな矛盾です。
特定地域の数(そこに含まれる営業車両の数)は、客観的かつ明確に評価可能な指標にもとづき決まるべきもので、その数は予め調整することができるものではありません。これは結局、特定地域が少なくなるように指標を定めろといっているに等しいものです。国交省の指定基準案については「恣意的かつ不明確」と批判しながら、特定地域を少なくするという自らの意向には沿うように基準を定めろというのは、恣意的でご都合主義といわなければなりません。
客観的・明確な評価にもとづき、それに適合する地域はすべて特定地域に指定されるべきで、その数を予め限定することがあってはなりません。
5.「意見」が運転者の賃金水準の向上に言及し、最低賃金法遵守、運転者負担見直し、給与体制の再構築などが重要だとしていることは当然のことです。
しかし、タクシー事業において、最低賃金法違反が続出するようになるほど賃金水準が低下した事態は、営業収入が減れば自動的に賃金も下がるという歩合給制の仕組みの特性を無視して、規制緩和が強行されたことが大きな原因です。規制緩和に重大な責任のある規制改革会議が、その弊害を除去することを目的とした法規制を非難するのは本末転倒だといわざるをえません。
国交省とともに規制改革会議もその点の反省に立って、利用者利便の向上に不可欠な運転者の労働条件の向上をよりいっそう重視すべきです。
出席者 | 組合側 | 石垣副委員長、菊池書記次長、吉田、木下、川崎、庭和田常執(6人) |
規制改革会議 | 内閣府規制改革推進室須田俊之参事官補佐、加藤猛史参事官補佐他2人 |
(意見交換の要旨) ◎「意見」を出された経過は――規制改革会議の委員の中では昨年の法律改正の時からタクシー問題については関心が高く、法律がどうなるのか注目していた。 6月に国交省からヒアリングし、指定基準の試算を示してもらったのを受けて、規制改革会議から意見を出した。 法律は国会で決まったことなので、それについては何も言えないが、運用の上で、特定地域は規制がかなり強いということを考えると、それが半数を超えるということはないのではないかということで意見を出させてもらった。 ◎タクシーは規制緩和で需要が増えず、1台当たりの営収が下がって運転者は低賃金になったことなど、タクシーの特性、労働者の実態を説明したのに対し――日車営収が下がってもいいという考えではない。労働者の賃金については、バランスのとれた給与など附帯決議の実行が必要との意見も出している。 委員の方々の意見は、競争によって需要を喚起することが重要ではないかということで、その点で、競争の制限が強すぎるのは問題があるということだ。 ◎国交省が指定基準案を出した後で、規制改革会議が再度、意見を言うこともあるのか?――その可能性はある。 ◎「事故発生の状況」「利用者利便の確保」を指標に加えろと意見にあるが、具体的にどういう指標を考えているのか、事故が増えること、苦情が増えることを条件にしろということか?――そこまで具体的に内容を考えているわけではない。09年の特措法後、安全や利便がどうなったかという検証も必要ということだ。 ◎自交総連の意見書は会議の各委員に配布してほしい――検討するが、今日の要請内容は伝えるようにする。 ◎各地方から、規制緩和後の実情、MKやワンコインタクシーの実態などを詳しく説明――(事務局の人には、真剣に話を聞いてもらい、対応してもらった。) |
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