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最新ニュース
貸切バスの安全性向上へ
国交省・検討会報告まとめる
 (『自交労働者』2007.12.1)
 国土交通省は10月19日、「貸切バスに関する安全等対策検討会」の報告をまとめました。
 この検討会は、07年2月に発生したあずみ野観光バスの死傷事故を契機に貸切バスやツアーバスに係る安全性の確保・質の向上に向けた方策について検討しまとめたものです。
 報告では、事故の一因とされた交替運転者の配置に対する基準設定や、契約する旅行業者を自動車事故報告書に記載し、旅行業界側の責任の明確化や立ち入り検査できる環境整備も図るとしています。7月30日に大阪地連が国交省でヒアリングに参加し、意見を述べていました。

「貸切バスに関する安全等対策検討会」報告の主な内容
対  応  策 実施時期
1.運行時の安全の確保について
(1)交替運転者の配置基準
 ・国土交通省において、乗務距離に基づく交替運転者の配置基準のあり方を検討
年内
(2)旅客の乗降時における安全の確保
 ・国土交通省において、駐停車禁止場所での乗降禁止について、貸切バス事業者・旅行業者に徹底
速やかに
 ・貸切バス事業者・旅行業者が中心となって、主要地点における乗降場所の確保策を検討 中長期
(3)自動車事故報告書への旅行業者名の記載・旅行業者の責任の明確化
 ・国土交通省において、省令を改正し、自動車事故報告書に旅行業者名等を記載。これにより、道路運送法上の監査等の他、旅行業法上の立入検査等の対応ができる環境を整備
年度内
(4)監査の強化
 ・国土交通省において、必要な監査要員の確保に努め、効率的かつ重点的な監査を実施
継続
(5)車両安全対策の強化
 ・国土交通省において、バスの事故実態等を把握、分析した上で必要な車両安全対策の強化について検討
中長期
2.貸切バス事業者の質を向上させるための方策について
(1)貸切バス事業者を選択できる仕組みの構築(事業者評価の実施)
 ・国土交通省において、貸切バス事業者の評価制度を検討。また、ツアーのパンフレットにおけるバス事業者の安全情報等の記載について検討
1〜2年以内
(2)貸切バス事業者による安全情報の公表
 ・国土交通省において、安全情報の公表内容・方法等について指導
継続
(3)ツアーバス実施事業者間の安全性向上のための連携の強化
 ・国土交通省の主導により、事業者間の連携、行政との対話等を図るため、「ツアーバス連絡協議会(仮称)」を設置
年度内
3.貸切バス業界及び旅行業界の連携・協力のあり方について
(1)ツアーバス向け長距離都市間運行モデル等の作成
 ・バス業界において、代表的な都市間における標準的な運行モデルを作成
1〜2年以内
 ・両業界が連携して、安全運行パートナーシップ・ガイドライン(仮称)を作成 1〜2年以内
(2)両業界の相互理解等を図るための場の設置
 ・両業界が連携し、旅行行程の作成、安全規則の周知、需要拡大策等のテーマについて、協議会等を開催して具体的に検討。ブロック毎の検討を活性化。行政も協力。
体制の整備について、年度内

運転中に車両故障7割
労働者実態アンケート結果
 (『自交労働者』2007.9.15)
 【宮城】宮城交運共闘は、あずみ野観光バスの事故を受けて、バス労働者の実態を調査したアンケートの結果をまとめました(407枚配布、64枚回答)。
 アンケートの結果では、車両故障の経験は? との質問に、約7割が「ある」と回答。運転中にひやりとしたことは? 眠気が襲うことは? には半数以上が「ある」という結果となりました。
 また、意見書を書き込む欄には、「安全が無視されている」、「公休がとれない」などと訴えていました。
 ※.アンケートの結果には無回答者が含まれていないため、47人、17人にならない場合があります。

事前チェック強化を

 交運共闘ではこの結果をもとに、7月31日に運輸局に対し改善指導を求める交渉を行い、激安バスの無理な運行計画や運賃ダンピングを排除し、関連法規遵守による安全運行を求める要請書に対する回答をもらいました。
 対応した伊壷旅客第一課長は、規制緩和以降新規参入が相次ぎ、法令違反が増えている事実を認め、事後チェック強化を示唆しましたが、参加者からは「新規参入業者に対する事前チェックなしには解決にはならない」と追及、また、激安ツアーに対しては、調査体制を敷き、安全運行を担保すべきと強く迫りました。
表
無理な行程組ませない法整備が急務
国交省 貸切バス安全対策でヒヤリング
 (『自交労働者』2007.9.1)
 2000年2月から実施された貸切バス事業の規制緩和後、新規事業者が多数参入した結果、競争が激化し、2月18日未明の「あずみ野観光バス(現ダイヤモンドバス)死傷事故」(過労運転)が発生しました。
 こうした貸切バスの実態を改善するため国交省は、経営者、労働者、旅行業者の代表を選任し、「貸切バスの安全対策検討委員会」を設置しました。
 7月30日、第3回検討委員会が同省で行われ、大阪地連の権田委員長とバス部会の松下事務局長がヒヤリングで「貸切バス事業の現状と課題」について、問題を指摘しました。
 クリスタル観光バスの1日5万円、拘束時間15時間から17時間の内部資料を示しながら松下事務局長は、「公示運賃が守られず、私どもが長年、局に対して具体的資料を示し法違反を繰り返す事業者を摘発するよう求めたが、いまだに是正勧告はなされてない」。
 また、東京のJTBが毎日新聞に掲載した募集型バスツアーのリーフレットも示して、「これでは1日のワンマン運行16時間の拘束時間を守れない、この行程(お客様が乗車して降車するまで)は14時間以上の企画。夜出庫、翌日夜帰庫で20時間を大きく超えているにもかかわらず、お客がバスから離れるのは3時間半〜5時間程度の行程である。ツーマン運行の最大20時間拘束を超える行程でありながら、4時間以上の休息期間を物理的にも乗務員は取れない」など労働基準法違反の内容が初めから企画されていると指摘しました。

