タクシードライバー法案大綱

第一章 総  則

 (法律の目的)
 第一条
 この法律は、タクシードライバーの資格等を定めて一般乗用旅客自動車運送事業の業務に従事する者の資質を向上させることにより、公共輸送の充実と発達を図り、もって旅客の安全と利便の増進に資することを目的とする。

 (タクシードライバーの定義)
 第二条
 この法律において、「タクシードライバー」とは、国土交通大臣の免許を受けて、タクシードライバーの名称を用いて、一般乗用旅客自動車運送事業の事業用自動車を運転して旅客の輸送をなす者をいう。

第二章 免  許

 (タクシードライバーの免許)
 第三条
 タクシードライバーになろうとする者は、タクシードライバー国家試験に合格し、国土交通大臣の免許を受けなければならない。

 (絶対的欠格事項)
 第四条
 次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えない。
 一 精神病者、精神薄弱者、てんかん病者、目が見えない者、耳が聞こえない者又は口がきけない者
 二 アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者

 (相対的欠格事項)
 第五条
 次の各号のいずれかに該当するものには、免許を与えないことがある。
 一 罰金以上の刑に処せられた者
 二 前号に該当する者を除くタクシードライバーの業務に関し犯罪又は不正の行為があった者

 (タクシードライバー名簿)
 第六条
 国土交通省にタクシードライバー名簿を備え、免許に関する事項を登録する。

 (登録及び免許証の交付)
 第七条
 免許は、タクシードライバー名簿に登録することによって行う。
  国土交通大臣は、免許を与えたときは、タクシードライバー免許証を交付する。

 (登録代行の事務)
 第八条
 国土交通大臣は、その指定する者(以下「指定登録機関」という。)に、タクシードライバーの登録等に関する事務(以下「登録事務」という。)を行わせることができる。
  指定登録機関の指定は、登録事務を行おうとする者の申請により行う。

 (免許の取消し等)
 第九条
 タクシードライバーが、第四条の規定に該当するときは、国土交通大臣は、その免許を取り消す。
  タクシードライバーが、第五条各号の一に該当したとき、又はタクシードライバーの品位を損なう行為のあったときは、国土交通大臣は、その免許を取り消し、又は期間を定めて業務の停止を命ずることができる。
  第一項又は第二項の規定により免許を取り消された者であっても、その者がその取り消しの理由となった事項に該当しなくなったとき、その他その後の事情により再び免許を与えるのが適当と認められるに至ったときは、再免許を与えることができる。
  国土交通大臣は、第二項に規定する処分をしようとするときは、あらかじめ、その相手方にその処分の理由を通知し、弁明及び有利な証拠の提出の機会を与えなければならない。

 (政令への委任)
 第十条
 この章に規定するもののほか、免許の申請、タクシードライバー名簿の登録、訂正及び抹消、免許証の交付、書換え交付、再交付及び返納に関し必要な事項は、政令でこれを定める。

 第三章 試   験

 (試験の目的)
 第十一条
 試験は、タクシードライバーとして必要な知識及び技能について行う。

 (試験の実施)
 第十二条
 試験は毎年少なくとも一回、国土交通大臣が行う。

 (受験資格)
 第十三条
 試験は、道路交通法に規定する普通第二種免許試験に合格した者であって、国土交通大臣の指定したタクシードライバー養成施設において省令で定める期間以上、タクシードライバーになるのに必要な知識及び技能を修得した者でなければ、受けることができない。

 (試験事務の代行)
 第十四条
 国土交通大臣は、その指定する者(以下「指定試験機関」という。)に、タクシードライバー試験の実施に関する事務(以下「試験事務」という。)を行わせることができる。
  指定試験機関の指定は、試験事務を行おうとする者の申請により行う。

 (試験事務規定)
 第十五条
 (略)

 (試験委員)
 第十六条
 (略)

 (試験事務担当者の不正行為の禁止)
 第十七条
 タクシードライバー試験委員その他試験に関する事務をつかさどる者は、その事務の施行に当たっては厳正を保持し、不正の行為のないようにしなければならない。

 (省令への委任)
 第十八条
 この章に規定するもののほか、試験の課目、受験手続その他試験に関して必要な事項及び養成施設に関して必要な事項は、省令でこれを定める。

第四章 業  務

 (タクシードライバー業務の制限)  第十九条 タクシードライバーでなければ、第二条に規定する業務をしてはならない。

 (名称の使用制限)
 第二十条
 タクシードライバーでなければ、タクシードライバー又はこれにまぎらわしい名称を用いてはならない。

第五章 罰  則(略)

附  則(略)

 (注)自交総連が考えている試験内容は、@関係法令に関する基礎知識、A接客知識、B地理知識の三つである。試験そのものは、筆記もしくは口答によるものとするが、その具体的内容は以下のとおりである。
1)法令
 ○道路交通法及び関係法令の内容
 ○道路運送法及び関係法令の内容
 ○労働基準法及び関係法令の内容(自動車運転者の労働時間等の改善基準告示及び関係通達を含む)
2)接客知識
 ○旅客の接遇に関する基本的な知識
 ○身障者・病人等の特性と車両乗降時の介護方法、車両に乗車して移動する際の注意事項
3)地理知識
 ○登録しようとする事業区域の主要な道路、建物、観光施設等

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