(8)労働協約の締結とその効力

闘いとった成果の証拠
就業規則に優先する効力もつ

 【労働協約の例】

○年○月○日

○○○○株式会社
 代表取締役社長 ○○○○(印)

○○○○労働組合
 執行委員長 ○○○○(印)

協 定 書

 ○年○月○日開催の団体交渉において、労使双方下記のとおり合意したので協定する。本書2通を作成して各自それぞれ1通を保管するものとする。

  1. 賃 金
     (1)月例基本給 ○○円とする。
     (2)月例歩合給 月間営業収入○○円越高の○○%とする。
     (3)時間外・深夜割増賃金は法定どおり支給する。

     (以下、賞与、労働時間、有給休暇など合意項目を記載)

  2. 実 施
     ○年○月度賃金より実施する。
  3. 本協定の内容に疑義あるときは、労使が話し合って判断する。
以 上

 使用者と労働組合の合意内容を書面にして双方が署名または記名捺印したものが労働協約です。労働協約で決めた事柄は、労基法や就業規則にも優先して、使用者は守る義務を負います。

  合意を文書にすれば労働協約 

 労働協約というのは、労使の合意内容を文書にしたもので、最低限、双方の署名さえあれば成立し、法的拘束力をもちます。協定書、確認書、合意書、覚書、仮協定など名前は何であっても構いません。
 労働協約で決めた内容は、就業規則、労働基準法にも優先します。
 例えば、週の労働時間(所定)は労基法では40時間です。就業規則でも40時間と決まっているとき、労働協約で35時間と協定したら、それが優先され35時間となるわけです(逆に週48時間というような労基法違反の協定をした場合はその部分は無効)。
 労働協約に定める内容は、賃金、労働時間をはじめ、退職金、休日、賞罰、災害補償など労働条件全般に加え、廃業・企業譲渡など重大事項の事前協議・同意条項(同意約款)など労使関係に関わるあらゆる事柄が含まれます。
 労働協約があれば、それに反する一方的な労働条件の改悪はできなくなるわけですから、その効力は非常に大きなものがあります。まさに労働組合が闘いとった成果の証拠が労働協約なのです。

  一般的拘束力 

 職場に4分の3を超える多数派の組合がある場合、そこが結んだ低い労働条件の協約を少数の組合に押しつけてくることがあります。
 労組法17条の一般的拘束力を根拠にしたものですが、この適用を受けるのは未組織労働者の場合であって、少数ではあっても労働組合がある場合は、その組合の独自の団結権、団体交渉権を保障する観点から、他の組合の協定に拘束されることはありません。



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