2016.3.11 |
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国交省への要請=2016.3.8 |
自交総連バス部会は3月8日、軽井沢スキーバス事故を受けて、国土交通省と厚生労働省交渉を行い、悲惨な事故を二度とくりかえさないよう、規制緩和を見直し、改善基準を改正するように求めました。
交渉には、宮城、大阪、福岡からバス運転者、ガイドが参加、現場の声をぶつけました。
出席者 | 組合側 | 石垣部会長他12人(本部、宮城3、大阪3、福岡3、鹿児島2) |
国交省 | 自動車局旅客課バス産業活性化対策室黒岩勉課長補佐、観光庁観光産業課旅行安全対策推進室松浦淳一専門官他2人 |
要 請 事 項 | 回 答 要 旨 |
1.バス事業の規制緩和を根本的に見直し、規制強化を行うこと。 | 平成12(2000)年に規制緩和して以降、事業者は増えたがチェックはやってきたつもりだ。関越道事故の後、参入基準も強化したが、事故が起きてしまった。対策検討委員会での議論をふまえて対策をしていく。 |
――規制緩和で何がよくなったと考えているのか。 | サービスが向上した。安全が重要なのはもちろんだが、需給調整規制に戻しても変わらないのではないか。法令を遵守すれば事故が起こらないようになっているはずで、それを守らない事業者をどうするかだ。安全マネジメントで経営者にも安全意識を徹底するようにしてきた。 |
――事故が起き、死者が出ないと対策をしない。規制緩和でまずかったことは何か。規制緩和の反省が必要だ。 | 規制緩和の後で事故が起きたのは事実。関越道事故後には参入チェックを厳しくした。 |
2.緊急に以下の対策を講じること。 (1) 公示運賃違反の実態を調査し是正させるとともに、低運賃や無理な運行を押し付ける旅行業者への監督を強化し、罰則規定を創設すること。バス会社と旅行会社の間で仕事を仲介する仲介業者の実態を調査し、規制すること。 |
都道府県が管轄する旅行業者も含め、抜き打ちの立ち入り検査をしている。運賃の実態についてアンケートを取って分析している。その結果をふまえて対策を講じる。仲介業者の調査も検討している。 |
(2) 監査要員の数を増やし監査体制を強化するとともに、不適格な事業者の参入を防ぐ規制強化を行うこと。 | 参入後のチェック強化について、検討委員会での議論をふまえ、速やかにできるものはすぐ行い、夏までに対策を出していきたい。参入規制では、最低車両数や車齢など議論がされている。 |
(3) 交替運転者の配置基準は再改正し、回送含む1日500km以下とし、深夜運行は距離にかかわらず運転者2人制とすること。また、大型車両・長距離の運行には安全保安要員として車掌・ガイドの同乗を義務付けること。 | 交替運転者配置基準は、関越道事故後、労使と生理学の専門家らに議論してもらって上限を決めた。これは最低限の基準だ。現行の基準を守らせることをしっかりやっていかなければいけない。そのうえで(改正)は考えなければならない。現行の基準でも、距離だけでなく、運転時間9時間以内、夜間連続は4夜までなどの規制もあるので過労防止になっている。 車掌は、運輸規則15条で置くことになっているが、(一定の条件で)置かなくても強制はしていない。 |
――ガイドの同乗は検討委員会の議題にあがっているのか。議題としてくれ。 | いまはまだ議題にはなっていない。 |
(4) 厚生労働省と協議し、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」の法制化、当面して、@拘束時間1日13時間以内、A休息期間11時間以上、B運転時間1日7時間以内、C連続運転時間2時間以内とするなどの改正を早急に行うよう、働きかけること。 | 改善基準は労働省の委員会で労使で検討して決められたものと承知しており、国交省としては実情を踏まえたものと考えている。まったく見直さなくていいというわけではないが、厚労省は労基法との関係等を検討しなければならないといっている。見直しの必要性について労使で雰囲気を醸成していくことが必要ではないか。 |
厚労省への要請(2016.3.8) |
出席者 | 組合側 | 石垣部会長他11人(本部、宮城3、大阪3、福岡3、鹿児島) |
