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配置基準の改善不十分定
大阪地連バス部会 |
(『自交労働者』2012.10.1)
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近畿運輸局に要請書を提出する大阪地連バス部会の仲間=7月20日、大阪市・運輸局内 |
【大阪】大阪地連バス部会は7月24日、近畿運輸局と大阪バス協会に対し、夜行運転者完全2人制義務付けなどの要請を行いました。
国土交通省が7月20日に施行した「高速ツアーバス等の交代運転者の配置基準」では、夜間運行において、「特別な安全措置を実施・公表していない事業者の一運行実車距離が400キロを超える」などの場合に「交替運転者を必要とする」と定めています。
運輸局交渉で組合側は、「和歌山県のバス会社が梅田に配車する場合は一般道を60キロ以上回送している。回送距離を含まない基準では現在よりもひどい規制緩和になってしまう」と指摘。さらに「夜行は自主的な体調管理がむずかしい」として、距離に関係なく夜行運転者2人制を義務付ける法制化を求めました。
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ツアーバスの運転時間基準策定
改善基準の改正も必要
国交省が緊急対策 |
(『自交労働者』2012.8.1)
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国土交通省は、関越道でのバス事故を受けて、貸切バスの安全確保のための緊急対策を打ち出しています。
このうち、焦点となっていた交替運転者配置指針については、高速ツアーバスについての運転時間等の基準を策定し7月18日、即日実施を通達しました。
旅行業者が、安全確保が不十分な運送を提供する行為を禁止する省令改正は7月1日から実施されています。
【解説】交替運転者配置指針は、あづみ野観光バスの事故を契機に07年に策定したものの、670キロ(回送含み、一般道は2倍換算)まで一人運転でよいとする緩すぎる基準のため、10年に総務省の行政評価で改善を勧告されていたにもかかわらず、そのままとなっていました。
今回、実車距離で400キロとなったのは一定の改善ですが、特別な安全措置をとった場合は500キロとされ、この場合は回送・一般道を含む全走行距離は、それほど短縮になりません。ただし、特別な安全措置に「休息期間11時間以上」が入ったことは、休息期間の重要性を示しており、注目されます。休息期間が11時間なければ安全ではない可能性があるということにほかなりません。
現在、厚労省の自動車運転者の労働時間等の改善基準は、最大拘束16時間以内、休息期間8時間以上でも可となっていて、国交省もそれに合わせています。今回の、問題を契機に、改善基準自体の改正を厚労省も真剣に検討すべきです。
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過酷な労働実態に驚きの声
規制緩和の影響を検証
バス事故 日弁連市民集会 |
(『自交労働者』2012.7.15)
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参加者からの質問に答えるパネラー=7月6日、東京、弁護士会館 |
日本弁護士連合会が主催する「高速バス事故はなぜ? 規制緩和を問う」市民集会が7月6日、東京・弁護士会館でひらかれ120人が参加しました。
北海学園大学の川村雅則准教授が関越道の高速ツアーバス事故と規制緩和の影響について講演。事業者数が倍加する過当競争で、旅行会社の仕事を取るために低運賃で引き受けざるを得ない実態を指摘し、そのしわ寄せが運転者に転嫁されていることを解説しました。自交総連菊池書記次長が貸切バス運転者の厳しい労働実態を報告し、国交省の担当者が事故後の緊急対応措置等の現状を説明しました。
参加者からは、規制緩和による過酷な労働実態が安全を脅かしていることに驚きの声があがっていました。
400キロ超で交替必要
国交省 配置基準見直しへ
関越道の高速バス事故を受け交替運転者配置指針等の不十分な基準の見直しを迫られた国交省は、「過労運転防止のための検討会」を設置、6月27日の第3回検討会で見直し案を決め、パブリックコメント後、夏休み前にも実施することにしています。
改定案は、高速ツアーバスの夜間運行について、▽実車距離400キロ超過(従来は回送含め670キロ)▽乗務時間が10時間を超過(従来は時間で交替する基準はなし)した場合は交替運転者を必要とすると定めました。ただし、直前の休息期間が11時間以上など特別な安全措置をとった場合は、実車距離500キロまで認めるとしています。
以上は暫定措置で、昼間や一般の貸切バスの基準については、まだ手付かずです。
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安全運転できる規制を
バス労働改善基準見直せ
厚労省 「真しに対応したい」 |
