規制緩和で過当競争の犠牲はすべて労働者へ――タクシー運転者の年収は、91年の最高時から104万円も下がって278万円(06年)。男子常用労働者の平均と比べても241万円も低いのが現状です。
こんなに賃金が下がってしまったのは、長引く不況と02年の規制緩和により、タクシー台数が急増し、1台当たりの売上げが減ってしまったからです。
タクシー台数を増やせば1台当たりの営収は減り、普通なら会社の利益にならないはずです。しかしタクシーでは、1台当たりの売上げが下がっても、運転者の賃金は歩合給のため人件費も自動的に下がり、会社は常に一定の利益を確保できます。運賃を値下げした場合も同様です。経営者は1台当たりの売上げが減った分を増車で補おうとして増車するのです。
増車や値下げをする事業者は、法を守らず、労働者に長時間労働をさせたり、名義貸しや累進歩合制度を採用し、低賃金と経営責任を労働者に押し付け、自分の利益だけは確保しようとします。
また、タクシー運賃改定のたびに、経営者は「労働条件の改善」を理由に申請してきました。ところが経営者は、労働者が黙っていると、運賃改定時に足切額を引き上げたり歩合率を引き下げたりする「スライド賃下げ」をしたり、予想どおりの増収がないなどの口実をつけて、運賃改定による増収が労働者に渡らないようにし、労働条件の改善には知らん顔です。
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