厚労省 | 労基局労働条件政策課労働条件確保改善対策室片倉和弘室長補佐他2人 |
要 請 事 項 | 回 答 要 旨 |
1.バス事業者に対する労働関係法令違反の監督・指導を強化し、国交省との相互通報制度も強化すること。 | 労働基準監督機関では、自動車運転者を使用する事業場を重点としている。事故後には特別に監査している。国交省とは相互通報で連携している。 |
――事故を起こした会社は1年前に国交省の監査で違反が見つかっているが、その時に厚労省に通報されていたのか。 | 個別の事例についてはお答えできない。個別に公表できないが、通報する基準等は実効があるよう検討していく。 |
2.「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」を法制化し実効性を高めるともに、当面して、バス運転者について以下の改善を行うこと。@拘束時間1日最大13時間以内、1か月最大240時間以内A休息期間11時間以上B運転時間1日7時間以内C連続運転時間2時間以内、1回につき15分以上の休憩を確保し完全に業務から解放 | 改善基準は、すべての産業に適用される労基法では規制が難しい自動車運転者についての拘束時間等を、労使の参加を得て決められた。使用者の自主的な遵守を求めているものだ。 |
――過労死基準の月100時間以上の残業を容認しているのはおかしい。休息期間8時間では寝られない。実際に乗務中、眠くて仕方がない状態だ。 改善基準を決めるときだって、行政が主導して労使を集めて協議したはずだ。行政が関与しなければ労使で機運を醸成することなどありえない。 |
過労死の基準とは直接リンクしていない。休息期間8時間は、拘束時間15時間超が週2回しか許されていないので、週2回しかできない。 今日の要請の趣旨は、省内の関係者で共有していきたい。 |
質問する本村議員 (衆院インターネット中継から) |
日本共産党の本村伸子衆院議員は3月9日、国土交通委員会で軽井沢スキーバス事故について質問、規制緩和の見直しと改善基準の法制化、改正を要求しました。
本村議員は、非正規雇用で技能に不安のある運転者に運転させ、違反を繰り返し、安全を軽視するイーエスピーのような事業者を参入させた国の責任は大きいとして、その背景に規制緩和があるのではないかと聞きました。
石井国土交通大臣は、規制緩和により利用者の利便向上とサービスの多様化などの成果を上げていると答えたため、本村議員は、バスの最大のサービスは安全ではないかと指摘しました。
安全を確保するため、貸切バス運転者の賃金や雇用形態の労働実態を調査すべきだとの提起には、国交省藤井自動車局長が、イーエスピーでは運転者22人中11人が非正規雇用だったと明らかにし、「可能なものについては調査を検討したい」と答えました。
本村議員は、安全運行の要はバス運転者であり、それにふさわしい労働条件が必要だとして、安全運行の基準である改善基準告示に罰則がない不備を指摘、基準の改正と法制化を求めましたが、石井大臣は「まずは改善基準告示の遵守が必要」として、改正に消極的な答えに終始し、藤井国交省自動車局長は「法制化は厚労省の所管」と責任を回避しました。
本村議員は、長野県で運転中に脳内出血で42歳で亡くなった貸切バス運転者の遺族が過労死認定を求めて裁判を起こし地裁で認められた事例をとりあげ、1週90時間も拘束され、休息期間は5時間余りだった日もあると告発。この裁判で国が控訴していることを厳しく批判しましたが、石井大臣は、相変わらず「裁判の事例も改善基準が守られていない事例だ」として、改善基準が遵守されてさえいればよいかのような答弁でした。
本村議員は、睡眠不足は飲酒運転と同様の危険があるとの生理学者の見解を示し、「寝てないなら乗るな、乗せるな」と厳しく対応することが必要だと主張し、現行の8時間の休息期間では、睡眠時間が確保できない、労働者から強い要望が出ているとして、休息期間11時間の確保をはじめ、改善基準の改正と法制化、安定雇用を義務付けるなどの対策に、大臣は政治家として真剣に向き合うべきだと強く迫りました。
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