2016.3.11 |
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質問する辰已議員 |
日本共産党の辰已孝太郎参院議員は3月10日の国土交通委員会で、国家戦略特区諮問会議が白タク=ライドシェアの解禁を狙っていることを取り上げ、2日に提案された追加の規制改革事項で「過疎地域等での自家用車の活用拡大」を挙げていることが、事実上、白タク容認の規制撤廃になる危険性を追及しました。
辰已議員はまず、軽井沢バス事故がなぜ起こったのか、大臣はどう感じているのかと問い、石井国土交通大臣が「遺憾に思う」と答えたのに対し、遺憾というのは自らの責任はないという意味で、それではだめだ、規制緩和をした国土交通行政への反省が必要だとして、競争原理万能で規制緩和をしたことが安全の軽視につながっていると指摘しました。
規制緩和が許されないのはタクシーも同様であり、タクシーではなぜ白タクが禁止されているのかと質問。国交省藤井自動車局長は、輸送の安全、安心が確保されないので禁止されていると答えました。辰已議員は、白タクを認めないのは当然のことだが、特区諮問会議の提案は、規制を撤廃してライドシェアを解禁するものではないかと問いただすと、石井大臣は「自家用自動車有償運送制度の拡充であって、いわゆるライドシェアとは全く異なる」と答弁しました。しかし、具体的に聞いていくと、その根拠がきわめて怪しいことがはっきりしました。
辰已議員 そもそも自家用有償旅客運送とは何なのか、どういう条件で認められるのか。
藤井局長 バスやタクシーのサービスが十分に提供されない地域における移動手段の確保として認められている。公共交通機関のサービスがない地域が前提となる。
辰已 地域住民に必要な輸送を確保するためにやるということですね。
藤井 ご指摘のとおり地域住民の移動を念頭につくられた制度だ。
辰已 特区の提案には「訪日外国人をはじめとする観光客を中心とした運送需要に対応」とあるが、対象は観光客に限るのか。
藤井 「観光客の移動を主たる目的とする」事業なので、対象を観光客だけに限るという制度ではない。
辰已 ビジネス客でもいいのか。
藤井 観光客以外の者についても乗ることを排除しているものではない。
辰已 誰でもいいということですね。「過疎地域等」とありますがこの「等」には何が入るのか。
藤井 過疎地域あるいは公共交通輸送が不便な地域、そういうところが対象になる、それを「等」と表している。
辰已 つまり、都市部でも、交通の供給がなければできるという話ですね。そうなると、どこが(範囲を)決めていくかが大事だが、登録の申請は誰が行うのか。
藤井 申請は自家用有償運送事業を行おうとする主体が行う。
辰已 運営協議会は地域決定に関わるのか。
藤井 特区における特例なので、道路運送法の運営協議会あるいは地域公共交通会議、それに代わるものとして特区の区域会議が置かれている。特区においては区域会議が意思決定主体になる。
辰已 ということは、協議するのは運営協議会ではない。最終的に自家用自動車の活用拡大を決めるのは特区の区域会議だということですね。これは規制撤廃じゃないですか。
特区における自家用有償旅客運送制度の拡大は、対象は旅行者だけでなく誰でもよく、地域は過疎地域だけでなく交通不便ならどこでもよく、それを実施するかどうか決めるのは国家戦略特区の区域会議が決めるということになっているという実態が明らかになりました。
辰已議員は「これはもう規制崩壊ですよ」「こんな規制撤廃は絶対にやるべきではない」と厳しく指摘して質問終えました。
(1) 過疎地域等での自家用自動車の活用拡大
・過疎地域等における訪日外国人を始めとする観光客を中心とした運送需要に対応するため、地域住民の運送を主とした現行の自家用有償旅客運送制度を拡充し、主として観光客を運送するための新たな制度を創設する。
・また、関係市町村、上記制度を活用した自家用有償旅客運送を行おうとする者及び一般旅客自動車運送事業者が、あらかじめ、持続可能な地域公共交通網の形成や旅客の利便、輸送の安全の確保を図る観点から、新たな自家用有償旅客運送に関する相互の連携について協議した上で、国家戦略特別区域会議が、運送の区域等を迅速に決定できるようにする。
国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案の概要
過疎地域等での主として観光客のための制度として、市町村、運送実施予定者及び交通事業者が相互の連携について協議した上で、特区の区域会議が、運送の区域等を迅速に決定できるようにする。■道路運送法の特例【第16条の2】
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