2009.6.12 自交総連情報タイトル

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(談話) 規制強化のタクシー活性化
法成立が確実になったことを受けて

2009年6月12日 自交総連中央執行委員長 飯沼 博

 1.特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法案(タクシー活性化法案)は、与野党が一致して共同修正案を作成し、全会一致で6月10日の衆議院国土交通委員会、翌11日の衆議院本会議で可決され、参議院に送付されたことにより、今国会中の成立が確実となった。
 この法案は、タクシー規制緩和を見直し、規制強化へと方向を切り替えるもので、全党が賛成して可決に至ったことは、一貫して規制緩和に反対してきた自交総連の長年の運動の大きな前進の一歩として、心から歓迎できるものである。

 2.タクシー活性化法案は、08年末の交通政策審議会答申を受けて、09年2月に政府案が国会に提出された。この政府案は、タクシーの供給過剰を解消するための協調的減車を可能にする枠組みをつくるという積極面はあったが、規制緩和そのものへの反省を欠き、道路運送法の改正には至らず、運賃制度の適正化についても規定していない不十分な面があった。
 これに対して、民主・共産・社民・国民新の野党4党が共同でタクシー活性化法修正案と道路運送法改正案を5月に提出した。野党共同案は、道路運送法に需給調整条項を復活させ、運賃認可基準の適正化、減車の実効性をより高めることなどを含んだもので、規制緩和政策の転換を明確にしたものだった。このような法案をすべての野党が一致し、共同して提案したことは画期的なことであった。
 衆議院の審議では、自交総連の代表が初めて参考人として国会に招致され意見を述べたほか、全自交代表、全タク連代表、学識者参考人も含めて、規制緩和で疲弊した労働者と事業の実態が陳述され、その改善のためには規制緩和の見直しが不可欠であることが、与党議員も含めて共通の認識として議論された。
 政府・与党も否定することのできない規制緩和失敗の現実を前に、与野党の協議が行われ、政府案の不十分な点を修正することで合意が成立した。
 共同修正案は、参入・増車の需給調整については活性化法案の検討事項として措置することとし、運賃認可基準の適正化は道路運送法の附則を改正して措置、協調的減車についてもより実効性を高める内容となっている。道路運送法本法の改正には至らなかったが、野党共同案が提起した内容を相当程度盛り込んだものであり、実質的に規制緩和を見直し、再規制へと政策転換を図る方向を明確にした法案となっている。

 3.こうして共同修正した法案が全会一致で可決されたことは、たいへん画期的なことである。大いに歓迎するとともに、深い感慨を感じるものである。
 2000年春の通常国会で改正道路運送法が成立したとき、これに反対したのは日本共産党と社会民主党のみで、議員数では10%(衆議院定数500議席中41議席、参議院定数252議席中34議席)でしかなかった。それから9年、少数だった意見が100%になったのである。当時、規制緩和は間違った政策であり、数で押し切って実施しても、その欠陥は必ず明らかになり、失敗すると訴えた自交総連の指摘が、まさに現実のものとなったといえる。
 規制緩和のもとで厳しくなる一方の労働と生活の困窮に耐え、歯を食いしばってあきらめずに世論に訴え続けてきた全組合員、自交労働者の運動の成果として強く確信できるものである。

 4.タクシー活性化法は、10月1日から施行される予定となっている。
 施行にむけて、国土交通省では政省令、関連通達、運賃認可審査のガイドライン等が作成されることになっている。
 法律自体は、協調的減車の枠組みを定めたものにすぎず、実際にタクシーの減車や下限割れの低額運賃の適正化などを進めることができるかどうかは、今後のとりくみにかかっている。
 自交総連は、同法の実効性を確保し、減車の実現、不当な低額運賃の是正などタクシーの適正化・活性化が進むように、引き続き全力をあげる。
 同時に、誤った規制緩和を行った政治の責任を追及し、構造改革・規制緩和路線からの完全な決別、労働者・国民本位の政治の実現を通じて、タクシー問題の根本的改善となるタクシー運転免許法制化の要求をいっそう高く掲げて奮闘するものである。

以  上

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