(『自交労働者』2012.6.15)
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要請書を渡す飯沼委員長(左)=6月6日、東京・厚生労働省内 |
自交総連は6月6日、高速ツアーバス事故で浮き彫りになった運転者の労働時間規制の不備などの問題について厚生労働省に申し入れ、交渉しました。飯沼委員長ら7人が参加。厚労省労働基準局監督課堀係長ら5人が応対しました。
バス運転者の労働時間等の改善基準(改善基準)は、下表のとおりですが、もともと長時間労働を容認するもので、この時間にもとづいて国土交通省が交替運転者配置指針670キロを定めています。事故後に、緩い基準を放置していたとの批判が高まったことから、国交省では検討会を立ち上げて指針の改定等を検討しています。組合側は、国交省の指針の元になっている改善基準を変えなければ安全運転は確保できないとして、改正を迫りました。
省側は、「国交省の検討会には労働基準局長が参加している。関係労使の議論を聞いたうえで対応したい」と答えましたが、組合側は、どういう方向で検討するのか、短くする方向で検討することが必要だ、と迫り、宮城・大阪から実情を説明しました。震災で線路が流れた鉄道の代替バスの運転者が20時間以上もの拘束時間で働かされている、バス運転者はサービスエリアでも乗客の対応に追われて休めない、現在の基準ではまた事故がおきかねない、などの追及に対し、省側は、「検討会では、生理学的に問題があるという点では専門家の意見も聞いて検討するとされている」「検討会の結果を踏まえて、厚労省としても真しに対応したい」としました。
従来、厚労省は改善基準の改正については、労使の合意で決めたものだから経営側の意向もふまえる必要があるなどとして、検討自体を棚上げにする態度でしたが、今回の交渉で「真しな検討」を回答したのは一歩前進です。自交総連では引き続き、実効性のある改正を求めていくことにしています。
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貸切バス 監査強化を
運輸局へ要請
宮城地連 |
(『自交労働者』2012.6.15)
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東北運輸局に要請書を渡す本間委員長(右)=5月16日、仙台市 |
【宮城】関越道ツアーバス事故の問題に関連して、宮城地連と同地連県バスユニオンは5月16日、東北運輸局に対して安心・安全な貸切バス事業の確立を求める要請をしました。
要請には、バス事業参入の規制強化、労働条件改善に対する監督・指導の強化などの5項目が盛り込まれています。
地連の本間昭委員長は、県内でもアルバイトの運転者でのツアーバスが常態化していることを指摘。監査を強化し、悪質な業者への対応を強めることを求めました。
仙台からディズニーランドまでの夜行バスツアーで運転手をしていた48歳の組合員は、「ワンマンなので乗客のチェックから荷物の積み下ろしまで1人でこなした。途中2か所の休憩も乗客のトイレ休憩のため休めない。帰りの夜行バス運転後にすぐ次の仕事をさせられる」などの過酷な労働実態を語りました。
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バス規制緩和を見直せ
ツアーバス事故で緊急要請
「安全担保へ一から見直す」
国交省 |
(『自交労働者』2012.6.1)
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関越道ツアーバス事故の問題に関連して、自交総連は交運共闘と連名で5月18日、安全確保のため夜間の2人乗務制や旅行業者への指導強化などを緊急に国土交通省に申入れ、交渉を行いました。
交運共闘藤好議長、飯沼委員長ら13人が参加、自動車局旅客課谷口バス対策室長ら3人が応対しました。
安全確保のための規制強化について、省側は「法令を守らない事業者が事故を起こしたことは、十分に安全を担保できてなかったということで、抜本的な見直しをしなければいけないと思っている。実効性が担保できるように、一から見直したい」と反省の弁を述べ、規制を見直すことを明らかにしました。
具体的に、▽交替運転者の配置基準は1日500キロ以下とすること▽深夜運行は、運転者2人制(ツーマン化)とすること▽「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」を法制化し、内容を改善すること、を要請したのに対しては、「十分な労働条件を満たしていないという意見を頂戴している。配置指針や(労働時間の)基準そのものを含めて見直していく。5月中に検討会を設けて検討する」「夜間については、5月16日に国交大臣から、業界の自主的なとりくみとして夜間の長距離運行は2人運転とするように要望した」と回答。組合側は、検討会には自交総連の代表を入れるように要望、大阪の庭和田書記長が実情を述べ、規制は判りやすいものとする必要があると強調しました。