質疑で実態が明らかに

 委員からは、最初からこなせない行程について「バス会社と旅行業者間での協議はなされないのか」と質問。「親しい間柄であれば話しもできるかも知れないが、多くの場合できない。また、行程を見た時点で最初から渋滞で遅れることが予想されるゴールデンウイークでも、渋滞のない行程で組んでいる」と回答しました。
 また、別の委員から提出した資料を見て、「日帰り行程はワンマン運行なのか」と質問。松下事務局長は「大阪でも同様の行程があるが、すべてワンマン運行である」と回答しました。
 そして、「現行法において睡眠時間の問題は早急に改善すべき。業務(退社)から次の業務(出社)までの休息期間が8時間、通勤や食事時間、サービス残業になっている事業者もある入庫後の申し送りやバスの清掃などを考えると、最大で5時間程度の睡眠しか確保できない。安全性を優先するならばバス会社に対して法令を遵守させる取締りを強化し罰則を科すことが求められる。また、旅行業者に対しても法律を犯すような行程は組まない、組ませない法整備が必要である」と意見を述べました。
 権田委員長は、貸切バス輸送の安心・安全を確かなものにするために、(1)運賃のダンピングをやめ「公示運賃」を遵守させること。(2)平成18年6月30日付けで国交省が旅行業者に発した「『ツアーバス』に係る募集型企画旅行の適正化について」の「通達」を徹底させること。(3)労働時間などを定めた「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(国交省告示1695号)を遵守させることなどを強く求めました。
業界全体を指導しろ
観光バス事故受け厚労省に要請
 (『自交労働者』2007.6.1)
写真
すべてのバス事業者に法令順守に向け指導などを行うよう要請する自交総連の代表=5月8日、厚労省内
 大阪で起きたあずみ野観光バスの事故などを受け、規制緩和で「タクシー以上にひどい」といわれる観光バスの実態が注目を集めるなか、自交総連は5月8日、大阪地連バス部会と連名で厚労省に申し入れを行い、権田副委員長らは、実情を詳しく説明、本省として必要な対応をとるように要請しました。

実態把握してるのか

 交渉には権田副委員長、小林・菊池両書記次長が参加し、厚生労働省からは労働基準局監督課・監察係の川辺博之事務官ほか2人が応対しました。
 すべてのバス事業者に対して、法令順守にむけた「通達・告示」などの文書による指導を行うこと。また、すべてのバス事業者への監査を実施することについては、「問題のある事業場を把握して監督指導を実施し、違反があれば指導している。また、国交省が通達にもとづき監査して、その中で違反があれば相互通報制度で通報がくるので、緊密に連携して、監督指導していきたい」としました。
 権田副委員長が「実態を把握しているのか?」と問うと「違反などの情報があれば対応したい。主体的な問題もあって全部行くわけにいかないが、情報はほしい」としました。
 「本省として業界全体を指導する通達などの手立てをとるべきだ」との指摘に、「労基法違反を野放しにするようなつもりはない。いま持っているツールで指導していくのが第一義的な問題だが、ご意見は真摯にお聞きしたい」としました。
 改善のための基準「告示」を改正することについては、「告示は関係労使の合意形成を図って定めたもので、まずはこの遵守徹底を図っていくことが大切だと思う。告示の改定は中央労働基準審議会で審議する手続が必要となる」としました。
公示運賃守らせろ
バス部会・連絡会 関係団体申し入れ
事故背景の改善迫る
 (『自交労働者』2007.4.15)
 バス部会とバス連絡会は3月29日、社団法人日本旅行業協会関西支部と同全国旅行業協会大阪府支部に対して、「観光バス輸送の安全確保について」(別掲)申し入れ、改善への協力を求めました。
 権田委員長が冒頭、規制緩和で過当競争に拍車が掛かり観光バスの安全輸送が根幹から崩されている状況や「あずみ野観光バス」事故の背景を延べ3項目を申し入れました。
 これに対して、関西支部の林事務局次長は「主旨的には理解できるのですが、運賃とか料金問題に関与するのは、いろんな問題からむずかしい」と回答。組合側は、「むずかしい話をしているのではなく、公示運賃、法律を守りなさいとした『通達』や貴協会が率先して講習などで周知徹底して欲しい。何度もいいますが事業者に法律を守らせて欲しい」と求めました。
 同次長は「旅行業者は公示運賃自体知らないのでは」と述べ、「近畿運輸局が関西の旅行業者にアンケートを実施していて今月末に集約されます。結果を見て協会としても『安全確保』をアピールしていきたいが関西支部だけでは…。近運局、旅行業協会、バス協会の三者が揃わなければむずかしい」とした見解でした。
 一方、大阪府支部の鍛冶田事務局長は公示運賃について「知っています。旅行業務取扱管理者などの試験にでます」と回答。違いがありましたが、総じて腰が重いといった感は否めません。

