労働組合への経営者の攻撃の手口として、前回とりあげた反共攻撃と同時に多いのが御用組合化や第二組合づくりです。アメとムチの使い分けで組合の弱体化をはかってきます。
組合を嫌う経営者の常套手段が御用組合化です。御用組合というのは賃下げでも何でも会社のいうことを聞く組合のことです。
経営者は「上部組織(自交総連)を抜けて、企業内組合として活動するなら認めよう」などといって、自交総連を抜けたら賃上げなど要求の一部を認めると誘いをかけてきます。
こんな誘いに乗って上部組織を抜ければ、その年は一定の改善があったとしても、翌年にはたちまちそれ以上の改悪が押しつけられます。そのときには、支えてくれる上部組織も周囲の仲間もいないわけで、経営者の思うままです。
経営者は、上部組織(自交総連や全労連)の大きな力を恐れるからこそ、企業内に押しとどめようとするわけで、目先のアメにだまされてはいけません。
こうした攻撃のときは、組合の幹部に対する誘惑も行われるのが通例です。料亭で飲み食いさせたり、定年後のポストや特別の待遇を約束したりして、会社側に抱き込みます。
会社の役員と一人では会わない、接待は受けないというのが基本ですが、そのような誘いがあったときは組合員(執行部)に報告し、話があるなら執行部全員で会って話をしようと答えます。
個別の組合員に対しての誘いもありますから、全体で対処方法を意志統一しておきます。
もう一つの弱体化攻撃は、第二組合づくりです。会社の意を受けてまともな組合と対抗する組合が第二組合です。
経営者は、管理職などを使って第二組合をつくらせたうえで、自交総連の組合員には配車差別や嫌がらせなどを行う一方、第二組合員を優遇、自交総連を抜けて第二組合に入りなさいと誘います。
春闘時期には、第二組合と先に賃下げなどの協定を結び、それを自交総連に押しつけます。
ビラや口コミで、第二組合が果たす役割、それを育成する会社の意図を全従業員によく知らせ、第二組合が策動する場をなくすことが重要です。
同時に、一部幹部は別として、個々の第二組合員は同じように苦しんでいる仲間ですから、無闇に敵視せず、あらゆる機会を通じて共同できるように努力することも必要です。