交渉には、建交労の乗合バスの仲間も参加、乗合も値下げ、労働条件の悪化がすすんでおり、全体の規制緩和を見直す必要があると訴えました。
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労働条件確保こそが安全守る
穀田議員(共)が強調
衆議院国土交通委員会 |
(『自交労働者』2012.6.1)
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衆議院国土交通委員会は5月18日、ツアーバス事故に関して3人の参考人を招いて質疑を行いました。
意見陳述では、関西大学の安部誠治教授が、(1)規制緩和で過当競争になり安全がおろそかになっている。事後監査では全部見きれない。参入規制の強化など見直しをするべきだ、(2)交替運転者配置基準の670キロは緩すぎる。総務省からも言われているのに直さなかった。見直すべきだ、(3)ツアーバスは乗合バスと比べて必要な費用負担をしていない。一本化するのはいいが、実効性を持たすべき、(4)旅行会社が優位な立場で低運賃を押しつけるなどの問題がある。旅行会社も規制できるしくみが必要だ――と述べ、事故の背景を指摘しました。
質疑では、日本共産党の穀田恵二議員が、自交総連の見解や5月12日に大阪地連バス部会の組合員から意見を聞いたことをふまえて、あずみ野観光バス事故の教訓が生かされず、総務省の勧告がなぜ実行されなかったのか、などの観点で質問、(1)参入資格の強化、(2)運転者の労働時間、賃金の最低基準の確保こそが安全を守る、(3)旅行業者の責任強化を求めました。
各党も規制緩和の問題点を指摘するなかで、みんなの党の柿沢未途議員は、今回の事故が規制緩和のためにおきたという証拠はない、安易に規制強化をすべきではない、などと異常な主張を展開しました。
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規制緩和が命を奪った
国交省は対策見直せ
関越道バス事故 |
(『自交労働者』2012.5.15)
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4月29日、関越自動車道で7人が死亡する高速ツアーバスの重大事故が発生しました。自交総連では「見解と要求」をまとめ、背景を分析、国交省などに改善を要求していくことにしています。
バスを運転していた43歳の運転者は、疲れて居眠りをしていたと供述、金沢から東京までの行程545キロを交替運転者なしの1人で運転していました。ツアーを企画したのは大阪のハーヴェストホールディングスという旅行会社、バスを運行していたのは千葉の陸援隊という貸切バス事業者です。
違反だらけの事業者
事故を起こした会社は、規制緩和以降の貸切バス事業の問題点を体現しているような問題事業者です。運転者は違法な日雇いで休息期間には別の仕事をしていたとされ、まともな運行管理も点呼もなく、旅行会社から別の2社を介在して東京―金沢往復を公示運賃の半値以下の15万円で受注していました。
自交総連の指摘を生かさない国交省
こうした貸切バスの問題点は、規制緩和による過当競争を背景とするもので自交総連が再三にわたり指摘してきたものです。
交替運転者の配置指針が1日670キロとされたことについて、08年の制定当初から、運転者の疲労の実態に合わず、500キロ以下とするように要請してきました。
総務省の行政評価の調査に協力して的確な勧告がなされたにもかかわらず、それを受けた国交省のバス事業のあり方検討会での論議が勧告に応えないものとなっていることから、昨年10月、運賃ダンピング、アルバイト雇用の実態などを指摘して、旅行業者への監督強化、深夜運行の2人制義務化などの改善を申し入れました。しかし、この要請の趣旨は生かされず、不十分な最終報告が3月に出されたばかりでした(前号既報)。
貸切バスの安全を守るために、規制緩和の反省と適切な対応を国交省・観光庁・厚労省に求め、近く交渉していくことにしています。
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旅行業者への規制なし
高速ツアーと乗合を一体化
バス事業のあり方検討会報告 |
(『自交労働者』2012.5.1)
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国交省に設置されていた「バス事業のあり方検討会」は3月30日、報告書をまとめました。
【解説】検討会は、貸切バスを使用して旅行業者が企画する高速ツアーバスといわれる形態が台頭する中、総務省が10年に安全確保の勧告を出したのを受けて設置されました。
報告書は総じて具体性に欠けるうえ、総務省勧告が具体的に指摘した安全上の問題点には応えず、一部は先送りするもので、とくに貸切バスの違反の背景にある旅行業界の圧力などについては、まったく考慮しない不十分な内容です。
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