観光バス輸送の安全確保についての申し入れ
  1. 加盟会社に対して、旅行の安全の確保を図る観点から近畿運輸局発・『公示』第14号・「運賃・料金額の範囲」(平成16年3月19日・運自=公示第14号)に基づき適正運賃への研修・指導を行い、その主旨を徹底させること。
  2. 国土交通省が平成18年6月30日付けで全国の旅行業者に対して発した、「『ツアーバス』に係る募集型企画旅行の適正化について」・『通達』(国総旅振第101号)の主旨の徹底をはかること。
  3. 加盟の旅行業者に対して、安全輸送にむけた指導と必要な協力要請を行うこと。
深刻な過重労働
大阪地連バス部会
緊急アンケート実施
 (『自交労働者』2007.3.15)
 【大阪】あずみ野観光バスの事故に対し、大阪地連バス部会は2月27日、大阪城、ユニバーサルスタジオの駐車場で、14項目に及ぶ「緊急アンケート」(回答16人)調査を実施しました。
 事故の原因については、「経験不足」「ワンマン運行」をあげる人が多く、背景には「規制緩和が影響」「会社が法律を守らない」「旅行業者の運賃設定が問題」「ツアーバス旅行の企画に問題がある」と回答。事故を未然に防ぐには、「夜行・長距離などの(2マン運行)の遵守」でした。
 次に旅行業者の取締りで、「安かろう悪かろうをやめて欲しい」「旅行業者も人の命を預かるという立場に立った適正な料金設定が必要」などと話しました。
 運転中に居眠り運転をした経験を問うと、16人中14人が、「昼間、夜間とも経験している」と疲労の蓄積を訴えています。
 嘱託乗務員が、最近辞めた会社の実態を話してくれ、「40時間連続勤務に就いたことも、40日間連続で働いたこともある、それも1日1万円ポッキリで。なんぼ行政が監査しても会社が指示するから直らん」と答えました。
 その後、USJでの調査では、警備員から妨害され、集めることができませんでした。
大事故を未然に防げ
すべてのバス業者の特別監査を
 (『自交労働者』2007.3.1)
 【大阪】2月18日未明、吹田市で起こったスキーツアーバスの死傷事故を受け大阪地連、バス部会、観光バス労組連絡会は2月21日に近畿運輸局、23日に国交省に対して緊急申し入れを行いました。
 2000年2月に貸切バスの規制緩和が行われ7年が経過する間、大阪地連は「安全輸送を顧みない過当競争で業界のルールが崩壊し長時間過密労働や過労運転がまん延している、いつ重大事故が起きてもおかしくない状況にある」と、近畿運輸局や大阪労働局との交渉で再三、告発し改善を求めてきました。
 残念なことに2月18日未明、吹田市でスキーツアーの大型バス(「あずみ野観光バス」・長野県)が大阪モノレールの橋脚に激突し、27人もの死傷事故を発生させました。 大事故を未然に防ぐため権田委員長ら代表は、「この事故は特別な事案ではない。大阪地域でも起こりうる事故だ」と述べ、すべてのバス事業者に対して、法令遵守にむけた「通達・告示」などの指導を求める「緊急申し入れ」を近運局監査指導部の木村薫主席監査官に手渡し回答を求めました。

緊急申し入れ

  1. すべてのバス事業者に対して、法令遵守にむけた「通達・告示」などの文書による指導を行うこと。
  2. 近畿運輸局企画観光部観光地域振興課と連携し、旅行業者に安全輸送確保の観点から公示第14号・「運賃・料金額の範囲」(平成16年3月19日・近運自=公示第14号)に基づき、適正運賃への研修・指導を行い、その旨を徹底させること。
  3. 平成18年6月30日付けで全国の旅行業者に対して発した、「『ツアーバス』に係わる募集型企画旅行の適正化について」・『通達』(国総旅振第101号)の主旨の徹底をはかること。
  4. すべての旅行業者に対して、安全輸送にむけた指導と必要な協力要請を行うこと。
  5. 厚生労働省・大阪労働局との「相互通報制度」を活用し、連携して労働基準法や改善告示違反等の一掃に努めること。
  6. バス事業者への特別監査を早急に実施すること。




自 交 総 連