2014.9.17 自交総連情報タイトル

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 大阪府・市が共同で「タクシー自由化特区」提案を行っていることに対し、自交総連は抗議声明を出しました。

(声明)大阪・橋下市長の「タクシー自由化特区」提案に抗議する

2014年9月17日 自交総連

 1.大阪市は8月29日、大阪府と共同で、「都市格を高める『より良質なサービス』を提供するタクシーに対する規制緩和について」とする国家戦略特区への追加提案を行った。提案内容は、「特区制度を活用し、安全面・接遇面、労働環境などで一定水準を上回る優良な事業者に対して、運賃や台数についての規制を緩和する」というものである。橋下徹・大阪市長は同日の定例会見で、改正タクシー特定地域特措法を「バカげた法律」と非難する一方、運賃や台数についての規制を緩和(=自由化)する特区申請を認めるよう政府に要望すると述べている。

 提案が政府に認められれば、今秋の臨時国会に提出される国家戦略特区法改正案に盛り込まれ、大阪が現実的に「タクシー自由化特区」となることが懸念される。加えて、この問題は改正タクシー特措法にもとづく特定地域指定にも重大な影響を与え、事業の将来にとっても見逃すことができない。

 2.タクシーの規制緩和は2002年2月に実施され、たちまち大量増車や運賃競争の激化で全国的に様々な弊害がまきおこった。とりわけ大阪では、タクシー台数の急増による異常な供給過剰状態に加え、50種類を超えるバラバラ運賃・値下げ競争が発生した。交通事故の増加に加え、名義貸し、「チャブリ」(客引き)などの違法行為も出現し、安心・安全や輸送秩序が損なわれるとともに、運転者の労働条件は大幅に悪化し、貧困化現象が社会的問題となった。

 タクシー労働者や利用者・国民、事業の将来にとって、規制緩和は何ら良い結果をもたらさなかった。こうした規制緩和失敗の反省の上に立って、2009年にタクシー特措法がすべての政党の賛成、全会一致で成立した。その法の下で、一定の規制強化が実現し、さらに昨年、公定幅運賃や特定地域での“強制減車”を可能とする改正法がみんなの党以外の賛成多数で成立した。これには橋下氏が代表を務める日本維新の会(当時)も賛成している。

 3.橋下氏は「一番サービスの良い、乗務員にとっても労働環境の良いタクシー会社を集める」と主張しているが、規制緩和を適用する事業者の労働条件やサービス水準については、「これから詰める」として何ら具体的な基準は明らかにしていない。むしろ、これまで日本維新の会がワンコインタクシーなど低額運賃政策をとる事業者を評価する国会質問等を繰り返してきたことを思い起こせば、特区では、名義貸し類似行為やリース制など利益を先取りする経営手法が公認されることも懸念される。

 自交総連は、短絡的な発想による大阪府・市の「タクシー自由化特区」提案を断じて容認できない。我々は阻止に向け全力をあげるとともに、安心・安全、誇りと働きがい、地域貢献をはかる政策の実現をめざし奮闘していく決意である。


(参考=大阪府・市の提案)

大阪府・大阪市

都市格を高める「より良質なサービス」を
提供するタクシーに対する規制緩和について

◆背景
 ・日本を「世界で一番ビジネスがしやすい環境」にして経済成長を確固たるものにするためには、大胆な規制・制度改革を実行していくことが求められており、大阪はその牽引役として、国家戦略特区の区域指定を受けている。
 ・国内外から、ヒト・モノ・カネを呼び込み大阪がグローバルなビジネス拠点へと成長するためには、産業・観光をはじめ、あらゆる分野において民間の活動を後押しする環境を創出する必要がある。
 ・また、大阪の都市魅力の向上のためには、今後、増加が見込まれる外国人観光客をはじめ、ビジネスや観光で国内外から大阪に訪れる来訪者にとって、利便性と快適性の高い都市となることが重要である。
 ・行き先を告げるだけで目的地まで安心して確実に運んでくれるタクシーは、限られた時間の中で行動する来訪者の有効な交通移動手段であり、タクシーのサービス水準は都市の品質に大きく関わっている。
 ・一方、タクシーを取り巻く背景として、「特定地域における一般旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の一部を改正する法律」が平成26年1月から施行された。
 ・同法の施行に伴い、概ね大阪府域全域が準特定地域に指定され、公定幅運賃や新規参入規制、増車規制が適用され、利用者が求めるサービスの選択の幅が制限されることが危惧されている。

◆提案理由
 ・来訪者が利用しやすい交通機関としてタクシーの「より良質なサービス」を提供することで、大阪の都市格の向上をめざし、利用者の利便性を高める。

◆提案内容
 ・特区制度を活用し、安全面・接遇面、労働環境などで一定水準を上回る優良な事業者に対して、運賃や台数についての規制を緩和する。


国家戦略特区 追加提案検討用調書(内閣府)

@ 提案者の氏名または団体名
 大阪府
 大阪市

A 具体的な事業の実施場所
 大阪府域において、「特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法」で定める準特定地域に指定されている営業区域

B 具体的な事業の実施内容
 都市格を高める「より良質なサービス」を提供するタクシーに対する規制緩和

C Bの事業の実施を不可能又は困難とさせている根拠法令等
 「特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法」

D Bの事業実施を不可能又は困難とさせている規制等の内容
 「特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法」に基づき、概ね大阪府域全域が準特定地域に指定されているため、公定幅運賃や新規参入規制、増車規制が適用され、利用者が求めるサービスの選択の幅が制限されている。

E C・Dに対する規制・制度改革のために提案する新たな措置の内容
 ・安全面・接遇面、労働環境などにおいて、国が求める一定の水準を上回る優良な事業者に対して、「特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法」第16条の3及び4の2、「道路運送法」第9条の3の選択適用を認める。
 ・「特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法」第15条の適用除外

F Eの措置をした場合に想定される経済的社会的効果
 ビジネスや観光で国内外から大阪に訪れる来訪者が利用しやすい交通機関としてタクシーが「より良質なサービス」を提供することで、大阪の都市格の向上をめざし、利用者の利便性を高める。

◆担当者連絡先
 大阪府政策企画部戦略事業室・企画室・商工労働部総務課・都市整備部交通道路室
 大阪市経済戦略局立地推進部・政策企画室企画部・都市計画局計画部


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