2013.7.11 自交総連情報タイトル

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 交運共闘は11月14日、国会に提出されている交通政策基本法案に反対する声明を出しました。


交通政策基本法案に反対する声明

2013年11月14日
交通運輸労働組合共闘会議(交運共闘)

 1.本年11月1日に閣議決定され、第185回臨時国会に提出された交通政策基本法案について、交運共闘は、その基本理念、内容に重大な欠陥があるものとして制定に反対する。

 2.今回提出された交通政策基本法案は、2011年1月に国会に提出され、その後廃案となった交通基本法案に代わるものとして、昨年末に政権交代した自民・公明政権のもと、国土交通省で検討が進められてきたものである。
 われわれは、廃案となった交通基本法案は、不十分な点はあるものの、国民生活に不可欠な交通の確保をはかるという点では意義のあるものとして、修正を加えたうえで成立することを求めてきた。しかし、今回提出された交通政策基本法案は、法としての基本的な性格が改変され、「似て非なるもの」という言葉に当てはまり、制定することがむしろ有害だといわざるを得ないものになっている。

 3.交通政策基本法案は、交通に関する施策について「国及び地方公共団体の責務等を明らかにする」(1条)としているが、この部分は交通基本法案では、「国、地方公共団体、交通関連事業者、交通施設管理者及び国民の責務等を明らかにする」とされており、基本法として、民間事業者等も含めた国民全体で国の交通のあり方を考え、規定するという理念が、単に行政機関の交通施策の基本を規定する法律へと変っている。
 廃案となった交通基本法案でも、もともと国民の交通権が明確に規定されず、「国民その他の者の交通に対する基本的な需要が適切に充足されなければならない」というあいまいな記述になっていたものが、「…充足されることが重要であるという基本的認識のもとに(施策の推進は)行われなければならない」(2条)と、あいまいさを拡大させたうえで、行政施策に限定された法律に変更されているものである。

 4.さらに、従来の交通基本法案でも不必要・有害な規定としてわれわれが批判してきた「国際競争力の強化」や「地域の活力の向上」に関わる部分は大幅に記述が強化され、@国際競争力強化のための国際海上・航空輸送網、港湾、空港、国内交通網の機能強化、A企業立地、物資の流通促進に資する交通網、輸送拠点の形成、B運輸交通事業の基盤強化、人材育成(19〜21条)などが強調されているとともに、情報通信技術の活用(29条)、我が国の技術・知識の海外での活用(30条)など、多国籍企業・大企業の企業活動のために交通基盤を整備するという方向が露骨に示されており、「地域の活力の向上」の名に隠れて、地方を切り捨てる選択と集中政策がとられ、そのために国が交通政策基本計画(15条)を立てて施策を推進し、そこに国や地方自治体の予算もつぎ込むという意図が想定される。
 まさに、交通に名を借りた新たな大都市集中型の「総合開発計画」を合法化するものに変質しているのである。

 5.本来、交通の基本的なあり方を規定する法律は、国民の移動する権利・交通権を明確に定めて、その権利がすべての国民、とりわけ移動制約者に保障されるように国や地方自治体が施策を行うことを義務づけるとともに、交通の安全を確保するためには、交通機関の運転・操縦を直接担っている交通労働者の適正な労働条件を確保することが不可欠であり、そのための施策が行われなければならないとの趣旨が基本理念として据えられなければならない。
 今国会には、民主党・社民党共同提案の議員立法として交通基本法案も提出されているが、この法案は廃案となった政府提案の法案とほぼ同じであり、われわれが求める基本理念が欠如している点では同様である。
  われわれは、国民の交通権と交通労働者の適正労働条件の確保を改めて重視し、その理念に基づく交通基本法の制定を求めるものである。

以 上

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